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ネコと猫の同棲

犬系男子だとか

猫系女子だとか

〜系という言葉が、結構例えとして聞かれるようになってきた


あれの弊害というのは、あくまでも〜系は個人の主観であって万人に共感を得られるものでないということ

特に動物なんかだと、どこがそうなの?と言われやすい気がする


まあ、犬と猫はそんなことにもならないが…




◯:ただいま〜

僕が玄関で大きめな声で言う

けれど、それに対して返ってくるのは


蓮:お帰り〜

遠くからの呑気な声だけ


◯:まぁたゲームしてるんでしょ

僕が手に持った買い物袋をゆらゆらとさせながら、言った

リビングに近づいていくにつれて、FPSの音が大きく聞こえてくる


そして、ドアを開けると

やはり、ゲームをテレビに繋いでやっている


蓮:別に、やることはやってからしてるんで

◯:責めるつもりはないよ?

蓮:だったら話しかけないでよ、集中してんだから

可愛いと言うか、綺麗な顔を少し歪ませるように不服そうな顔をして言う

その行動も、何となく愛おしくてたまらない


◯:おやつ買ってきたから、それ終わったら食べよ

蓮:れんか紅茶淹れてほしい

◯:あいあい、今やってますよ

こちらを見ることなくされた注文も、慣れた注文なので聞くまでもなく準備しようとしていた

熱いのが僕も彼女も嫌いなので、早めに淹れて適温になるまで待つ必要があるのも理由の一つ


◯:蓮加〜、ジャスミンとクッキーどっちがいい?

蓮:んあぁ、どっちでもいい!

山場なのか、話しかけたらお怒りモードに入りかけていて

それからは静かに淡々とやることにした


少しして、コントローラーを投げるように置き

ご機嫌斜めモードの真っ只中の彼女は、僕の方にツカツカと歩みよってきて

蓮:まだ?

と聞く

◯:まだだから座ってていいよ

と言うと、ムスッとした表情のまま椅子に座った


◯:はい、とりあえず先におやつね

パン屋の前を通りかかった時に、引き寄せられるようにして見たアップルパイに一目惚れしてしまった

蓮:…シナモン

◯:ちょい待ち


必要なことしか言わない彼女に笑顔でシナモンの瓶を渡し

僕はその足でカップを取ってきて、紅茶を注いだ

◯:はい、少し冷ましてから飲みなよ?

蓮:わかってる…


そのまま蓮加は小さな声で、いただきますと言ってからアップルパイを頬張って食べていた

僕は、買い物袋の中身を冷蔵庫とか棚にしまってから食べ始める


彼女が食べ終わって、僕が紅茶を啜りながらゆっくり食べていると

蓮:んっ、足

僕の組んでいた足を、つま先で数回叩きながら言った


しかし、僕はそれには答えない

チラッと見た彼女の顔は子どものように拗ねている顔で、思わず口角が上がりそうになる

蓮:ほらぁ、足!

今度は強めの口調で、足を払うように叩く

不機嫌そうな上目遣いで僕に訴えてくる顔も何とも可愛らしい


◯:んもぅ…

僕は勘弁して足を解いた

そこに、ちょこんと彼女が座る

蓮:落ち着く〜

◯:負けたからって、人の上を占拠しないで貰っていいですかね

蓮:だぁって、あんたの膝の上って何かしっくりくるんだもん

そう言われてしまうと、僕もあまり強くは言えなくなってしまう


◯:はいはい、とりあえずあまり体動かさないでよ
 お尻の骨と足の骨当たって痛いこととかあるから

蓮:え、それはしてほしいってこと?

ニタニタといたずらに微笑む彼女

◯:ほんとに辞めてほしいので、フリじゃありませ〜ん

蓮:ちぇっ…


悔しそうにしながらも、よほど居心地がいいのか僕が強制的に膝から下ろすまではずっとそのままで話していた



◯:蓮加、風呂入っちゃって?

蓮:あ、出たの?


夕飯を食べ終わって、僕らはそれぞれやりたいことをやりながら交代でお風呂に入る

今日は僕が先の日だった


蓮:よしっ、んじゃ入ってくるから
 覗くなよ〜?

◯:あいよー

僕が適当に受け答えをしていると、後ろから背中を軽く叩かれて

蓮:そこは乗ってよ

と言われる

◯:いや、こっちにも乗る時の気分とかあるから

蓮:なにそれ、意味わかんない

◯:蓮加だって、僕がそうやったとき適当に返すときあるじゃん


僕の指摘が尤もだったのか、少し黙った彼女は

蓮:まあ、お互いこんなんだから気が合うんだろうね

といつもの決まり文句を言って風呂場へと向かっていった


◯:ん…あ、ガチャ引かねば




蓮:◯◯〜!

僕がゲームに夢中になっていた時、風呂場から彼女の声が聞こえてきた

◯:はいは〜い

僕は早くしないと怒られるので早足で向かう


そこには湯気の立つパジャマを着た彼女がいて

蓮:髪の毛やって

◯:はいはい

後ろ向きで、自分はスキンケア用品を出しながら言う


◯:ほんと、蓮加の髪はきれいだよね

蓮:うん、ありがとう

◯:食べちゃいたいくらいにきれい

蓮:う〜ん

◯:このまま食べちゃおっかな

蓮:う〜ん

ここまできて、僕は蓮加のほっぺを後ろからつまんで言う

◯:適当に返すなや

蓮:お返し〜

おちょくるように言った蓮加の髪の毛を一回くしゃくしゃにしたくなる衝動を仕舞い込んで、僕は蓮加のドライヤーを終わらせた



蓮:うちらって、ほんとネコみたいだよね

◯:多分、お互いのそういうのわかってない人といると疲れると思う

蓮:わかるわぁ…
 ほんと、あんたに出会えてよかったよ

珍しく包み隠さずいうので、僕が照れてしまいそうになる


◯:珍しく正直な瞬間じゃん

蓮:まあ、たまにはいいでしょ

◯:いつもは小生意気なくせに

蓮:なんだとぉ?


お互いがお互いを理解しているからこそ

ツンケンだったり、適当に相槌を打っても壊れぬ関係


僕も彼女に出会えて幸せだと、毎日毎日思うわけです

恥ずかしいので、直接本人には時たましか言いませんが…


蓮:よぉし、今日は一人で寝てやる!

◯:いいよ、別に
 その代わり朝起こしてあげないから

蓮:あ、それは困る

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