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初めて会った日から何周か回って恋をした 2

蓮加が○○と会ってから数日経って、

月曜日、幼稚園に行く日

蓮加:いってきま〜す

蓮母:いってらっしゃい

元気にバスに乗り込んだ

泣きじゃくっていたあの日から少ししか経っていないとは思えないほど


発進したバスの中で、友達と話す蓮加

しかしその話題は、よくあるプリキュアの話や、どこかに行ったお出かけの話ではない


蓮加:あのね!
  ちょっとまえに…


小さい子供にとって、見知らぬ人と会ったら

それは興奮して、思い出として友達に話すだろう


女子:えぇ〜!
  どうだった?かっこよかった!?


蓮加:うん! 
  すごくかっこよかった!


こういう言葉に、父親はよくショックを受けるが

対して大きな意味はない


無邪気な子供にとって、かっこいい、かわいいなど挨拶のような感覚で出てくる言葉だ

女子:えぇ、あいたかった〜


そして、聞く側もとても良い食いつきをする


その友達の言葉を聞いた蓮加は、膝の絆創膏を見つめる

蓮加:ふふっ、


今でも思い出すと、〇〇の優しさと明るさを感じられる


女子:あ〜!
  ひとりだけでたのしんでる! ずるい!


蓮加:えへへ〜


蓮加は、いつもよりバスに乗っていた時間が短く感じられた

そういうことは初めてだった


一方…

○○:かあさん!
  バスきちゃうよ!

○母:わかってる!
  ほら、もう玄関出といていいから


○○と母が玄関で大声で会話をしている


○○:んもう…
  はやくしてよ?


○○は近くのマンションの前まで走って行った


○母:お見送りしてくるから!


○父:おう〜

夫婦間の会話をした後、○○の母は○○を追う

少し前に○○がおり、後ろからバスの音が聞こえる


○○:かあさん、はやくはやく


○母:焦んない、焦んない
  大丈夫だから


早足で○○の元へ向かい
先にいたママ友に挨拶をする


少ししてバスが到着し、扉が開く


先生:おはようございます〜

女性の先生が出てきて、子供たちをバスに入れていく


○○:いってきます!


○母:はい、行ってらっしゃい


○○は手を振ってバスに乗り込んだ


○母:さ〜て、家に戻って大きな子供の相手をしないと

ママ友たちに軽く頭を下げて、○○の母は家に帰っていった


○父:やっべ、時間時間!


○○の父が、リビングの時計を見て慌てだした


○母:ただいま〜、って
  なにそんなバタバタしてるの


そこに丁度、○○の母が帰ってきて


○父:いや、出勤時間がそろそろなんだよ!


○母:ご飯食べるのが遅いからでしょ


ぐさっと○○の父に刺さった


○父:今それを言わないでくれ…
  色々と壊れるから


○母:ほら、早くいかないと
  怒られちゃうんでしょ?


まるで言葉を聞いていなかったように、言いのけた


○父:…はい、いってきます

ネクタイを締め終わって、○○の父は車で向かっていった


○母:ふぅ…
  さて、ご飯食べて朝ドラでも見るか


朝のドタバタを通過した家は、とても静かになった



男子:○○〜!
  はやくいこうぜ〜

幼稚園について、色々とやって

昼ごはんを食べて

今は、お昼のお遊びタイム


○○:よ〜し!
  サッカー、やろうぜ!!

どこぞの熱血ゴールキーパーの言葉を知ってか知らずか、大声で叫んだ


男子:おれまえいく〜!


女子:わたしもやる〜!


少しずつ他の子も集まってきて

最終的に、5 vs 5の状況になった


○○:ぼくうしろにいるから〜
  ドンドンやっちゃえ〜!


○○のチームは、○○以外は未経験

始まるとボールに集まって、ゴール前ががら空きになる


○○:むぅ、
  もっとバラバラになって!

○○は叫ぶが、聞こえていない様子


すると、相手の一人の男子がボールを取って攻めてきた


男子:いっけぇ〜!!

幼稚園児にしては、強いキック


それでも、


○○:よっ、と!

膝に当てて、○○が止めた


男子:まだまだ〜!


シュートをした男子が突っ込んでくる


○○:よしっ!
  いくぞ〜!

○○はその男子を避けて、前に進む


男子:○○!
  こっち!!


前にいる男子がボールを要求する


○○:よし、いけ!


綺麗に低空でボールが飛んでいく

そして、そのボールに

おぉ〜!

という声まで上がる


○○:いけ!!


男子:シュート!!


チームメイトが打ったシュートが、ゴール(ポールとポールの間)に入った


男子:いぇーい!!


○○:ナイシュー!


ゴールを決めた男子とハイタッチする

こうやってみんなで楽しくやるサッカーが○○は大好き

先生:お〜い
  そろそろ、戻って〜

女性の先生がそろそろ時間だと告げに来た


○○:ぼくかたづけしとくよ


男子:ん、ありがと!

他のみんながすぐに戻る中、○○がボールを倉庫に持っていく


先生:○○くん、偉いね
  ちゃんとお片付けして

先生が近くに来て、そんな○○のことを褒めた


○○:おかたづけは、なんのことにもきほん
  ってとうさんがいってた


○○は、それがさも当然だと思ってやっている


先生:それが、偉いんだよ


先生:蓮加ちゃん!
  お片付けしなさい!!

一方の蓮加の方は、先生におままごとの道具を片付けないことを怒られていた


蓮加:やぁ〜!!
  れんかやりたくな〜い!


しかし、それに反抗して片付けようとしない


先生:だめ!
  蓮加ちゃんが片付けないなら、誰がやるの?


蓮加:誰か


その言葉に悪いと思う感情はない

自分がやらなくても、誰かがやってくれると本気で思っている発言だ


先生:そんなんじゃだめ!
  自分でやること身につけて


蓮加:やぁ〜!
  やりたくない!
  やりたくない!!


ドンドンと床を足と手で打ち、暴れだす


こうなると先生であっても止められない


蓮加:あぁ〜ん! 
  あぁ〜ぁ〜!!


極め付きに、泣き出してしまった


先生:あ〜、ごめんごめん
  蓮加ちゃんごめんね…


こうやって謝るしかないのが、辛いところだ


蓮加:あぁ〜ん……
  あぁ〜…


少しずつ泣き止んできている


先生:蓮加ちゃん泣き出すとなぁ…
  長いこと泣いちゃうんだよなぁ


先生の心配はそこだった

どうすれば、うまいこと泣き止んでくれるのか…

そんな風に思案していると


女子:れんかちゃん?


仲のいい友達が寄ってきた


先生はしめたと思い


先生:蓮加ちゃんがね、お片付けできなくて泣いちゃったの


友達を使って泣き止ませて、お片付けまでさせようと考えた


女子:れんかちゃん、だいじょうぶ?


蓮加:うぅ…だい、じょうぶ…


明らかに大丈夫じゃないさそう


女子:れんかちゃん、いっしょにさ
  おかたづけ、しよ?


先生はうまく行ってくれと祈る


蓮加:…やだ…


がくっ…

先生:な、なんでかな
  蓮加ちゃん


すかさず聞いてみる


蓮加:…せんせいも…いっしょ…に


先生:え、わ、私も?


蓮加は言葉を発さずうなずく


女子:そうだよ!
  せんせいもいっしょなら、はやくおわるし!


先生は少し思惑と違くなってしまったが


先生:はぁ…
  わかった、やろ?


その提案を飲んだ



○○:なんてことも、あったよね


汁物を食べながら、蓮加と思い出話をしていた


蓮加:小学校のときに、それ話したらさ
  ○○すごく驚いてたよね


笑いながら蓮加は言うが、中々にお嬢様っぽい
わがままだ

○○:まあ、そういうところがいいんだけど


蓮加:キャ〜!
  恥ずかしい〜


身を少し揺らしながら、照れる


○○:だって、事実だもん


蓮加:もう一回惚れちゃう〜


まだまだ、思い出話は続く…

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