問題だらけの老朽化マンション
案外、持つんじゃないか?
築50年を優に超える高齢化マンションの管理を請け負ったときの感想だった。この古いマンションで事務管理業務を請け負って6年。設備の不具合を含めさまざまなことがあった。人間と一緒で、古くなれば身体(建物)のあちらこちらに異変が生じる。
普段通りの生活をしているご家庭の分電盤から突如として噴煙が上がる(出火)ことが想像できるだろうか?
老朽化マンションの分電盤には、漏電ブレーカーがついていなかったのである。そして、長雨が続くと、大量の雨水が天井から突如として落下することも日常茶飯事。
設備面で、最も厄介なのは、排水管事故である。共用部である敷地内に埋設された雑排水管に、巨木の根がアナコンダのように巻き付き、そして締め付けたことから、鋳鉄管製の排水管が潰されていることがあった。
そうなると、雑排水管を流れている排水がマンションへと逆流。マンション一階の住民の台所や浴室、洗面所から、他人の排水が溢れだす事故が起きたことがあった。
マンションが老朽化すると、かくも大変な場面に遭遇するのである。それでも、一般的には、大変なことだろうが、あんな事に比べれば可愛いほうだ。 あんな事とは、汚水横引き管(枝管)が腐食したことによる、汚水の落下事故だった。
みなさんは部屋の天井から、糞尿が落下する地獄の光景を想像できるだろうか? アカの他人の汚物が、天井から降り注ぐのである。現場に立ち会った私は、吐き気とめまいで暫の間、まともに飯が喉を通らなかった。
こんな状況を目の当たりにすれば、そんなマンション誰もが住めないと思われるだろう。でも、今日も、何事も無かったかのように、住民は暮らしているのである。ワンオペ職員である私が、そのさまざまな局面に正面から向き合い、対処し難局を乗り切ってきた。
一連の、老強化による事故はすべて処理済みである。現在は特に大きな問題は無い、と言える状況にまで持ってきている。
メンテナンスさえ怠らなければ、建物は80年持つ。これが、マンション学会の最新の見解である。設備面の修復や大規模修繕をしっかりやっていれば、おそらく、学会の言う通り80年は持つだろう、それは筆者も同じ意見である。
私は、普通のマンションの管理職員ではない。老朽化し問題だらけの、マンションをワンオペで管理している職員である。ワンオペでどうして、ここまで対応できるのか? 疑問に思われるむきもあるかも知れない。これが可能となるのは、大手管理会社に一部委託でお願いしている関係で、緊急対応の窓口を使わせてもらっているからこそ出来ることといえる。