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能力とやる気どう引き出す?【スタンフォード大オンラインハイスクール校長の話】

できれば教育学や国際教育比較学などを学んでいきたいなーと思っている今日この頃。
私がいつも注目しているアメリカ西海岸、スタートアップの街にあるスタンフォード大学には、スタンフォード大学オンラインハイスクールというものがあり、校長先生をしている星友啓さんのお話を聴く機会に恵まれました。

この機会を一般向けに設けてくれた株式会社アライブさんありがとうございます。

この考え方が広まっていくと子どものHappyと親の余裕はもっと広がるよなーと思い、文字起こししながら復習してみます。


遺伝子と才能のメカニズムを知る

私もこれまで習いごと事業や教育事業に関わるなかで、才能とか遺伝とかで人の能力が決まるのか?はよく考えてきたところ。思考の癖、考え方のパターンや価値観は家族、環境は大きいとわかり始めているのですが…

能力の部分については、
今回のお話を聞いて「後天的」に期待して子どもや関わる10代と接しよう、仕組み・環境をつくっていこうと思いました。

①
人間に備わっている遺伝子は2/3脳で使われている

トレーニングや学習、経験で残りの1/3を引き出す
既に使ってる2/3をどう使うか
それに加えて1/3をどうスイッチオンにできるか

②才能は先天的なものか? 後天的なものか?

才能は言葉の響きから先天的に思えるが
最近の脳科学や教育学的な研究から半々だということがわかってきている。
計算能力の才能は…
身長が伸びるのは…
など身体的・精神的な才能を分類して色々な研究が行われてきた。

認知、心理的なものは先天的or後天的で大体半々ということがわかってきた。
差があるとしても先天的:後天的=4:6ないしは6:4な位。

③そもそも遺伝子は99.9%は人間みな共通。

残りの0.1%でバリエーションが出るということ。

①〜③を総合して考えると、

  • 才能が先天的なものと仮定しても、99.9%の遺伝子は人間皆共通。そう考えると、残りの0.1%の部分に先天性が詰まっているだけの話。

  • その0.1%の蓋を開けてみると、2/3しか使ってない。オフ状態の1/3の遺伝子をどうオンに変えていくかが鍵を握る。

  • その2/3も1/3の部分もトレーニングや経験でうまく生かしていかなければ才能でない。

=努力や脳のメカニズムを知り、学習やトレーニングを進めていくことで、才能を発揮できるようになる。


さて、能力についてはそうわかったところで、次は学習やトレーニングを進めていくための取り組み、努力が必要。そうするとやる気が必要です。

今回、やる気を引き出すための話として用いられたのはモチベーションを理論化した「自己決定理論」。
1985年にアメリカの心理学者であるエドワード・デシ(Edward L. Deci)とリチャード・ライアン(Richard M. Ryan)が提唱した動機づけ理論でした。

心の三大欲求とモチベーション理論

心の三大欲求
人間の心は根本的に3つを追い求めている
①つながり「他者と精神的な繋がりを持ちたい」
②有能感
「自分はできる、能力があると感じたい」
③自発性「自分の行動は自分で決めたと感じたい」

心の三大欲求を
親と子のシチュエーションで想定すると

①つながり:関係性の欲求
「他者と精神的な繋がりを持ちたい」

受験生。受験勉強に日々勤しんでいる。
「今日はともだちと勉強しに行く」と子ども。
親は「自分の受験なんだから、一人で集中した方がメンタルも上がるし、効果もでる」と言いたくなる

▶︎競争や自己向上のことだとしても、周りに人がいるという環境でドーパミンが上がっている状態で取り組むことができる。ドーパミンが上がっている状態で取り組むことが学習効果があがることが研究でわかっている。

親としては“個人の課題”であっても本人が仲間とのつながりを求めている場合はむやみに止めない。人と一緒に頑張る環境やコミュニティは大切で、効果も高い。

②有能感
「自分はできる、能力があると感じたい」

いろいろな体験をさせる
多様な体験
そうすることで「自分はできる」が増えていく。

なるほど、だから「子どもにいろんな体験をさせた方がいい」と言われ、「体験格差」が社会問題化するのね…。

③自発性「自分の行動は自分で決めたと感じたい」

親子間でよくあるシチュエーション。宿題や手伝い「やろうと思ってたのに、やれと言われるとやる気を失う」

▶︎自分の意思でやってるんだを感じられない=自発性を感じれないと予知すると、人のやる気は減退するということ。

自己決定の機会をあげる。

例えばお小遣いについて、この理論を用いると
「枠を決めてしっかり自由を保証し、定期的に渡す」が「自分で決めてどう使うを実践できる」ので科学的心理学的にいいと言われる。

「お手伝いをしたからあげる」は報酬としてもらえるという仕組みになり、報酬にやる気がコントロールされる“外発的動機”の状態になる。「定期的にあげてしまうと『お金は自分で稼ぐもの』という感覚が身につかないのでは」と疑問が出るが、「お金は自分で稼ぐもの」という感覚はまた別でトレーニングをする。

お小遣いは食事と同じ。
赤ちゃん、幼児、子どもの食事は親が時間になると定期的に用意するもの。だけど、大人になる過程で、食事を自ら用意することを学ぶ。

外発的動機と内発的動機

やる気を「動機」と考えると、やる気は自分の内側から生まれる内発的動機と、外側の何かを求める外発的動機がある。

外発的動機が多すぎると、自己決定した自発性を感じる機会が減り、やる気が内側から出なくなる。やれと言われないとやらなくなる。

やる気がなくなると自己決定もしたくなくなる
無気力感になる。

余談として
無気力までいくと、心療内科に受診する例が多いが、そこでカウンセラーがはじめに行うことは「今日は暑いね。水にする?麦茶にする?」と聞く。
最初は「どっちでもいい」という返答。
しかし、このような問いを重ねて自己決定の機会を与える。やがて、「どっち?」が「どれ?」になり「何が飲みたい?」になっていく。

自己決定の積み重ねをして
自己決定したいという欲っする感覚を思い出させる
そして自己決定できるようにする

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関連して「日本は詰め込み教育が悪いですか」と言われるが、詰め込みが悪いわけではない。

その先がテストっていうのがよくないのではないか。

テストは外発的動機づけ。
テストや受験など外発的動機づけで教育を行うのがアジア圏だが、今その副作用がきていると思う。

例えば、部活を続けている方が受験の合格率があがるという話。受験勉強のために好きな部活を辞めるのではなく、「部活を続ける」と自己決定をすることによって、他の効果も上がる。また、繋がりの欲求も満たされる状態で、実はメンタル強くなるのは人と繋がってやれてるとき。

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なかにはテストや試合の結果、偏差値、報酬、ステータス・地位など…外発的動機でやる気が出る人もいる。

しかし、外発的動機が強すぎると精神病のリスクも身体的な病気のリスクも上がることが研究でわかっている。

外発的動機が強い人は、心の三大欲求を満たすものや環境をしっかり準備しておく必要がある。

————————まとめ
才能の半分は後天的
ほとんどの才能が発揮されてないと仮定し経験やトレーニングでその才能をオンにする
内発的なやる気で、子どものなかに隠されていた能力が発揮される。


ここまでの話を振り返りながら、よくある質問にも答えていただけたウェビナー。

どうやったら好きなことみつかりますか?
好きなことやらせるのがいいか?得意なことやらせる方がいいか?

▶︎好きなことやって
できたと思ってもらって
できてきたから心が満たされてきた
という時に苦手だったことに取り組んでみる

やる気と集中について学習に対してやる気がありません。

▶︎アドバイスし過ぎるとうるさいと言われるのは親子間でよくある話。「うるさい」と言うことはお子さんが精神的に健康に育ってる証拠。
「やれ」と言われて嫌と思うのは自分の自発性を防衛するための根本的なメカニズム。親としては
「やろうか?」という聞き方をして「やる」「やらない」の選択肢としての決定を用意する声掛け。「いつやる?」か、「どこの部屋でやる?」という問いかけにする。自己決定したという自発性を満たすの保障しておくといい。

という回答が出ていました。

教育は人の純粋なGiveからはじまるんだなー

改めて今回、能力と動機のお話を聞いて、最近考えてきたことや、これからやろうとしているプロジェクトがまた腹落ち。

再度になりますが・・・こんな貴重な機会を用意してくださったアライブ・インターナショナルスクールさん、ありがとうございました。

視聴料が無料だったウェビナー、その説明が下記だったのもとても素敵だと思いました。

視聴料:無料 ※視聴料の代わりに『ご家族や周りの方々、あるいは社会や世界のためになることを1つ』おこなっていただけますよう、お願いいたします(申告は不要)。

❤️

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