*東南アジアの遅刻事情*
外資企業で働いていると、異なる国々の同僚と一緒にミーティングをする機会が多々あります。今回はそんなミーティングで気づいた、「遅刻」に対する考え方の違いについて考察してみたいと思います。
私の働いている会社ではAsia Pacific地域の中に日本とシンガポールに支店があり、シンガポールの同僚とのWebミーティングはよくあるのですが、ミーティングの開始時には特徴がみられます。ミーティング開始5分前から画面前に集まり始めるのが日本チーム。開始時間1分前には日本人チームは全員画面上に準備満タンです。そしてそこからぞろぞろと集まり始めるのがシンガポールチーム。大体開始5分過ぎぐらいでしょうか。大半が集まったところで、そろそろ始めましょうか、とミーティングがようやく開始されます。
遅れて入ってくるメンバーが「Sorry, I’m late.」と一言添えても「It’s OK.」「No worried.」といった感じ。気にしない様子です。
仕事のミーティングですし、そんな遅刻に対する寛容さに最初は驚いていました。
ただ、こんな調子でシンガポールのみならず様々な地域の同僚やクライアントさんとのWebミーティングをこなすうちに、遅刻に対する考え方の違いを理解し、寛容に受け入れられるようになってきました。
例えば、日本とシンガポール、一般的な遅刻に対する概念をまとめると、こんな違いがあります。(もちろん、これはあくまで一般的な見解ですが。)
東南アジアでは、一般的に時間に対する考え方が比較的柔軟で、遅刻がある程度許容される傾向があります。イベントや会議が定刻よりも遅れて始まることがよくあり、そこにはある程度の寛容さが感じられます。
一方で、私たち日本人の遅刻に対する考え方はというと、約束の時間を守ることが礼儀とされ、遅刻は相手に対する失礼と見なされることがあります。時間を大切にし、スケジュール通りに物事を進めることが重要視される傾向があります。
さらに面白い考察があります。東南アジアにおける遅刻に対する寛容な態度は、文化的、歴史的、さらには気候的背景が関係しているというのです。
1. 文化的背景: 東南アジアは多くの異なる文化、宗教、民族が混在する地域です。これは異なる時間概念や社会的なルールの存在を生み出す一因となります。異なる文化が共存し、互いに影響を与える中で、柔軟性や寛容さが重要視されるようになりました。
2. 気候と環境: 東南アジアの一部の地域では、気候が熱帯性であり、日常生活がゆったりとしたペースで進むことが一般的です。これが時間に関する柔軟性を生む要因の一つとなっています。
3. 歴史的背景: 東南アジアは長い歴史の中で異なる文化や商業の交流が盛んでした。これにより、異なる価値観や時間に関する概念が交流され、地域全体に影響を与えました。
私たちの何気ない習慣には様々な要素が関係しているんですね、面白いですよね。そんな習慣の違いをダイナミックに体験できるのも外資系企業で働く醍醐味の一つです。自分の中にある“常識”の範囲の狭さに気づかされる、貴重な体験でもあります。