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『グッドフェローズ』が暴く、ギャングの虚構と現実の崩壊

映画『グッドフェローズ』で、マーティン・スコセッシが描くのは、60年代から80年代にかけて成り上がるアイリッシュ・イタリア系の犯罪者、ヘンリー・ヒルの波乱万丈な人生。ロバート・デ・ニーロやジョー・ペシが演じる名キャラクターたちと共に、彼らが織り成すストーリーはまさに衝撃的。モブ映画としての魅力が満載で、目が離せない。

スコセッシの映画が突き詰めるテーマは、ギャングの世界の幻影。ヘンリー・ヒル役のレイ・リオッタが生き生きと演じる中、映画はその荒廃と腐敗を暴露していく。仲間を裏切らないという「ギャングの誇り」も結局は虚構であり、ヘンリーが仲間をFBIに売り渡すシーンが象徴的だ。犯罪の世界の「友情」など、ただの幻想に過ぎないことを暴露する衝撃の展開が続く。

スコセッシの描くギャングたちは、常に軽妙で怖い冗談を交えながら自らを守り続ける。ジョー・ペシ演じるトミーの名シーン「Funny, how?」が象徴するように、ギャングの世界は笑いと暴力が隣り合わせ。映画の背後に潜む恐ろしいユーモアと、ギャングたちの末路に込められたメッセージは、まさにブラック・コメディの金字塔だ。


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