#84 水無月の本
7月19日?!嘘だろ
驚きを隠せない。
6月に読んだ本はこちら。
1. ざらざら 川上弘美
以前図書館を徘徊していたら、この本を見つけた。表紙を一目みたときに、これはなんとしても家に置きたい、という気持ちにさせられた。所謂一目惚れというもの。青と黄色っていうのは、目を引くくせにうるさくなく爽やかで、好きな組み合わせだ。
例にならってブックオフで何度も探していたのだが、しばらく出会えなかった。そういう風に、なかなか現れないところも絶対に手に入れるぞという決意を一層固くさせる。
そんなこんなでブックオフに入る度にこの本を探して、ようやく見つけて読んだのがこの「ざらざら」。
表紙のイメージとは異なり思ったより恋愛の話。短編集。終始ともだちのお話を聞いているような感覚で読んでいた。
普段目や耳にしている、漢字を知らない単語の漢字を知ることが出来たときと、
そうくるか!という比喩表現が出てきたとき。
このふたつは私が本を読んでいて「これだから本が好き!」となるタイミングなのだが、この本はそれぞれが散りばめられていてそのたびにうれしい。
揺さぶられることはなく、フラットな気持ちで読める本。
お気に入り↓
ホッキ貝って、北寄貝って書くのね。お寿司屋さんで漢字で書かれているのを私は見たことがない。ハッ。
曜日に食べ物を当てはめるなんて、、なんて良いんだ。よそよそしくて、きりっとしたフルーツトマトみたいな火曜日、と思ったら、なんだか今日が火曜日なことが嬉しくなってくる。この、文字を見ているだけで目の前がみずみずしく鮮やかになる感覚よ。
aikoの歌声が脳内再生されるような本だった。”あたし”という一人称がこの世でいちばん似合うのは紛れもなくaikoだよなあ。
2. 抱擁、あるいはライスには塩を 下 江國香織
皐月の本↓で紹介した上の続き。
上 では家族の絆が深く描かれている部分が多かったが、下では年を経て家族それぞれがそれぞれの道をあゆみ始める描写が多かった。
同じ家で育ったとしても、性格、出会う人、タイミング、複数の要因の違いで全く違う人生を歩むことになる。
紆余曲折したとしても、どの人生も豊かで、どの人物も必ず誰かに影響を与えていて、誰かの助けになっている。
自分に対しては盲目でも、人に対しては冷静になれる。
重松清の「きみのともだち」という本を思い出した。たしか小学生のときこの本で読書感想文を書いた。これも主人公が一人ではなくて切り替わり、その人の視点から見た世界を見せてくれる。この本が好きな人は「抱擁、あるいはライスには塩を」をぜひ読んでほしい。
この本を読んでいると自分の親がどのように育って、何を見てきたのか、知りたくなってくる。
3. とるにたらないものもの 江國香織
こちらに愛を込めたので読んでほしい。好きだ。私のバイブル。