言語と恋に落ちたら、世界は少し平和になるんだろうか
自分の母語には割と誇りと愛着がある。母語と言っても日本語ではなく、関西弁の話である。
母語(関西弁)と私
関西人は人が話している時、コテコテの関西弁かどうかを厳しく判定し、ツッコミまで入れる習性があるので、私の中途半端な関西弁(両親は大阪の生まれではないから、関西弁ネイティブともいいきれない)はよく
「なんか標準語混ざってるやんなー」
「えんがわって全然関西弁ちゃうよな」
と言われてきた。が、これまた不思議な習性というのか、話している相手がコテコテだとこちらも自然にコテコテするのである。なので、一緒にいてコテコテになれる人とよくしゃべってた時期すらあったりした。
関西弁をことさら意識するタイミングがある。そう、東京に出た時だ。
電車の中、誰も最近試してよかった料理のレシピを周りに公開していない。にぎやかなおばちゃんの声が聞こえない。・・・寂しい。
そして海外から成田に戻ってきた時。確かに日本だ。でも、まだ帰ってきた気がしない。周りの音が違うのだ。
言葉には音があると思う。それぞれに、旋律のようなものが。
外国語を学ぶ①ロシア語
大概の人にとって初めての外国語は英語だと思うし、私も例に漏れずそうだった。
英語は好きだった。が、本当に語学の沼にハマったのは大学のロシア語からだ。
第2外国語を必要単位以上にやりたがる人はそんなにいないと思うが、私もなぜかその道を辿った。なぜか。ロシア語やったことある人ならわかってくれるはず!
音!
柔らかくて角が無く、日本語には無い音の組み合わせがまるで音楽のように聴こえる。アクセントの置き方も違う。
私は、ロシア語がきちんとした意味で出来る方ではない。文法は年々怪しいし、単語も弱い。文学とか読もうものなら挫折すること必至だ。でも、音に魅了されているので、リスニングは進んでできる。ロシア人と出会ったり、観光客がロシア語を話していたりすると周りに憚らずガッツポーズしている(誇張ではなく本当にしているのでそんな人を関西で見かけたらそれはえんがわである)。
参考までに学習者向けのYouTube番組「Easy Russian」を。子どもの発音もまた違う趣がある(と私は思う)。
外国語を学ぶ:②ブルガリア語
ロシア語が好きすぎる私は、同じスラブ語の分類にあたるブルガリア語が話されている国ブルガリアに留学した(ややこしい)。要は、文字が同じで文法や単語にも親和性があるのがこのブルガリア語。
行ってみて、確かに似てるけど・・・違う!いや似てるけど・・・やっぱりなんか違う!という印象を抱いた。煮え切らないけど本当にそんな感じで、単語レベルでは近いのだけれど、全体として聞くと旋律が違う。
バスで、教室で、スーパーで。
ロシア語より硬い発音、強いアクセント。同じ曲の違うアレンジみたいな?
なんか変な編集のやつ(女優さんのファンが作ったのかな?)ですが、ブルガリア語は明瞭です。こんにちはとかさようならとか、基本の挨拶が良いなと思い。
外国語を学ぶ:③アラビア語
ブルガリアから今度はパレスチナにGO!
なぜパレスチナへ?はぜひこちらのアカウントからどうぞ。
今思えばひどいことに、アラビア語圏でアラビア語話者に囲まれながらも、まだ私は「ロシア語が一番好き」とのたまっていた。
でも今、アラビア語に接してしばらく経ち、今度はアラビア語の、特に口語の美しさに心を掴まれている。
これはパレスチナの若い人にも人気のヨルダンのコメディ。もともと同じ地域なので方言は似ている。字幕のある回を。
私が学んだことがあるのは数言語かもしれないけれど、世界にはもっともっとたくさんの言語が存在する。それってすごいと素直に感じる。
それぞれの言語が話されたときに持つ旋律がまったく違うこと。
色んな国に行く。通りで人々の会話を聴く。
そうしていると、なんで憎み合う必要があるのか分からなくなってくる。
私にとっての言語は、旅は、違っていることの美しさを感じさせてくれるものなのだ。