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ゲーム紹介:トライブス・オブ・ザ・ウィンド -風の部族-
どんなゲーム?
『トライブス・オブ・ザ・ウィンド -風の部族-』は、対戦相手の手札の状況によって目まぐるしく変わる、時にはプレイすることさえ叶わなくなるカード効果を見極め、効率よく発展しながら目標を達成し、誰よりも多くの勝利点をとることが目的のボードゲームです。
作者はJoachim Thôme。比較的新しいゲームデザイナーですが、箱絵もかわいいエンジンビルド系カードゲーム『ワイルド・スペース』のデザイナーとしてご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
『トライブス・オブ・ザ・ウィンド -風の部族-』は、2022年のエッセンシュピールでも注目作として事前から挙げられており、会場での出口投票であるスカウトアクションで2位となりました。ちなみにその時の1位は『キャット・イン・ザ・ボックス』であり、日本人デザイナーのゲームの快挙として皆様の記憶にも新しいかと思います。
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まるでジブリの世界観
数世紀に渡り自然を搾取したのち、人類はこの星のいたるところで新たな種類の汚染を引き起こし、その過程においてあらゆる生命の営みを破壊しました。
散り散りになった男女の集団が、どういうわけか無傷で残っていた小さな森でかろうじて生き残り、樹冠に設立された高層都市に避難しています。彼らは汚染との接触を避けるため、場所から場所へと空を飛んで移動するので、風の部族と呼ばれています。
このゲームでは、あなたは元素魔法を使って汚染に立ち向かう導き手となってプレイします。森を育て、樹冠に新たな都市を設立し、人類の未来を守りましょう。
そう、世界観はまるで風のたn……
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対戦相手の手札によって変わるカード効果
『トライブス・オブ・ザ・ウィンド -風の部族-』は、他のゲームではめったに見ない特徴的なシステムを採用しています。対戦相手の手札の種類によってカード効果が強化されたり、はたまた使えなくなったりと変化します。
そのため、カードをプレイするタイミングが他のどのゲームよりも重要になります。
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例えばこのカードの場合は、自分の手札の火カードの枚数を両隣の対戦相手と比較します。隣の対戦相手1人よりも多く持っていれば上の欄の通常の効果を使え、両隣の対戦相手よりも多く持っていれば下の欄のより強力な効果に変わります。反対に、両隣の対戦相手よりも少なければ使うことすらできないのです。
ここで「ん?」と思われた方もいるはず。
「対戦相手の手札が見えるの?」と。
半分正解です。
カードには4種類の元素、火・水・風・木のいずれかが描かれており、カードの裏面にもその元素が描かれています。そのため、どの元素のカードを持っているかが裏面からも分かる仕組みになっています。
この4種類の元素はそれぞれ得意なことが変わるため、この裏面から見える元素の情報を元にディスプレイから戦略的にカードを手札に補充していく必要があります。
このようなメカニクスにより、他のプレイヤーにしっかりとカードの裏面を見せる必要があります。そのために、対戦相手の手札が見えやすいようカードホルダーもゲーム本体に含まれている気の利きよう!
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プレイ風景ではこのように見え、常に他人の手札事情が気になる新しいプレイ感のゲームとなっています。
遊びやすさと自然な成長
『トライブス・オブ・ザ・ウィンド -風の部族-』の目的は、誰よりも多くの勝利点をとることです。そのためにはプレイヤー全員が5個ずつ持っている村を自分のボード上にどんどん建てていくことが重要です。
村を建てるにはまず、村を建てるための土地(タイル)を取ることが必要で、タイルを取るには一定数の水(資源)が必要で、というように、今は何が足りないから次に何をすればいいのかの見通しが良いゲームになっています。
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また、勝利点を取るためのアクションが次で紹介する「能力強化」につながったり、効率のいいアクションを行っているとついでに勝利点も増える、というように、目標に沿って遊んでいるだけで自然と成長し、できることが増えるため、多くの方に受け入れられる要素を持った遊びやすい親切なゲームです。
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非対称の強化要素
個人ボードには、プレイヤーの分身となる人物が描かれています。その人物ごとにゲームをより有利にするための強化能力が備わっています。
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例えばこの人物ですと、右のような4種類の強化能力をゲーム中に獲得できます。細かい説明は省きますが、何かのアクションのついでに資源がもらえるなどの、ボードゲーマーでしたら一目で強い!と分かる能力から2つまで選んで強化することができます。
この4種類の強化能力は個人ボードの人物によって五者五様あり、ゲームを何度でも楽しむことができます。
個人ボードごとに非対称で能力が異なるゲームは『マルコポーロの旅路』や『テラミスティカ:ガイアプロジェクト』など昨今では珍しくなくなりましたが、非対称の個人ボードごとに4種類ある能力からさらに2つ選ぶ形式は、今までにない新しさと自由度かと思います。
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イラストを手がけるのは、あのVincent Dutrait!
ボードゲーマーなら好きな人も多いと思われるVincent Dutraitのイラストがふんだんに使われています。箱はもちろん、カード、ボード、タイルと美麗なイラストに見惚れてください。
一部だけですがお見せします。
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こんな人には合わないかも…
手番では、基本的にカードを1枚プレイするだけになることが多く、思った以上に簡単に進むゲームです。順番や配置などは考えるものの、水を集め→タイルを取り→村を建てるといった流れが見通しがいい反面、単調に感じる方もいらっしゃいます。
また、対戦相手の手札状況によっては使えないカードが手札に溜まることもあります。もちろん、そういう状況を打破するためのアクションもありますが、手札を使えるかどうかが対戦相手へ依存している部分もあるため、嫌いな方も一定数いるかと思います。
また、インタラクションがディスプレイされているカードやタイルを取る部分のみで、プレイヤー間の絡みが少なく、黙々と箱庭を作り上げていくタイプのゲームです。このようなプレイヤー間の相互作用の少なさで、あまり魅力を感じない方もいらっしゃるかもしれません。
最後に
2022年エッセンシュピールの出口調査において、2番目に注目度が高い作品が、今回紹介した『トライブス・オブ・ザ・ウィンド -風の部族-』です。
ゲーム名:トライブス・オブ・ザ・ウィンド -風の部族-
プレイ人数:2~5人
対象年齢:14歳~
プレイ時間:プレイヤーごとに20分
参照したゲーム
『キャット・イン・ザ・ボックス』https://boardgamegeek.com/boardgame/345972/cat-box-deluxe-edition
『ワイルド・スペース』https://boardgamegeek.com/boardgame/298371/wild-space
『マルコポーロの旅路』https://boardgamegeek.com/boardgame/171623/voyages-marco-polo
『テラミスティカ:ガイアプロジェクト』https://boardgamegeek.com/boardgame/220308/gaia-project