ゲーム紹介:プラネットアンノウン

どんなゲーム?

地球の資源を使い切りそうな私たちは別の星への移動を余儀なくされています。
惑星開発企業≪プラネティアス≫の1社を率いるあなたの使命は未知の惑星を開発し、惑星の環境を整えることです。

『プラネット・アンノウン』は未知の惑星を開発する1〜6人用のタイル配置ゲームです。
司令官はテーブルの中央にある宇宙ステーションS.U.S.A.N.を回転させて獲得するタイルを選びます。同時に他のプレイヤーも自分の前に来たタイルを獲得します。獲得したタイルをそれぞれの惑星に配置し、水や文明などの様々な資源を得ます。誰かがタイルを配置できなくなった時か、一部のタイルがなくなった時にゲームは終了します。効率的に惑星を開発し、開発の進捗、ライフポッドの回収、隕石の除去、近隣惑星に対する優越によって最も多くの勝利点を獲得し、ゲームに勝利しましょう。

最近では2023年のドイツ年間ゲーム大賞のエキスパート賞(Kennerspiel des Jahres)にノミネートされ話題になりました。おしくも受賞とはなりませんでしたが、多くの方が日本語版の発売を心待ちにしていたかと思います。

今回はそんな話題のゲームをご紹介をいたします。




内容物について
まずはじめに、今回発売することとなった日本語版はエコ・エディションというバージョンです。『プラネット・アンノウン』にはいくつかのバージョンが存在していますが、下記の仕様が日本語版での仕様となります。予めご了承ください。

・宇宙ステーション :あり
・プラスチックトレイ :なし
・惑星ボード :6枚
・企業ボード :6枚、シングルレイヤー
・プラスチックトークン :ローバー、資源マーカー
・木製トークン :隕石、ライフポッド
・紙製トークン :司令官、バイオマスパッチ、ポリオミノタイル、倉庫インジケーター
・カード類 :全バージョン共通


ゲームの流れ

1) ラウンドごとに、司令官は任意の倉庫1つが自分の倉庫インジケーターの方に向くまで、宇宙ステーションを好きなだけ回転させることができます。司令官が宇宙ステーションの回転を終えたら、全プレイヤーは自分の倉庫インジケーターに対応している倉庫の、一番上に見えている2枚のタイルのうち1枚を選んで獲得します。タイルの獲得は全プレイヤーが同時に行います。

2) 全プレイヤーはタイル配置ルールに従って、獲得したタイルを自分の惑星のマスを覆うように置きます。タイルは回転させたり、裏返して置くことができます。

3) 隕石シンボルがあるタイルを惑星上に置いたら、即座にストックから隕石を1個取って、隕石シンボルがあるマスに置きます。ゲーム終了時、惑星上に残った隕石がある段と列からは勝利点を得られません。

4) タイルを置いたあと、プレイヤーはそのタイル上の資源1つごとに、自分の企業ボード上で対応する資源マーカーを1スペース前進させます。

5) 全プレイヤーがタイルを1枚獲得して置き、資源マーカーを前進させたあと、司令官トークンを左隣のプレイヤーに渡して新たなラウンドを始めます。

誰かが自分の倉庫にあるどちらのタイルも適切に置くことができないとき、または1つの倉庫の2つの山が両方とも尽きたとき、ゲームは終了します。

・誰かが自分の倉庫にある2種類のタイルのどちらもタイル配置ルールに沿って置くことができないとき、全プレイヤーはそのラウンドを通常通りに完了させたあと、ゲームは終了します。タイルを置くことができないプレイヤーでもタイルを1枚選び、そのタイル上の両方の資源に対応している資源マーカーを前進させます。そのあと、最終勝利点を計算します。
・ある倉庫の2つの山が両方とも尽きた場合も、そのラウンドを通常通りに完了させたあとにゲームは終了します。

得点計算
A)惑星上で完成している(隕石がなく、空きマスもない)すべての段と列から勝利点を得ます。
B)各資源マーカーから、対応するトラック上で到達/通過している最も上にある勝利点を得ます。
C)得点エリアにあるライフポッドと隕石から勝利点を得ます。
D)「ゲーム終了時」と書かれている文明カードから勝利点を得ます。
E)達成した個人目標カードに示されている勝利点を得ます(個人目標モジュールを使っているか、ソロモードでプレイしている場合のみ)。
F)近隣目標カードに書かれた事項について隣接プレイヤーの惑星と自分の惑星を比較して、自分の惑星の方が優れているあるいは引き分けの場合、近隣目標カードに示されている勝利点を得ます。

最も多くの勝利点を得たプレイヤーが勝利します。
同点の場合、その中で惑星の空きマスが最も少ないプレイヤーが勝利します。


圧巻のコンポーネント

作者はRyan LambertとAdam Rehbergの2人で、3Dの剣を組み立てるゲーム『Swordcrafters』を作ったコンビでもあります。『Swordcrafters』で3Dの剣という斬新なコンポーネントを生み出した彼らの作品なので『プラネット・アンノウン』のコンポーネントもすさまじいです。今回の目玉は通称中華テーブルこと、宇宙ステーションS.U.S.A.N.です。S.U.S.A.N.とはSimultaneous Unit Selection Axial Node(同時単位選択起点軸)の頭文字をとったもので、その役割を表した名称になっています。


この宇宙ステーションは「タイルを回して選ぶ」ためだけに存在します。
しかし、これによって全員が同時にタイルを選択でき、抜群に遊びやすくなっていますので、是非遊んでみてください。
この宇宙ステーションですが、箱よりも僅かに大きい設計になっており、箱には下記のような傷がつきやすいです。仕様のため不良ではありませんので、この点はご了承ください。
※宇宙ステーションの中にタイルを入れたまま収納もできますが、上から押さえないとタイルが飛び出すのでご注意ください(誰か宇宙ステーションの蓋を作ってくれません?)


パズル好きにオススメ🫵

自分の惑星を他のプレイヤーに直接的には邪魔されずに黙々と作り上げることができます。しかし、すべてが自由というわけではありません。司令官が宇宙ステーションを回転させ、自分の前にきた2つのタイルから選ばなければいけないため、どの形・どの資源のタイルが自分の前に来るかはその時じゃないと分かりません。効率的に資源を得たり、段と列をすべて埋めるため、その時々の状況に合わせてパズルを楽しんでください。

さらに惑星には時々隕石が落ちてきます。隕石がある段と列はすべて埋めても勝利点を得られませんので、この邪魔な隕石を惑星開発のための探査車ローバーを使って除去しなければいけません。きれいにタイルを配置すればいい“だけじゃない”、非常にやりごたえのあるパズル要素となっています。


連鎖ボーナスの快感!

親がアクションなどを選んだ後に、他の全員が同時に別のアクションを選ぶ形式は紙ペンゲームによく用いられるメカニクスです。適度なインタラクションをもたらし、ダウンタイムなく遊ぶことができるこのメカニクスが『プラネット・アンノウン』にも採用されており、6人でもプレイ時間がほぼ変わらずに遊ぶことができる強みがあります。
また、紙ペンゲームによく用いられるメカニクスのもう1つとして連鎖ボーナスがあります。これは何かのマス目やゲージ、パラメータなどを一定数以上達成すると他のマス目などを追加で達成できるという気持ちのいいメカニクスで、『Ganz schön clever』ではこの連鎖ボーナスをふんだんに用いていて、日本人にも非常に人気のゲームの1つとなっています。
このメカニクスも『プラネット・アンノウン』に採用されており、それが惑星開発企業≪プラネティアス≫を表す企業ボードです。企業ボードには文明、水、バイオマス、ローバー、技術という5つのパラメータがあり、それぞれを一定数上げることで勝利点や特殊効果などのボーナスを使うことができます。このボーナスの中にも、パラメータを追加で上げる効果もあり、時には数回連鎖するので、次々に特殊能力が使えるという非常に爽快感あるゲーム体験ができます。

ついでに企業ボードの各パラメータにも少し触れましょう。各パラメータには到達度合いに応じた勝利点とマイルストーンという中間目標が設定されていて、そこに到達する度に様々な利益を得られます。

文明:マイルストーンに到達するたび、対応するランクのすべての文明カードから1枚選び獲得します。選んだ文明カードに「即時」と書かれている場合、すぐにその利益を得られます。「ゲーム終了時」と書かれている場合、ゲーム終了時にその利益を得られます。

水:固有のマイルストーンはありませんが、勝利点が多くなっています。また水は貴重なため、パラメータを上げることが他よりも難しくなっています。

バイオマス:マイルストーンに到達するたび、地形1マス分のトークンであるバイオマスパッチを1枚獲得し、即座に惑星上に置きます。惑星の段や列を完成させるのに役立ちます。

ローバー:マイルストーンに到達するたび、ローバー1個を最後に置いたタイル上に置きます。数字が書かれているスペースに到達するたび、その数ぶんまでローバーを移動させ、隕石やライフポッドの回収が可能です。

技術:マイルストーンに到達するたび、ゲーム終了まで使うことができる固有技術を解放できます。それぞれの企業ボードごとに異なり、例えば、バイオマスパッチを使い隕石を破壊することができる技術やローバーをテレポートさせる技術など、基本のルールからはかなり逸脱した強力な効果がありますので是非体験してみてください。


個性的な企業や惑星🪐

『プラネット・アンノウン』には様々な種類の企業、惑星が登場します。企業ボードは表面が1種類の同一面、裏面が6種類の非対称面になっており、合計7種類の企業があります。惑星ボードも同様で、表面が1種類の同一面、裏面が6種類の非対称面になっており、合計7種類の惑星があります。
最初のゲームではどちらも同一面を使うことをおすすめしますが、慣れたら企業と惑星を好きに組み合わせたり、ドラフトなどで遊ぶこともできます。49パターンの組み合わせがありますので、リプレイ性も問題ありません。

いくつか企業や惑星をご紹介いたします。

・ワームホール・コーポ
ワームホール・コーポはバイオマスパッチをたくさん獲得でき、そのバイオマスパッチを用いて惑星の開拓を進めます。バイオマスのパラメータが上げやすく、パラメータを上げるたびにバイオマスパッチを得ることができる特殊なトラックになっています。また、技術もバイオマスパッチに関連した効果になっています。

技術レベル1:一番上のスペースにあるバイオマスマーカーを、いつでも0のスペースに戻すことができる。
技術レベル2:バイオマスパッチを既存のタイル上に置くことができる。
技術レベル3:バイオマスパッチを獲得するとき、追加でもう1枚獲得する(ラウンドごとに1回)。
技術レベル4:バイオマスパッチをゲーム終了時まで保留し、任意のタイミングで置くことができる。
技術レベル5:バイオマスパッチを隕石があるマスに置き、隕石を破壊することができる。

・オアシス・アンリミテッド
オアシス・アンリミテッドは水のパラメータが長く蛇行していて、水のパラメータの勝利点が他よりも大きくなっています。また、水資源タイルや氷マスに関わる技術を持っています。

技術レベル1:マーカーを前進させるとき、次のスペースに他の資源マーカーがあればその先のマスに前進させる。
技術レベル2:ラウンド開始時に、水地形上にあるローバー1個ごとに1移動力を得る。
技術レベル3:氷マスを覆わずに水資源タイルを置いた場合でも、水マーカーを1スペースだけ前進させる。
技術レベル4:水資源タイルを置くたびに、バイオマスパッチを1枚獲得する。
技術レベル5:水資源タイルを置くたびに、シナジーブーストを1つ得る。


・K-273
K-273は表面の大部分が氷マスで覆われた惑星です。タイルを置くときには常に、陸地マスか氷マスのいずれか一方だけを覆わなければいけません。
【K-273特有の課題は氷だ。それは不安定で、移動しているように見える。陸地と同時に開発するのは避けるべきだ。】

・アラシ
アラシは特殊な輪がある土星のような見た目の惑星です。惑星の輪があるマスをタイルで覆うとき、そのタイルで同時に輪がないマスを1マス以上覆わなければいけません。
【輪の下の風は過酷だ。試してみる前に、しっかり固定されていることを確認するように。】


2つのモジュール:個人目標とイベントカード

・個人目標モジュール
個人目標モジュールを採用した場合、プレイヤーは近隣目標に加えて個人目標も使うことができます。各プレイヤーは個人目標カードを2枚ずつ受け取り、そのうち1枚を保持して、もう1枚を箱に戻します。個人目標はゲーム終了までウラ向きにしておきます。ゲーム終了時に達成している場合、プレイヤーは個人目標カードから勝利点を得ます。地形を特定の形に並べたり、特定のパラメータを最上段まで上げたりといった目標があり、パズルをより悩ましくしてくれます。


・イベントデッキモジュール
イベントデッキはイベントカード20枚からなります。ラウンドごとに1枚ずつイベントカードをオモテ向きにしてそのイベントを適用します。イベントカードはグリーンアラート、オレンジアラート、レッドアラートと危険度で3種類に分かれていて、惑星開発中に起こりうる幸運や困難を表します。グリーンアラートはバイオマスパッチを得られるなどの幸運なイベントが多いですが、レッドアラートになると回収したライフポッドが破壊されるなどの困難なイベントが多いです。ゲームに起伏が生まれるので慣れてきたら採用してみるのも良いでしょう。


ソロモードあり!

『プラネット・アンノウン』は1〜6人用のゲームのため、ソロモードもちゃんと備わっています。先に紹介したイベントカードと個人目標カードはソロモードの時にも用います。
準備として目標カードをよく混ぜて4枚引き、個人目標面を見て4枚のうち3枚を保持して今回のゲームの目標とします。望みの難易度に合わせてイベントデッキを準備します。イベントデッキ内のレッドアラート、オレンジアラート、グリーンアラートの各枚数によって難易度を調整でき、挑戦する最終目標点が変わります。勝利点から最終目標点を引いた得点が業績評価となり、そのゲームの評価がくだされます。最高評価を目指し頑張ってください!

こんな人には合わないかも…
『プラネット・アンノウン』のメカニクスの大部分はタイル配置のパズル部分にあります。そのため、タイル配置ゲームが苦手な方には合わない可能性が高いです。また、非対称面の惑星や企業の強さと難易度にも差があるので、平等なゲーム体験に重きを置く方や個人能力が苦手な方には合わない可能性があります。

最後に

ゲームの流れを見ていただければ分かるように、『プラネットアンノウン』はその壮大な世界観の一方、ゲームの根幹は全員同時のタイル配置になっていて簡単に遊ぶことができます。さらに先にご紹介したパズルの楽しさ、パラメータ上げの連鎖ボーナスの快感、個性的な企業や惑星などによって何度も楽しめる奥深いゲームとなっています。

このようにタイル配置ゲームの新定番となりうるポテンシャルのある『プラネット・アンノウン』を是非楽しんでいただければと思います。

私個人としても追加の惑星や企業、アップグレードキット、拡張の発売を心待ちにしておりますので、たくさん買ったり、たくさん遊んだりしてください。そうしたら拡張なども発売できるかもしれません。

一般発売は11月30日、価格は税込み9,900円になります。

スリーブサイズ:46*69mm
必要枚数:124枚


👻👻👻
ご紹介が遅れましたが、私は今年からEngamesで働かせていただいている橋本といいます。トライブス・オブ・ザ・ウインドから関わらせていただいております。もしゲームについて聞きたいこと、仕様や拡張についてもっと詳しく知りたいなどありましたら下記アカウントまでご連絡ください。

Xアカウント
@hashina_o

『プラネットアンノウン』をどうぞよろしくお願いいたします。


ゲーム名:プラネット・アンノウン
プレイ人数:1~6人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:70分

参照したゲーム
『Swordcrafters』
https://boardgamegeek.com/boardgame/243994/swordcrafters

『Ganz schön clever』
https://boardgamegeek.com/boardgame/244522/s-pretty-clever

#ボードゲーム


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