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ゲーム紹介:ジャンヌ・ダルク-オルレアン ドロー&ライト-

バッグビルディングの金字塔『オルレアン』が装いも新たに、紙ペンゲームとなったのが『ジャンヌ・ダルク-オルレアン ドロー&ライト-』です。『オルレアン』の表紙に描かれていた、青色の鎧をまとった騎士は、ジャンヌ・ダルクであったことが、このゲームの表紙で明かされました。

『オルレアン』の雰囲気そのままにアクションドラフトゲームへと大胆なリメイク

『ジャンヌ・ダルク』は、『オルレアン ドロー&ライト』と副題が付きながらも、メインメカニクスがバッグビルディングからアクションドラフトへと変更され、プレイヤーによるゲームへの入力機構が完全に別になりました。
しかし、プレイ感としては、どこか『オルレアン』を彷彿とさせます。フレーバーはもちろんのこと、様々なアクションにおける早取りの要素が、そのようなプレイ感をもたらしています。

シンプルなアクションドラフトルール

27枚のアクションタイルたち

27枚のタイルがありますが、プレイヤー人数+1にて割り切れるようにバッグの中の枚数を調整して、ゲームがスタートします。

ドラフトでは、ディスプレイにバッグから引いたプレイヤー人数+1枚のアクションタイルが並べられ、それをスタートプレイヤーから順にドラフトしてアクションを実行していきます。それが、スタートプレイヤーが2枚目のアクションタイルをドラフトしアクションを実行してその結果をシートに記入するまで続きます。その後、隣にスタートプレイヤーが移り、再び、ディスプレイにアクションタイルをプレイヤー人数+1枚並べる。という風にゲームが続いていきます。スタートプレイヤーが2枚目を取るまで続くというドラフト形式は、偶然にも同日に弊社から発売する『アクロポリス』や、すでに発売されている『フレームワーク』でも採用されています。

バッグの中身が切れたら、再度すべてのアクションタイルをバッグに戻し、また、枚数の調整を行い、そしてドラフト。プレイヤー人数分の回数バッグの中身がなくなるまでこのようなアクションドラフトを続けていきます。

各アクションはオルレアンを彷彿とさせる

アクションの一覧はシートの上部に表記してあります。

アクションの一覧

農夫は倉庫に任意の商品を格納する、兵士は陸路を移動する、水夫は水路を移動する、といったように『オルレアン』を彷彿とさせるアクションを実行していきます。

このゲームにおいて、修道士は、オールマイティーですが、アクションタイルとしては存在しません。3回まで取ったタイルの代わりに修道士を雇ったことにし、任意のアクションを実行する権利をそれぞれのプレイヤーが持っています。

ビンゴによる追加アクションが気持ちいい

アクションを実行すると、その結果をシートに記入していきます。例えば、農夫のアクションは、「倉庫に任意の商品を格納する」というものです。左詰めで格納した商品に×をつけていきます。

倉庫(5種類の商品が5個まで格納できる)

そして、このゲームの最大の気持ちいいポイントが、ビンゴによる追加アクションです。倉庫の下には追加アクションが用意されています。これらは、その列すべてに×をつけると実行できます。収入を得られたり、商品を得られたり、というものもありますが、中には修道士を得て、追加アクションの実行ができるものもあります。上手くプレイすると、連続で何回もアクションが実行でき、他のプレイヤーの戦略を崩すことができるでしょう。

随所に散りばめられた早取り要素

アクションドラフトでのつばぜり合いを熱くするのが、随所に見られる早取り要素です。このゲームでは早取り要素が固まっている部分が大きく3つあります。それは公益事業と場所カードと交易所の建設です。

5つ用意された公益事業、その下部に描かれた八角形が早取り要素

公益事業は少し特殊なアクションスペースです。公益事業には1~5の番号が振られており、それぞれに3つ随行者が描いてあります。アクションタイルを取った際、そのアクションを実行する代わりに、その随行者が描いてある公益事業を実行することができます。そして、公益事業に描かれている随行者3つともでその公益事業を実行したプレイヤーが出たら、そのプレイヤーは早取りボーナスを得ます。さらには、すべてのプレイヤーがそれ以後、その公益事業を実行できなくなります。(なぜなら、その事業はすでに完遂されてしまったのですから!)

場所カードたち(これは英語版サンプルですが、日本語版では日本語になっています。)

場所カード(カードも内容物に入っていますが、まずはシートにあらかじめ印刷されている場所カードを使ってプレイすることをお勧めします。)も、カードですので、一人が取ってしまえば、他のプレイヤーはそのカードを取ることはできません。
場所カードは、特定の随行者におけるちょっと強い代替アクションを用意するもの、特定の随行者をドラフトした際に発動するもの、というように、随行者タイルにたいする評価の違いをプレイヤー間にもたらし、ひいては戦略の大まかな方向性の指針となるものです。

オルレアンでおなじみのフランス中部のマップ

『オルレアン』にもありました、交易所の建設は、この『ジャンヌ・ダルク』においても重要な要素です。陸路、水路を移動し(そして、その道すがらに落ちている商品や発展点を拾い集めながら)プレイヤーたちはフランス中部を旅していきます。プレイヤーは、すでにたどり着いているいずれかの町に交易所を建設することができ、誰かがある町に交易所を建設することで、他のプレイヤーは、もうその町に交易所を建設することができなくなります。とはいえ、陸路、水路はゲーム中どんどん延びていき、交易所の建設可能な箇所は広がっていくため、よほどなことがない限り、交易所の建設箇所に困ることはないでしょう。

発展トラックは健在

シート下部には、発展トラックが用意されています。勝利点のベースとなる掛け算においての係数を伸ばしていきますので、本家『オルレアン』同様に、発展レベルは非常に重要な要素です。発展トラックもバランスよく伸ばしていくことが必要でしょう。

シート下部に伸びる発展トラック。ここにも、ボーナスや早取り要素が散りばめられています。

こんな人には合わないかもと思われる点、と注意事項

ここまででも何度か書いているとおり、早取りの要素が各所に散りばめられており、アクションドラフトゲームである、という以上にインタラクションが強くなっています。他プレイヤーの戦略に応じた柔軟な戦略選択が必要となるため、特定の戦略を磨き上げる、という楽しみ方をしたい方には、不向きかもしれません。
また、メカニクスとしては正直凡庸と言わざるを得ません。ゲームのシステム面で新たなものを求めているという方には合わないと思います。

このゲームのプレイ時間ついては、注意が必要です。版元による表記では45分となっており、日本語版でも準拠していますが、実際にプレイしたところ、少なくとも60分以上はプレイに要しました。

最後に

このゲームは今年のエッセンシュピールにおける出口投票”スカウトアクション"では票数が足りなかったものの、平均評価が高いゲームのリストに挙げられました。
現在、ヨーロッパ圏内のみで流通しており、その他の各国への流通は来年より始まります。日本へは少しだけ世界に先駆けてお届けすることとなりました。1手1手の重みが強く、気の抜けないアクションドラフトゲーム『ジャンヌ・ダルク』をぜひ年末お楽しみいただければ幸いです。


ゲーム名:ジャンヌ・ダルク-オルレアン ドロー&ライト-
プレイ人数:1〜5人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:45分


参照したゲーム

  1. 『オルレアン』https://boardgamegeek.com/boardgame/164928/orleans

  2. 『アクロポリス』https://boardgamegeek.com/boardgame/357563/akropolis

  3. 『フレームワーク』https://boardgamegeek.com/boardgame/353152/framework

#ボードゲーム

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