#97 【英語学習】英語は筋トレ、だからシャドーイング
英語での会話力を強化したいと思っていらっしゃる方々から「どんな勉強をしたらいいですか?」と、よく聞かれます。
その答えは・・・「シャドーイング」です。
以前も、連ドラを教材として使う”簡易版”のシャドーイングの方法を書きました。
今日は、”正統派”(笑)のシャドーイング方法について、書いてみようと思います。
なぜなら、シャドーイングを自己流でやっても、成果が十分に出ないことがあるからです。
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"正統派" シャドーイングに必要な3つのもの
●トランスクリプト(音源の書き起こし)が入手可能な、ネイティブによる英語音源
[ご参考]
-TedTalkなどオンライン上でトランスクリプト付きで公開されている動画
-アメリカの公共放送、PBS Newshour や Fresh Air
-市販されている英語教材で、音源のついているもの・・・など
●上記の英語音源のトランスクリプト
●イヤホン
の3つです。
イヤホンがないと、シャドーイングする際に英語音源が聞き取りづらくなります。自分の声がかぶさってしまうからです。
目安とするシャドーイングの分量
人間の集中力が続く限界と言われる「15分」で「予習→準備体操→シャドーイング」の1セットを終わらせることのできる分量に留めます。
その人の読むスピード、音源のスピード、内容の難易度にもよりますが、
●トランスクリプトの文字数で、500前後
●読み上げた時の時間が50~60秒前後
ぐらいをざっくりとした目安にされるといいと思います。
もちろん、個人差がありますので、上記をベースに調整してみてください。
また、ネイティブスピーカーは喋りが速いことも。「ついていくのが大変」と思ったら、音源を0.75倍速にするなど、スピードを下げてみてください。慣れてきてから1.0倍速にチャレンジする、というのがいいと思います。
シャドーイング実践編:トランスクリプトを予習
それでは、シャドーイングの手順をご説明します。
まず「予習」として、 トランスクリプトを黙読し、内容の意味をとります。
ここで大事なのが
「決して、文章を日本語に翻訳しない」ことです。
シャドーイングの目的は「英語を、英語のまま直観的に理解できるような脳内回路を作る」ことです。
そのために「英語を聞き、英語で理解し、そのまま英語で出す」ことを予行演習として行うわけです。
英語の文章を丸ごと日本語に翻訳してしまうと、「英語を聞く」から「英語を出す」までの間に日本語がワンクッション入ってしまうことになります。
すると、英語そのもので理解することが、妨げられてしまいます。
ですから、絶対に翻訳しないでください!
とはいえ、意味がとれていない状態で、耳から聞こえたものを単純に口から出すだけでは、それはただの機械的な作業となり、せっかくシャドーイングする意味がなくなってしまいます。。。
ですから、「予習」の段階で、不明な英単語やフレーズは意味を掴んでおきます。
繰り返しますが、厳密な「翻訳」はしないでください!
シャドーイング実践編:準備体操—トランスクリプトを音読
ここから「準備体操」に入ります。まず、トランスクリプトを音読します。
(もし、英語のトランスクリプトを読み上げてくれる人がいる★ラッキーな方は、トランスクリプトを目で追いながら、読み上げに対してリピート/音読します。)
音読の仕方にも段階がありますので、ご自分が取り組みやすいところから始めてください。
【初級】 意味の塊り(文節)ごとに 音読(★リピート)
【中級】一文ずつ 音読(★リピート)
【上級】全体を通しで 音読(★読み上げ者と声を合わせて、音読)
この時に、「意味を掴みながら」声を出すよう、注意を払ってください。
シャドーイング実践編:本番—シャドーイング
さて、ここからがいよいよ「本番」です!
シャドーイングでは、もはやトランスクリプトは使いません。
耳から入ってくる英語音源だけを頼りに、聞こえてきたものを、そのまま口から出します。
この時も「意味を掴みながら」声を出すことを心がけます。
音源を聞きながら、声を出し続けるわけですが、一拍置いてからスタートするので、まるで「影が後追いしている」ように聞こえるはずです。
これがシャドーイング(shadowing) と呼ばれる理由です。
シャドーイングを行う際の注意点
シャドーイングを正しく行い続ければ、自分でも進歩が実感でき、達成感を得られると思います。ですが、相当、負荷がかかる練習法でもあります。
ですから、スタートダッシュで張り切り過ぎないで下さい。疲れて1回限りで止めてしまっては、もったいないです。
さきほど分量の目安として
●トランスクリプトの文字数で、500前後
●読み上げた時の時間が50~60秒前後
と書きましたが、始める時はこれよりハードルを下げてもいいと思います。
ただ、ぜひ1週間、同じポーションのシャドーイングを続けてみてください。そして、初日と最終日で、ご自分の出来映えの差を比較してください。自分がどのくらい楽にシャドーイングできるようになったか、最終日に実感できるのではないでしょうか。
シャドーイングで自分の弱点を洗い出せる
シャドーイングをして、つまづいたり、遅れた場所はありませんでしたか?
その場合は、その箇所の
●単語が定着していない
●意味を捉えきれていない
●構文が苦手
ということだった可能性が高いです。
そんな時には、落ち込まず、逆に
「強化すべき場合がクリアになった!」と喜びましょう。
そして、うまくいかなかった箇所の
●文章を書き出す(単語帳に入力する)
●発音練習をする
など、その箇所に集中して取り組もう!と気持ちを切り替えてみて下さい。
英語上達に一番必要なもの
それはなんといっても「達成感」ですし、「自分、結構イケてるじゃん」という誇らしげな気持ちになれることです。
ですから、もしシャドーイングをやってうまくいかなかった箇所がとて~も多かった場合は、教材のレベルが今のご自分には合っていなかった、という、ただそれだけのことです。
そんな時は、もう少し楽にできそうな教材に変えればよいのです。いろいろな音源を聞いてみて「これなら楽しく1週間続けられそう」というものを、ぜひ見つけてみてください。
探すのにいろいろ聞くだけで、リスニングの強化にもなりますしね♪
今回は、”正統派”シャドーイング方法について書いてみました。
「始めよう!」と思われた方、ぜひとも継続して取り組んで頂きたいです。
英語上達には、続けることが一番。なんと言っても、
英語は筋トレですから。
いがらしじゅんこ:日英会議通訳者