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ADHDとCBD -メリットとリスク(薬物間相互作用)について調べてみた-

Twitter上で@GixTanvという名前でADHDあるあるを適当につぶやいたり、CBN/CBG優勢リキッドや原料をメルカリECサイトで販売しているENFRIARTEというものです。
商品情報やプレゼント企画等はこちらのアカウントで発信しています。

前回の記事からだいぶ時間が空いてしまいましたが、今回は自分がADHD診断をうけていることもあり、ADHD患者にとってCBDってどんなメリットがあるのか薬とCBDって一緒に摂っても大丈夫なのかという点を主に調べてきました。
結論から先に言うと自分がもらっているコンサータとCBDには薬物間相互作用が存在するという結果を示唆する研究結果がありました。
だから併用してはいけないと結論づけてはおらず、摂取方法によっても成分の代謝スピードは異なり、時間を空けて摂取すれば問題ないと考える方もいらっしゃると思います。
無責任ですが、あくまでこういう研究結果があったよという紹介なのでこれらの情報を基に主治医や薬剤師の方と相談していただく/自分でCBDとの付き合い方を判断していただければと思います。

また、専門家ではないため、誤った解釈による誤解が多く含まれているかもしれません。そういったことはもちろん避けたいですし、自分の勉強にもなるのでぜひご指摘いただければと思います。こちらでご指摘いただければ可能な限り迅速に対応/修正させていただきます。
また、引用元の論文も示しておりますので詳細はそちらを追っていただければと思います。

目的

ADHD患者に対するCBD摂取のメリット、リスク(薬物間相互作用)に関して論文調査した結果を共有し、ADHD患者がCBD関連製品とどのように向き合うか考えるための情報を提供する。

流れ

前回に引き続き読みづらいことは自覚しているので、気になるところだけでもかいつまんで読んでいただけると幸いです!!
第1章では、ADHDの基本症状をまとめ、患者に処方される薬の代表例を紹介
第2章では、過去の記事を引用しながら、CBDによって改善されるADHDの症状、副作用の紹介
第3章では、薬物間相互作用の概要とCBDとADHD患者に処方される薬の薬物間相互作用に関する論文の紹介
最後に結論をまとめています。

ADHDの基本症状と一般的な薬物療法

ADHDの症状として、以下のようなものがメイヨークリニックの記事[1]に挙げられており、順に列挙します。

多動や注意欠陥など他にもあるだろーというご意見はあるかと思いますが、挙げるとキリがないのでご容赦ください。

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  • 衝動性

  • 整理整頓と優先順位付けが苦手

  • 時間管理が苦手

  • タスクに集中するのが苦手

  • マルチタスクが苦手

  • 過度な活動や落ち着きのなさ

  • 計画性がない(先延ばし癖)

  • ストレス耐性が低い

  • 頻繁に起こる気分の落ち込み

  • タスクを遂行し完了するのに問題がある

  • 短気

  • ストレスにうまく対処できない

ストレス耐性の低さ(Low frustration tolerance)とストレスにうまく対処できない(Trouble coping with stress)の違いはnativeではないので自信がないですが、Low frustration toleranceはストレスによって生じる負の感情が増幅しやすい、Trouble coping with stressはストレスが負の感情につながりやすいくらいの違いかなーと理解してます。(英語強い人教えてください笑)

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これらの症状を軽減するために、日本ではADHDと診断された患者に対して、主に3種類の薬物療法が行われています。

  • メチルフェニデート(コンサータ)

  • グァンファシン(インチュニブ)

  • アトモキセチン(ストラテラ)

NHSによると、メチルフェニデートは最も一般的に使用されるADHD治療薬で、子供にも大人にも投与することができ、その副作用は、血圧や心拍数の上昇、睡眠障害、頭痛、うつ病などです。 グァンファシンの副作用は穏やかで、睡眠と精神衛生への影響はないとされていますが、大人には投与できません。(英国では大人に使用されないの間違いで、日本では2019年から成人患者に対する使用が認められているようです。ご指摘ありがとうございます。)アトモキセチンは5歳以上の患者に投与可能ですが、同時に自殺願望や肝障害など、深刻な副作用の可能性があると記載されています[2]。

これらの薬は、主に集中力を高め、衝動を抑制することを目的としています。
一方でストレス耐性や頻繁に起こる気分の落ち込みなど、ADHDの他の症状についてはこれらの薬による改善は言及されておりません。これらの初期症状をうまく改善できないと、負の感情が積もり、より長期的かつ深刻な不安に発展していく可能性があります。
また、これらの薬の副作用により、不眠症や不安などの新たな問題が発生してしてしまうことが指摘されています。

自分の場合はコンサータによって動悸が生じることが多く、抗不安薬を用いることで対処しています。ADHDの症状とADHD薬の副作用を考えて、日常生活で発生するストレスをうまく解消し、睡眠を整える、バランスの良い食事を心がける、日差しを十分に浴びるなどをこころがけることでADHDの症状を対処するということを心がけて生活しています。また、それらに加えてCBD関連製品も1つの選択肢になるのではと考えています。

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ADHD患者がCBDを摂取することによって得られるメリット

不眠症や不安の症状に対してCBDが有効であるということは臨床試験(高用量使用)とユーザー調査(低用量使用)の両方において示唆されているということは以前の記事で紹介した通りです。
ご参考までにこの記事の中で紹介した論文の要点を1つだけ紹介します。

1. CBDを使用するユーザーの目的のトップは不安解消の42.6%。二番目はストレス解消で42.5%と報告されています。
2. CBDを不安解消目的に使用している人のうち、86.5%が「不安が低減された」と回答しています。

前回執筆記事

また、他にもADHDの症状と言われている多動性症状や睡眠障害、不安や抑うつ症状に関しても改善が見られたということが自閉症患者群に対する臨床研究の結果示されております[3]。こちらの効果や検証方法に関しては@rokiroki_univさんの有料記事で詳しく紹介されているのでこちらを参考にしていただければと思います。

個人的には精神疾患をお持ちの方でCBDからどのような効果を得られるか興味をお持ちの方は必読な記事かと思います。

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ADHD患者に処方される薬とCBDの薬物間相互作用

我々のようなADHD患者がCBDの使用に際して注意すべき点として挙げられる大きな懸念の一つに薬物間相互作用があるかと思います。
薬物間相互作用とは複数の薬物を併用した場合に、薬効が減弱あるいは増強されたり、有害作用が起こることと定義されます。
薬物相互作用の大部分は、薬物の代謝中に主として2つのメカニズムで発生します。一方の薬剤が別の薬物の代謝を阻害することもありますし、反対に代謝を増加することもあります[4]。

酵素の阻害:薬剤Aは、薬剤Bを代謝する酵素の産生を阻害します。そのため、血中の薬剤Bの濃度が上昇し、過剰摂取の状態となります。
酵素の誘導:薬剤Aが、薬剤Bを代謝する酵素を多く産生するよう、刺激します。これによって薬剤Bの有効濃度が低下し、薬剤Bの有効性の低下につながる可能性があります。このことで薬剤Aの効果に変化は生じません。

BIJICOMJAPAN,「代謝的薬物相互作用

今回はこのケースに当てはまるかどうかという観点で薬物間相互作用によるリスクに関して論じている論文を紹介します。
3つの主なADHDの薬の代謝に使われる酵素は以下の通りです。
メチルフェニデート: CES1
グァンファシン: CYP3A4
アトモキセチン: CYP2D6

メチルフェニデート(コンサータ)について

メチルフェニデートには、THC、CBD、CBNなどの主要なカンナビノイド及びその代謝物によるCES1阻害作用が確認されています。また、THC、CBD、CBNを併用すると阻害力が増すという結果も出ています。THCとCBDのCES1に対する阻害作用は臨床的に有意であり、CBNの阻害作用は限定的であると以下の論文で示唆されています[5]。

CES1が阻害されるということは、メチルフェニデートの代謝が本来の設計よりも低下し、薬効が増大することも考えられ、薬効と副作用が表裏一体であることを考えると、副作用の発現の可能性も高くなるのではと考えています。
また、自分のメモ用アカウントでもツイートしているのですが、治療指数(Therapeutic Index)の値が低い薬を処方されている方はこの点を気をつける必要があるのではないかと考えています。

by ENFRIARTE

グァンファシン(インチュニブ)とアトモキセチン(ストラテラ)について

グァンファシンとアトモキセチンは、P-450酵素によって代謝されます。P-450酵素がカンナビノイドの代謝に関与しているかどうかを確認すると

Source: Delta-9-Tetrahydrocannabinol and Cannabidiol Drug-Drug Interactions

グァンファシンの代謝酵素であるCYP3A4がCBDにも関与していること[6]から、CBDとの併用によりグァンファシンの代謝が阻害/誘導され、薬効や副作用が増加/減少する可能性が示唆されています。今回の研究では、THCとCBD(ナビキシモルズに含まれる)の併用がCYP3A4による薬物代謝を阻害することは検証されていますが、CBDの個別の影響については調べられていません。
CBDが他の薬物の代謝にどのような影響を与えるか、こちらでリストを確認することができるので、興味のある方は自分の飲んでいる薬と照らし合わせてみるとよいかもしれません。カフェインなどとの相互作用もリストに含まれています。
アトモキセチンの代謝に使われる酵素であるCYP2D6は、CBDの代謝には関与しないため、薬物間相互作用のリスクは低いと考えられています。

まとめ

CBD使用によるメリット

  1. ADHDの症状である「ストレス耐性の低さ」と「ストレスにうまく対処できない」と関連性があり、処方薬の副作用としても見られる不安に対して、CBDの使用によって「効果があった」と多くユーザーが感じている。

  2. 処方薬の副作用にある不眠に対しもポジティブな効果が報告されています。

  3. 他にもADHDの症状である多動性、コンサータの副作用として挙げられる抑うつ症状に対して効果があると示唆される臨床研究の結果を示しました。

CBDとの薬物間相互作用

  1. アトモキセチン(ストラテラ)を除き、CBD は日本で一般的な ADHD 治療薬(コンサータとインチュニブ)と薬物間相互作用が予想される。

  2. コンサータはCES1によって代謝され、CBDはCES1の阻害剤であることが示されています。併用することで、コンサータの代謝が阻害され、薬効が増強され、副作用が発現する可能性があります。

    1. コンサータの副作用には、不眠、頭痛、攻撃性の増加、過敏、抑うつ、不安、緊張などがあり、ADHD患者の方はこの可能性を事前に知っておくとよいかもしれません。

  3. インチュニブはCYP3A4で代謝され、CBDの代謝にも関与している。CBDのインチュニブ代謝に対する具体的な作用はまだ示されていませんが、その作用が存在する可能が示唆されている。

  4. ストラテラについては、CBDとの薬物相互作用のリスクは低いと考えられています。

参考資料

[1] “Adult attention-deficit/hyperactivity disorder (ADHD),” MAYO CLINIC. https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/adult-adhd/symptoms-causes/syc-20350878 (accessed May 23, 2022).
[2] “Treatment: Attention deficit hyperactivity disorder (ADHD),” National Health Service(NHS). https://www.nhs.uk/conditions/attention-deficit-hyperactivity-disorder-adhd/treatment/ (accessed May 23, 2022).
[3] P. Fleury-Teixeira, F. V. Caixeta, L. C. R. da Silva, J. P. Brasil-Neto, and R. Malcher-Lopes, “Effects of cbd-enriched cannabis sativa extract on autism spectrum disorder symptoms: An observational study of 18 participants undergoing compassionate use,” Front. Neurol., vol. 10, no. OCT, pp. 1–9, 2019, doi: 10.3389/fneur.2019.01145.
[4] F. Yamashita, “Modeling and simulation of pharmacokinetic drug-drug interaction caused by induction of metabolic enzymes,” Folia Pharmacol. Jpn., vol. 147, no. 2, pp. 95–100, 2016, doi: 10.1254/fpj.147.95.
[5] Y. Qian, X. Wang, and J. S. Markowitz, “In vitro inhibition of carboxylesterase 1 by major cannabinoids and selected metabolites,” Drug Metab. Dispos., vol. 47, no. 5, pp. 465–472, 2019, doi: 10.1124/dmd.118.086074.
[6] P. T. Kocis and K. E. Vrana, “Delta-9-Tetrahydrocannabinol and Cannabidiol Drug-Drug Interactions,” Med. Cannabis Cannabinoids, vol. 3, no. 1, pp. 61–73, 2020, doi: 10.1159/000507998.


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