平均思考は捨てなさい──出る杭を伸ばす個の科学 (早川書房)
"平均的な人間は誰もいない"
この本のメッセージは、この一言に集約される。
機械的なパラダイム、テイラー主義の延長線上で、僕らは「平均を基準にする」という思考に慣れきっている。組織に対して、人に対して、そして自分自身に対しても、「平均」を基準として考える。
「平均」とは、たくさんの要素が同じ母集団に属していることを前提とする。また「平均」とは、ある特定の切り口からその母集団を表現する一つの指標に過ぎない。
そもそも人は、「同じ母集団」に属していない。
そもそも人は、「多様な切り口」で表現される。
標準化に意味があった世界では、「平均」を最大限に活用することに意味があった。しかし、多様化が重視される世界では、「平均」の害悪も発生してくる。そういうことを問い直す一冊。
平易で読みやすい割に、提示される変化の観点は非常にパワフルだった。