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【翻訳メモ】INSIGHTS FOR THE JOURNEY

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■全体目次 https://note.com/enflow/n/n51b86f9d3e39 ■「ティール組織」の著者であるFrederic Laloux によるINSIGHTS…
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【2.16】 取締役会の役割は?(What roles for the board?)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。(サイトにある日本語対訳に句読点等をつけ、読みやすいように、一部、接尾語や接続語などを足し、加工したものです) ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/216.html ■翻訳メモ 営利非営利を問わず取締役会の役割は何でしょう?“ティール組織”における取締役会の役割は?どうすればリーダーは取締役会を従来の形から新しい形に変えられるでしょう? 取締役会の影響力は強いので重要な問題です。しかしこのテーマは研究途上でもあるので 私にはまだサンプルが少なく、数年後には内容が増えるかもしれません。今回は現在の知識を話します。詳しい人はどうかコメント欄などで意見をお知らせください。 組織が変革に取り組むなかで昔ながらの考えの取締役会に苦労する場合があります。ビュートゾルフのブロック氏の例を紹介します。彼は最初の頃役員会のメンバーを専門知識で選んでいました。財務の専門家や医療や行政の専門家といった形で、バラバラな人物を選んでいました。しかしその役員たちは変革を理解せず、ブロック氏に尋ねるのです。ビュートゾルフの理念にない“計画”や“予測”といった内容をです。それで役員への対処が重荷になっていた。それから彼は何とか少しずつ役員を徐々に入れ替えていき、現在は彼を支える役員を得ています。あなたの旅でも起こり得ることなので機会を見つけて理念に合わない人は緩やかに入れ替えましょう。 別の取締役会は、上場している企業でしたが、役員たちは理念を理解せずそれでも業績は良かったのでテコ入れをしませんでした。計画や予算について役員が出してくる意見も最適な解決策には感じられない。それでもある程度機能するので、そのままにして手をつけていなかった。業績の良さに満足していたのです。確かに大きな変化を起こすのはリスクです。階層の廃止は取締役会の動揺を生むので長期的な意味での解決策とは言えません。そのためとても重要なのは理解ある役員を得ることです。あなたの目指す組織を理解し支えてもらうのです。そこで注目したいのが取締役会が持っている2つの既存の役割とティール組織における2つの新しい役割です。取締役会が持つ既存の役割の1つ目は組織の監視と管理です。監視の義務は法律で定められてさえいます。頭に入れておくべきは監視が役割でもあり法的義務でもあるので、状況を把握したがるのは当然だという点です。役員が万事順調だと保証を欲しがるのは当然です。そこで次の問いが出てきます。どうすれば保証を得られる?どうすれば従来とは違う形で管理できる?役員が計画や予測や報告を求めるのは仕事を増やすばかりで理念に合いません。ひとつ確かなのは、保証のために求めるレポートや指標や計画や予測からは管理した気分が得られるだけです。突然倒産してしまう大企業もたくさんありますしエンロンのような不正も起きます。取締役会には文書や報告が渡されているのにです。それだけでは組織の現実が見えないのです。昔なら追加の数値や報告を要求します。それは管理した気分になるだけです。多くの報告や数値では現実が抽象化されます。 だから組織の実態を探るにあたって数値や報告だけを見てしまったら現実に目がいかない。でも極論に走ってはいけません。サマリーや数値や指標ももちろん貴重です。しかしデータを現実と思い込むのは幻想です。なのでそれぞれの組織に合った形で真の会話を持つことが大切になるでしょう。あなたや役員たちと組織の面々が話し合うのです。どういう環境にすれば取締役会が監視や管理をうまく実施し、組織が見逃している点に光を当てられるでしょう?どうすれば幻想でなく真の意味での監視や管理ができるでしょうか?私が役員たちに必要だと感じるのは組織への献身性や積極的な関与です。その実現には役員にも時間が必要なので、従来のように事前に準備した資料をただ報告するのではなく、役員に組織の現実をじかに見せましょう。 その優れた方法のひとつは助言プロセスです。AESでデニス・バーキが採用した手法です。役員は各分野の専門家が起用されることが多いです。法律や財務やマーケットの専門家たちがいる。そこで試したいのはかしこまった場でのみ意見を伺うのではなく重要な意思決定に関する助言を求める場合、仲間だけでなく役員にも助言をもらうことです。役員が関与できる良い方法です。意思決定に関与して現場を肌で感じられる助言プロセスなので、役員は助言でき意見は尊重されますが重役とはいえあくまでも助言です。それでも良い関与の方法です。方法は他にもあります。習慣を見直したり、指標の設定方法を見直すにあたり、役員たちと一緒に話し合い、組織の存在目的を聞く会を作るなど、結果の報告ではなく過程に巻き込むのです。考えるべき問いはこうです。監視や管理のニーズをどうすれば満たすことができるでしょう? では2つ目。変革できる既存の役割の2つ目はCEOを任命する役割です。とても重要な役割です。別動画でも話しますがすっかり自分たちの組織を作り直して見事に機能していたのに、古いタイプのCEOを後継者にして組織が昔に逆戻りする場合があります。ではどうすれば取締役会は組織に合った形で法的な監視の義務を果たせるでしょう?後継者となるCEOを“選ぶ”のではなく、つまり組織にCEOを押し付けるのではなく、プロセスを作って CEOが“出てくる”ような過程を作るのです。“CEOの役割”という言い方はここで止めます。CEOの役割に関して別の動画で語りましたが新しい組織においてCEOや社員には肩書きごとに決まった固定の役割がありません。流動的で細かな役割を持ちます。なので取締役会は辞めた人の役割を意識すべきです。前任のCEOの役割はなんだった?誰が埋め合わせられる?たとえば前任のCEOは組織の存在目的の源だったかもしれない。別の動画で語った“源泉”です。または新しい組織のために場を整えていたかもしれない。昔とは違う形で運営しようと伝え続けていた。その他にも組織の広告塔という役割もあります。どうすれば取締役会はこうした役割に適切な人物を補充することができるでしょうか?まずは役割の埋め合わせが権力争いとは無縁だと明確にしましょう。CEOの後釜を狙ってよく争いが起きるからです。そこでの取締役会の役割は重要です。空いたCEOの座を各自が争うのではなく 元CEOの役割を全員で埋めるのです。各自が一部を埋め合わせる。ポイントは誰が自然と中心的な役割を担うかです。自然と中心的な代役となっていくのは誰でしょう?それを確かめる方法のひとつが立候補抜きの投票です。ソシオクラシーで発展しホラクラシーで活用される方法です。基本的に立候補者は募らず後継者の投票を組織全員に求めるのです。あるいは最適な後継者を判断できる関係者に投票してもらう。後継者にふさわしい人物の名前と理由を提出してもらうのです。回答を集めるとほとんどの場合結果は明らかです。新たな“源泉”となる人の名前や組織の新しい広告塔となる人の名前や場を整える人の名前が見えてきます。W・L・ゴアがテリー・ケリーをCEOに任命したときやケリーの後任となるCEO選びにも似たプロセスが使われました。取締役会は社員の大半に新CEOは誰がいいか尋ねました 私は“CEO”という肩書きの撤廃を勧めていますが、でもとにかく後継者の“任命”ではなく“選出”をサポートしたのです。 では新しい2つの役割についても話しましょう。新しい役割のひとつは取締役会が場を作ることです。深い会話を交わす場です。組織のなかで一番広い役割を担っている人たちとの会話です。CEO的な役割を担っている人です。そういう人と深く語り合うのです。“何を考えてますか?何かを楽しみ学んでますか?”“次に挑戦したいことは?”“自分と組織の存在目的により見合った仕事をするには?”こうした対話の場は全員に必要です。どれだけ努力しても自然に場は生まれません。年長の人たちには慣れないことですし、年少の人たちは尻込みするかもしれない。なので深い会話は簡単には生まれません。だからこそ取締役会の役割が重要になります。組織のリーダーたちが真に深い会話をして点検や計画の機会となる場を作るのです。もうひとつの新しい役割はこれまで以上に外の世界や外部の意見を組織に持ち込むことです。モンテッソーリ教育に携わる友人と話していて取締役会について相談を受けたときに思ったんです。“取締役会のなかで”“外からの意見をくれる人はいるだろうか?”“疑問を投げかけて力を引き上げてくれる人は?”“別の教育者や神経科学者はいないだろうか”“監視よりも新しいアイデアを刺激する人がいてほしい”呼び名はどうあれ取締役会に相当するところに学びへと導いてくれる人がいることも大切です。思考を刺激する人です。非暴力コミュニケーションやアプリシエイティブ・インクワイアリーやオットー・シャーマーの“U理論”に詳しくて、そうした知見を組織にいつも還元してくれる人や組織のためにU理論の旅を用意してくれる人です。これが役員たちの新しい役割のひとつです。 取締役会と切り離したチームとして組織に刺激を与えるのも良いですが取締役会の役割に組み込むことが重要です。そうやって取締役会が刺激を与えながら組織の監視や管理もおこなっていくのです。私の見解は以上ですが付け加えることがあればぜひ下のコメント欄に追加してください。 ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【2.15】 コーチ・コンサルタント・ファシリテーターの役割(What roles for coaches, consultants, and facilitators?)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。(サイトにある日本語対訳に句読点等をつけ、読みやすいように、一部、接尾語や接続語などを足し、加工したものです) ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/215.html ■翻訳メモ あなたが組織で進めている大きな変革においてコーチやコンサルタントやファシリテーターが担う役割は?という興味深い問いがあります。面白いことに、変革の旅を進めるにあたり私が知っているどの組織も伝統的な大手のコンサル企業と手を組んでいません。それは論理的な結果とも言えます。大手コンサル企業の多くは達成型のオレンジ組織であり組織を機械だとみなして変革は最後まで計画を立てて実行できると信じている。事前に計画を立ててから実行するのです。しかし今回の変革は複雑なので計画ができません。だから私が話を聞いたどの組織も従来型のコンサル企業と組まなかったのです。でもコーチやコンサルタントやファシリテーターにはもう役割がないと言うのは極論です。今回は旅の協力者について4つの視点を紹介します。 1つ目はコーチたちも手助けは可能だということ。英語ではピッタリの表現があまりないのですがフランス語には良い単語があります。“アコンパニエ”もしくは“アコンパニエター” 意味は一緒に歩いてくれる“同行者”です。いい言葉です。あなたの旅に同行して、あなたと共に旅を楽しむ人です。そしてリーダーに外からの視点や、専門知識やスキルを提供する 英単語だと少しニュアンスが違います。“コンサルタント”と聞くと診断的で計画やパワーポイントのイメージです。“コーチング”も少しニュアンスが違う。突き放しすぎな語感があります。時々教えるという感じです。でも私は“同行”という考えが好きです。変革の道を一緒に歩いていくのです。」リーダーと同じように前のめりの姿勢で変革の道を模索する人です。そこで重要になるのは深いレベルでの信頼感があることです。名前は何でもいいですが“ファシリテーター”や“同行者”と組織やメンバーとの信頼です。なぜならリーダーが同行者に求めるのは真実を映す鏡だからです。耳に痛い真実を告げてほしい。だから組織のメンバーやリーダーのあなたがたとえ嫌な真実でも信頼して耳を傾けられる相手であることが必要です。 2つ目の視点です。コーチは3つのレベルで組織と関われるはずです。第1はCEOの個人的な同行者、つまりCEOのパーソナルコーチです。変革時のCEOの役割については別の動画で語りました。しかしCEOはまだまだ負担が大きく、周りに旅の参加を呼びかけ良心を持ち、ミスはきちんと認め手本を示す必要がある。なのでCEOにもサポート役が欠かせません。それが1つです。CEOの信頼できる相手になり、CEOとアイデアを出し合い、時には厳しい現実を告げる役割です。 第2は経営層との同行です。組織によっては経営層でなく組織全体が変革を主導していますが、そうでない組織で大切なのはCEOだけでなく他の重役たちが変革を理解することです。重役たちがバラバラのメッセージを発したり、変革に抵抗を示していたら、組織は混乱してしまいます。なので経営層との深い連携が必要な場合もあります。まったく理解のない重役もいるでしょう。CEOの目指すものを理解せず、いつ通常に戻るのかなんて聞いたりする。だから理解を得るための機会が必要なので、外部の人間によるサポートは不可欠だと思います。 第3は組織全体との同行です。多くの組織は変革にあたって大きな集会を開いたり、大体的に参加を呼びかけます。そうした場面でも外部の人間が、誰にとっても安全な場所を作り出して話し合いを促せます。興味深いことにこの3つを同時にこなせる人はたくさんいます。それは素晴らしいことです。それができる同行者は心から相手に協力し熱心で真に信頼の置ける人間です。そういう人はあるグループの話を聞いても、たとえば組織全体からや立ち話で意見を聞いても、その意見をCEOと話し合うときは、どちらにも公平に語ります。コーチングの世界では次のような考え方があるのも分かります。“CEOと組織全体へのコーチングを”“同時にやるのは無理に決まってる”。それは確かにそうです。その人物が真に協力的でなく難しい任務を遂行する力がないと不可能です。でもその能力があればとても効果的に片方で話し合ったことをもう一方に伝えられます。そんな風に全レベルに対応できる人が必要な場合もあります。 3つ目の視点は専門知識という考え方です。外部の人間であるコーチに求めているのは 主に意義ある対話の場を用意することです。しかし外部の人に専門知識を求めすぎることもあります。でもそれは自力で解決策を考える機会の損失です。優れた同行者というのは 組織に専門知識を進んで教えるのではなく、組織にある強みは何かを探すものです。一方で極端な組織もあります。変革に関する答えをすべて知っているような態度で外部の専門知識を求めようとしない。それも極端すぎて愚かなことです。特に自主経営においては答えがあるとも限りありません。自主経営チームへと変わっていくには習慣のみならず考え方の更新が必要で、未知の領域なのです。 多くの組織が苦労するのを目にしてきました。自分たちに適した方法を知る鍵がないのです。誰かが鍵さえ開けてくれれば自分たちで進んでいけるのです。専門知識は時おり適切に注入するだけにして従来のようにすべてを先導しないことが重要です。難点は適した人材が多くないことです。新しい挑戦なので知識ある人が少ない。だからリーダーは同行者も学習中だと受け入れましょう。多少なりとも知識がある人やこの動画などの情報源を持っている人はとても重要な存在です。 4つ目のポイントは別の動画で紹介したことと関連しています。好みと盲点に関する4象限です。人には好みと盲点があるとウィルバーの4象限モデルを用いて説明しました。コーチである同行者にも好みと盲点があります。ある同行者は個人的な話を深く掘り下げることを好み、リーダーの内面的成長や心の奥の意見に関心を持ち、システムや組織の慣行に注目しないかもしれない。別のコーチは反対にそうしたことが苦手でリーダーを深い内省に導かないかもしれない。好みと盲点は意識するといいでしょう。なぜならリーダーも無意識に自分と似た人を選ぶ可能性があるのです。好みや盲点が似てしまい自分と同じく内省好きのコーチを雇って組織の慣行やシステムが盲点になったりします。好みと盲点は興味深いので2-2の動画もお勧めします。以上が私の考えです。 まとめましょう。リーダーが誰かの力を借りたかったとする。どうすれば適した協力者を見つけられるでしょう?協力を申し出る人は多くいるはずです。コーチやコンサルタントやファシリテーターは変革に熱心なクライアントを求めているからです。ではそこから適した協力者を見つける方法は?4点を挙げました。 1つ目は瞬時に直感的に信用できると感じる人です。心を許すことができ、厳しい内容でも 率直に伝えてくれるだろう人です。安心して話し合え、意見に従ってもいいと思える相手です。“信頼できる人”が最初の視点です。2つ目どのレベルに関わってほしい?トップの私と?経営層と?組織全体への助言?あるいはその全部?それとも各レベルで別の人にコーチしてもらう?などです。3つ目の視点は、その人は次世代型組織の経験や専門知識を持っている?になります。誰もが研究途上なので博識な人はいないでしょう。ならばせめてこちらの思いを深く理解し一緒に学んでくれる人にしましょう。4つ目は好みと盲点を確認することです。自分と似た好みと盲点だったら最適とは言えず効果がないかもしれません。 これらの視点が役立つことを祈ります。旅の同行者となり、共に歩み共に築いていく人が見つかることを祈ります。 ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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3.12 組織の将来を明確にイメージする(A precise image of the future organization)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。(サイトにある日本語対訳に句読点等をつけ、読みやすいように、一部、接尾語や接続語などを足し、加工したものです) ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/312.html ■翻訳メモ 変革に乗り出そうとするリーダーと話をする際、私はよくリーダーと一緒に大きな紙を広げてきわめて具体的な将来像を考えます。自主経営チームは将来どんな形になるか、主要なプロセスや役割のみならず評価や意思決定の方法など、大きな紙に細かく書き出します。これを聞くと人によっては“本気で言ってるの?”と不審に思うでしょう。“部屋で考えるだけで未来の組織が作れるの?”、など。ごもっともです。私も未来の組織が紙に描いて実現できるとか紙に描いて検討すべきとは考えていません。リーダーと密室で検討すべきとも思っていません。なのになぜやるのでしょう?将来像を定めるためではありません。願わくば 紙に書き記した像を実行してほしくありません。それにきっと現実は想像通りにはいきません。こうして将来像を考える目的は安心感や希望を与えることです。“自主経営”や“全体性”、そして“存在目的”といった考え方はかなり先鋭的で目新しいため慣れていないのです。私と一緒に将来像を考えたリーダーたちは心は準備できていてもどんな未来が待っているかは想像できていなかった。そういう状態は不安で落ち着きません。ボートを押して海に出ていくのは難しい。想像もつかない未知の場所を目指すのは大変です。だから紙に将来像を書くことで純粋に安心感が得られます。向こうに岸や陸地があると分かればこう感じるはずです。“これなら自分にもできそうだ”、“想像通りでなくても何とか形になるだろう”、“難解ではないから舵取りできるはずだ”と。大切なのは将来を想像し安心を得たら、その将来像を忘れることです。ただ安心して旅に乗り出しましょう。進めば陸があるのです。 具体的な例を紹介しましょう。病院の例です。その病院が取り入れたかったのが自主経営チームでした。看護師の階層は無くしながら統括する看護師長は残しました。法的に必要なだけでなく階層も師長も存在しないなど想像できなかったからです。そこでリーダーと一緒に変革に必要なステップを書き出すことにしました。採用や業務の質の管理、それから人材配置朝に欠員が生じたらどう看護師を補充するかや生産性の管理などです。そのうえでチームがすべきことと、看護師長がすべきことを区別する。そういう詳細が見えれば安心するのです。“自分たちにもできるしやらない理由はない”私が語っているのはひとつの提案です。無事に安心感を得たら将来像は忘れましょう。自分もできると分かればいいのです。将来像を考える際に役立ちそうなのが専門知識がある人を呼ぶことです。こうした分野に詳しい人でコーチやコンサルタント経験者や自分も組織で変革を経験した人がいいでしょう。なぜならチームには情報や技術が足りないからです。しかし他の方法で学びながら将来像を考えることもできます。ビュートゾルフやFAVIのやり方を社員と研究したり私の本などで知識を深め自分の組織に当てはめてみるのです。 ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【3.11】 旅の前にティール組織を見学すべき?(Visiting other Teal companies before you start?)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。(サイトにある日本語対訳に句読点等をつけ、読みやすいように、一部、接尾語や接続語などを足し、加工したものです) ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/311.html ■翻訳メモ “他のティール組織を訪問したいです”、“ヒントや学びが得られるはずです”、“似た規模や業界の組織を訪問できませんか?”など、リーダーたちから何度も次のような質問を受けました。だいたい私の答えは不評です。“それはできない”と答えるからです。 いま他の組織を訪ねるのはやめましょう。変革の旅に役立たないと強く感じるからです。理由は次のようなものです。自分たちの組織は何かを変えるべきであると自覚している組織は多いです。しかし変革への準備ができていない。そんな時に見学しても役に立ちません。そんな状態で他の組織を見学するとできない理由ばかりに目がいくからです。“わが社は事情が違う”、“業界が違うから難しい”、“わが社は分野も違うし業務内容も違う”、“規模が違う”など。 変革への一歩を踏み出す準備ができてない場合、見学しても役に立ちません。不安や疑念を強めるばかりです。そういう背景があるため、たくさんの訪問を受けてきた企業、たとえばセムコやモーニング・スター、そしてFAVIやゴアなどは、とても多くの訪問を受けながらも訪問に来た組織のうちひとつとして変化を遂げた組織はないと言います。なので私はこう伝えます。“見学は時期尚早だと思うので、次のトピックを深く考えてみてください”。これまでの動画で語ったトピックです。“変革の動機は?”、“いまの組織運営で自分の良心に反する部分は?”、“どうやって目的地を決める?”、動機や良心については1-2や1-3の動画で目的地については1-6で語りました。個人やグループであるいはコーチと見て、こうした問いへの考えを深めましょう。その過程でいつか自分の何かが変わり、扉が開いて準備が整うのです。 準備を整えるもう1つの方法は小さなことの積み重ねです。ひとつ前の動画で紹介したような工夫ある小さな行動を実践することで勇気や理解が育まれ変革の準備が整うのです。しかし私の経験からすると準備前に見学しても役に立ちません。とはいえ2つの場合においては他の組織の見学がとても役に立ちます。 1つ目は旅に熱心に取り組み半年や2年が経過している場合です。その場合は仲間と意見を交換する貴重な場となります。面白いことにこうした組織は見学先を相談する際に決して同じ規模や業界の組織にこだわりません。違う業界の組織からも進んで学ぼうとします。NGOも営利企業や病院から学ぶ長く取り組んでいる組織は具体的な慣行ではなく変革を続けていくためのインスピレーションを求めているのです。見学した慣行はそのまま使えずとも自社に合わせて改良することができます。 見学が効果を発揮する2つ目の場合は労働組合の人たちと一緒に見学をするか"下位階層"の人たちと見学する場合です。現場の作業員たちが他の組織を訪問するのです。それを実践する組織は多く、しかも経営陣は同行しません。現場や組合の人間による訪問の手配は手伝いますが同行はしない。でも訪問は効果的です。現場同士が交流し意見を聞く機会になります。考えの押し付けではなく実際に目で見て自主経営や全体性を知るのです。すると多くの人はやる気になります。だからもしリーダーから見て現場が準備できておらず信頼や理解が不足していたら見学を企画することはとても効果的でしょう。 ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【3.10】 目に見える最初の行動(Visible first actions)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。(サイトにある日本語対訳に句読点等をつけ、読みやすいように、一部、接尾語や接続語などを足し、加工したものです) ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/310.html ■翻訳メモ よく変革の手始めに象徴的で大きな策の導入が検討されます。私は“象徴的”という考え方が好きではありません。象徴的な改革案より考えるべきは心から進んで実行したい案やシステム上必要な案です。そのことは、“どこから始めるべきか”の動画で話しました。改革の始め方に関しては自問してみると良いでしょう。組織に影響を与える大きな行動から始める?それとも小さなステップから?と。大きく始めることもできます。たとえば財務の透明化やそれに向けた社員教育などは大きな行動です。しかし組織の準備が整っていない場合、まだ信頼が築けていないので、大きな改革で急な変化を加えるよりも複数の小さな物事から始めればいいと思います。やがて人が変化し文化も変わります。組織が柔軟になっていき 新しい空気が入ることで大きな変化の準備ができるものです。小さな始め方については興味深い例をいくつか知っているので紹介します。 まずはベルギーの運輸省で実践された例です。パワフルなロラン・ルドゥ氏が数々の変革を行いました。彼は“プティ・カイユ”という委員会を作りました。広く提唱されていた案のひとつで“解放された会社”の慣習とされています。“プティ・カイユ委員会”とは“小石委員会”という意味です。イメージはこうです。働いている人は誰もが小石の入った靴で歩いている しばらくは歩けますが、もっと長く歩く必要がある時は足がすごく痛くなる。どの仕事にも小石があるのに取り除くすべがない。プリンターが遠すぎて不便だとか、適したソフトウェアが入ってないとか、何かを話し合う環境が整ってないとか、そういった物事です。そこでルドゥ氏らは手始めに運輸省のなかでシニアリーダーとして約束したのです。“小石委員会は常に1週間以内に対応し”、“どんな小石への不満も解決策を検討するか“、“解決できない理由を説明する”。すると組織に活力が生まれました。これまで困っていた物事を改善する回路を得て活力がみなぎるのです。経営陣主導なので助言プロセスとは違いますが手始めには効果的な案です。似たような案としてすべての会議をオープンにしたそうです。どんな会議も参加可能にした経営委員会であってもです。イスを2つ増やして先着で参加可能にしたのです。機密情報を取り上げる際は、しばらく離席を求めるとはいえ基本的にオープンです。それが力強い合図となり姿勢が変わりだしました。いくつかの会議に出るうちに 退屈だと判明した会議には出席しなくなるのです。そのため対照的な案も用意していました。価値がない会議からは退出してよいという案です。むしろそれを積極的に促したことで 組織文化が変わっていきました。もちろん“権力の象徴”にも変化を与えられます。たとえば CEO専用の広いオフィスをやめ別の用途に使ったり、階層的な運営方針を変えることは 効果的な変化です。 オランダ出身のベン・カウケンという人物は自主経営について研究する優れた書き手です。彼が紹介した組織にはオランダ語で“Ontregelavond”がありました。ルールや規則を“破壊する夜”です。その夜はリーダーが全員を招待してあらゆるルールを一緒に点検していき、継続や廃止を検討するのです。大組織では1晩どころか丸2日ほど必要かもしれませんが、とても効果的な合図となり自由を生みます。 私の知っている組織からブラジルのセムコの事例を紹介しましょう。そこでは新しいリーダーや上司を任命する際にピラミッド型の階層制とはいえ、下の層の人たちが上司の仕事内容を決め、経営陣でなく自分たちが面接し未来の上司を決めるのです。組織の構造は変えないまま組織の文化が変わっていきます。このようにシンプルな方法でも大きな変化につながっていくのです。 別の方法もあります。たとえば本です。ヨーガン・アペロが記したアイデアも素晴らしいし ニールス・フレギングの本もあります。こうした本もアイデアの源泉となります。ボーナスでなく“能力箱”を導入して誰がお金を得るべきか同僚に決めてもらうという案や、たとえば“称賛箱”や“フィードバックの壁”、“ミスの壁”といった案はリスクなく小さなステップで変革の準備ができます。それから大きなステップに進みましょう。そして別の動画でも語りましたが、序盤はこうした行動を取ると同時に、従来の冷たく味気ない言葉遣いを捨て去り、社内の文書や組織の行動原則の書き方も手書きなど見て楽しくシンプルで魅力的にしましょう。見せ方を変えるだけでも変革の土壌を育めます。 ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【3.9】 有志を募り 任命をやめる(Invite volunteers, stop appointing)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。(サイトにある日本語対訳に句読点等をつけ、読みやすいように、一部、接尾語や接続語などを足し、加工したものです) ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/39.html ■翻訳メモ 私が知る従来型の企業では大きなプロジェクトや変革に取り組む際、基本的にはメンバーが上から命じられて実行部隊に参加していきます。それが普通です。能力の高いメンバーに声をかけ実行部隊に誘うのです。この変革の旅ではそれが変わります。私の知る限りどの組織も変革の過程でメンバーの“任命”から“招待”へと変えています。社内の有志を募る形です。 たとえばCEOが社内制度の変革を検討していたとします。助言プロセスのやり方や全員への情報共有の方法、会計制度への理解を促す研修のやり方、あるいは勤務評価のやり方などです。そうした変革には担当を任命するより“これを変えたいんです”、“解決への思い入れが強い参加希望者を募ります”といったメッセージを送りましょう。もちろん社内の問題だけでなく、クライアントに向けたプロジェクトでも新製品の市場調査でも同じです。CEOが神のように誰かを任命して適任者を送るという形から、自ら手を挙げて参加する形になる根本的な変化がおきます。 利点は無数にあります。まずリーダーが神を演じずに済むし熱意ある人が集まってきます。そのうえ多様な人が集まるはずです。それによりアイデアや意思決定の質が高まります。そしてチーム外の賛同も得やすくなる。参加者を募ってチームを形成すると、参加しなかった人も志願した有志のチームだと知っているので、そのチームを信頼し従う傾向にあります。経営陣の任命で作られたチームが突然やって来て“これに従え”と言われる場合とは違うのです。 利点は他にもあります。自発的に集まると力をうまく発揮し自己組織化していきます。それは企業文化の変革にとても効果的です。やらない理由はありません。注意点?私はこれまでに優れた成果や結果を見てきた一方で、失敗するチームの話も耳にしてきました。そこから判断するに失敗の要因は3つあります。順に説明します。 1つ目は自己組織化の方法を知らない場合です。人が集まってもプロジェクトリーダーは誰かと探してしまって自律的にチームを作れない。そうした事態への確かな対処法としては、最初は外からファシリテーターを呼ぶことです。そのファシリテーターはプロジェクトの実現や内容には関知せず適切な質問を投げかけます。“どう組織化する?次は誰が会議を開く?”シンプルな問いを通じて早くコツをつかんで自律することを願います。 失敗する2つ目の理由は、各自がのびのびと力を発揮し真に責任感を持つには訓練が必要ということです。チームに成熟が必要な場合があるのです。たとえば有志で集まったチームが話し合った変革案を経営陣に報告しましたが、実用的でない案でした。コストが高すぎたりまったく中身のない案で“全員にiPadやiPhoneを配る”といったものでした。反対に 別のチームは腰の引けた案を報告してきました。十分な勇気がなく大胆に出る権限があるのに慎重になりすぎていた。権限の大きさに慣れておらず、自らの力に無自覚だったのです。 チームが失敗する3つ目の理由は、時おりシンプルに、チームを募ったリーダーが情報を共有しないからです。次のパターンがよく見られます。新しい形での運営を目指してリーダーが言います。“ご自由にどうぞ”、“みんなにすべてを任せる”、“どうか好きにやってくれ”と。 しかしリーダーは知識豊富であり、組織に何が必要かも知っています。それを共有しないと チームは重要な情報を得られずうまく進めないのです。 2つ目と3つ目の失敗には明確な対処策があります。成熟度と情報が必要なチームには 助言プロセスの活用を提案しましょう。従来のモデルではチームで部屋に閉じこもって数日や数週間検討し、完成したら“ジャーン!これが我々の案です”と経営陣に発表する。しかし閉じこもらずに案を作っていく過程で助言プロセスを用いて、周りの感触を探り助言を得るのです。リーダーや経営幹部からもです。そうすれば、現実離れした案も出てこないでしょう。リーダーの情報も伝えられるはずです。どんな形であれ助言をしましょう。指令でなく考えを伝え周りの意見も聞いてもらい最善案へと導くのです。 もう1つのアドバイスは、経営陣からの“承認”を求める体質にしないことです。チームが作った試案は助言プロセスの仕上げとして同僚たちに見せましょう。経営陣や運営委員にではなく、大きな発表の日を設けて最終的な試案を他の同僚たちに伝えましょう。その発表の場で、助言プロセスを経て案を決めるのです。それはかなり根本的な変化です。作り込んでから経営陣に見せるのとは違います。 失敗の理由はもう1つありますがこれは良いタイプの失敗です。その失敗とは有志のメンバーを募ったのに誰も集まらない場合です。あるいは1〜2人で集まっても発展しない場合です。それは現体制からの健全な反応であり、次のようなメッセージを送っているのです。 “その考えは重要ですが” “この組織には不要なので検討はやめましょう” それは役立つ情報です。あるいは重要性が伝わっていない場合も、納得するまで動かないチームの姿勢は素晴らしいので、人が集まるよう説得しましょう。このように根本的な変化を遂げ、変革の際は任命をやめて有志を募りましょう。 ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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3.8 新旧の組織の前提を明確化する(Make old and new assumptions explicit)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。(サイトにある日本語対訳に句読点等をつけ、読みやすいように、一部、接尾語や接続語などを足し、加工したものです) ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/38.html ■翻訳メモ 先進的な組織の多くは価値観を明確にする努力をしています。『ティール組織』執筆時の調査で強く印象に残っているのはFAVIやRHDやAESがより深い取り組みをしていたことです。自分たちが持つ無意識の前提を振り返り、人や世界や職場に対する考え方を知るのです。これには有名な理論があります。職場での無意識の前提を理論化したものです。マクレガーが1960年代に提唱したX理論とY理論です。初めて聞くかもしれませんが概要はこうです。マネジメントにおいて当時は一般的で残念ながら今も広く残る考え方をX理論と呼びます。従業員は信頼できず怠け者で仕事嫌いだという前提で、従業員をコントロールするためにシステムや上司や規則を導入してサボらず仕事をさせるという考えです。一方で正反対の前提もあります。それがY理論です。従業員は意欲的であり環境が整えば仕事を愛すし信頼できるもの。その前提だとマネジメントの形も正反対になります。私が研究してきた組織はそうしたマネジメントを見事に体現しています。 私が感銘を受けたのはFAVIやAESやRHDは前提を明確にするだけでなく言葉で伝え続けていた点です。特にAESでは従来型運営の組織を買収した際に必ずやっていたのが創業者のデニス・バーキ自らが従業員に対して、従来型のマネジメントにおける無意識の前提を説明したうえでその問題点を指摘し新しい前提を語ることです。驚くまでもなく組織によっては“同行者”としてコーチを雇っています。トスカーナというフランスの企業は組織にコーチを派遣し前提の明確化を行います。最初の支持者たちとの会合などでも、前提を明確化するべく従業員に呼びかけるのです。 “自社の今のマネジメントではどんな無意識の前提があるでしょう?”と小さなグループに分けて問いかけます。すると悲惨な前提が判明します。従業員は泥棒で信用できないとか、この組織で重要な決定権を持つのは男のエンジニアだとか、20年以上勤めた人が権限を持つといった前提です。この取り組みは解放感を生むようです。少人数のグループで無意識の前提を掘り下げ、発見したことをマイクで全体に向けて発表する。悲惨な前提を指摘できる解放感です。前提の存在を認めて言語化し、もう嫌だと主張できるのです。無意識の奥底を明らかにするのは難しいことです。 方法のひとつとしては自社の経営慣行を総ざらいしてその慣行から見えてくる前提を考えるのです。あちこち鍵がついていたら社員を信用していない証拠だし、多くの階層を持つ組織だった場合、最下層の社員は愚かだという前提がある。目標やインセンティブが設定されているのは、それがないと怠けるという前提があるからです。あらゆる慣行を振り返って 無意識の前提を洗い出してみましょう。 その次のステップとしてトスカーナやAESはこう問いかけます。 “決別したい前提は特定できましたが” “取り入れたい前提は?” もちろん素晴らしい前提にしたいはずです。 たとえばFAVIでは、社員は基本的に善人だという前提に立ち、現場から生まれた価値観を大切にしています。RHDが立脚しているのは、“人の価値は等しい”という前提で組織運営に大きく影響しています。全員でリストを作って理想の前提を考えてみましょう。さらに熱心な組織では新しい前提に署名し重みを与えています。またニールス・フレギングは、手紙の執筆を提案しています。組織に宛てた手紙の中で前提について語り宣言や声明を記すのです。要点はこうです。変革の旅の序盤は手探りで進むしかありません。しかし新しい前提を持てばそれが基準となり、常に確認ができます。“前提に沿った変革になっているか?” “新しい前提でなく古い前提に陥っていないか?”前提を意識するのは効果的で変革を後押しします。 AESにならって新しいグループを引き込んだり、他の組織を取り込むたびに、これが私たちの前提ですとただ伝えるのではなく、まずは現状を分析してもらいましょう。無意識の前提を明らかにするのです。それから新しい前提を書いてもらう。宣言や手紙を見比べるのはとても効果があります。なのでオススメします。ぜひ検討してみてください。 このエクササイズを通して従来の前提を壊し新しい前提を築いては? ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【3.7】 組織全体を巻き込む(Engaging the whole organization)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。(サイトにある日本語対訳に句読点等をつけ、読みやすいように、一部、接尾語や接続語などを足し、加工したものです) ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/37.html ■翻訳メモ 前回の動画では大きな組織において、最初のフォロワーを巻き込むためのいくつかの方法を紹介しました。そこで語った方法は小さな組織なら全体に向けて使えます。組織の全員をミーティングに招き、最初のフォロワーではなく全員に伝えればいい。しかし大組織では 最初のフォロワーたちを巻き込んで変革が動きだすと、組織全体に向けて説明する時が訪れます。それはなかなか難しい作業なので私が聞いて納得したアドバイスを紹介します。 この変革について組織全体に説明する際に気をつけるべきなのは、大げさな発表にしないことです。以前の動画でも語ったように、この変革の旅に名前を与えるべきではありません。それと似ています。大きな組織にはリスクがあります。大げさに語ると誤った期待を生んでしまいます。翌週や翌月に変わると期待しますが、大組織は変化に時間がかかります。そうして失望や懐疑が生まれます。大げさに語ることで抵抗や不安も生みます。なので控えめに語ることが重要です。そうすると葛藤が生じることになります。全員を変革に巻き込みたいのに大げさな言い方で宣伝することもできない。こうした事態における最善の対処法は 控えめながらくり返し語ることです。大げさな発表ではなくブログを投稿したり、ビデオ会議や社内報などを通して伝えるのです。機会を見つけては思いを語りましょう。自分が思い描く組織の方向性を伝えて、全員に参加してほしいし支援すると語るのです。そうすれば控えめに伝えられると同時に、広く全員の心に響くものになるでしょう。そして心動かされた人が参加してくれるはずです。 その他の手段では、刺激を受けた動画や本をシェアするのも良いです。理解が広がり変革の価値が伝わります。1冊だけ紹介するのは避けましょう。実に多くの組織がたとえば私の本だけを配っていました。私は嬉しいですが、良い策ではありません。著者や本や考え方を1つだけしか伝えない場合、それが新しいルールだと誤解されかねません。それは困ります。 さまざまな動画や本を紹介することで気づくはずです。 “本もたくさん出てて変革は社会の潮流なんだ” “自分たちもやってみよう” “本にあるような組織になれるかもしれない” ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【3.6】 最初のフォロワーたちを巻き込む(Engaging a group of first followers)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。(サイトにある日本語対訳に句読点等をつけ、読みやすいように、一部、接尾語や接続語などを足し、加工したものです) ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/36.html ■翻訳メモ 小さな組織のリーダーなら組織全体を引き込むのは比較的簡単です。ミーティングで全員を部屋に集めてビジョンを語り変革へと誘えばいい。しかし千人や1万人規模の大きな組織だと簡単ではありません。大組織を変革したリーダーたちを振り返ると最初のフォロワー・グループを迅速に作っていました。初期の賛同者たちです。この動画は“呼びかけの力”という題も考えました。効果の大きさを知っているからです。リーダーが社員に対し力強く呼びかける効果です。心の底から呼びかけて、変革が自分にとって重要な理由を伝え、実現には協力が必要だと語るのです。変革には皆の力が必要だと伝える。最初のフォロワーを得ることは、とても効果的なだけでなく決定的に重要です。彼らが定期的に集まることで活動が周りの目に見え継続性も生まれます。最初のフォロワーが重要なのはリスクをとってシステムの限界を超えるとき、仲間の協力を得ようとするからです。さらに各部門から集まることで、組織全体が変わっていきます。特定分野だけで試していたらそれは不可能です。それからまたこうしたフォロワー・グループは変革を呼びかけるリーダーを支援してくれます。変革には抵抗がつきものです。初めのうちは経営陣や他のメンバーから理解されない可能性もあるので、理解し賛同してくれる人がいることで、リーダーはバッテリーを充電し 方向性の正しさを確認できます。 そんなグループを得る方法は2つあります。当然ですが1つ目は全体に向けて呼びかけをして賛同してくれた人が最初の支持者となります。しかしこの方法は機能しないことも多いようです。実践した人たちによれば、集まるのは真のフォロワーとは限らなかったそうです。“CEOが熱心に呼びかけてるから行かなきゃ”と、社内政治で来る人も多かった。結局真のフォロワーはいないという状況になってしまう。多くの組織は2つ目の方法として 何人かのメンバーへの呼びかけから始めていました。協力してくれそうな人に呼びかけるのです。もちろん簡単なことではありません。予想に反して非協力的な人や逆に予想外の人が最大の支持者になったりします。最初に集まったあとでグループに相談し、次に誘う人を決め呼びかけてもらいましょう。そして当然のことながら最初のミーティングの進め方は きわめて重要です。グループの雰囲気や使命を決定づける場だからです。よく準備しファシリテーターを呼んでもいいでしょう。まずは個人的なストーリーや動機を語るのです。この点については動画で何度も紹介してきました。1-2の動画が良い例です。心からの言葉で伝えれば相手にも響くでしょう。それ以外にも社員を小グループに分け、呼びかけへの感想を語らせ、不満や要望を共有することで、当事者意識を持たせる方法もあります。 もっと根本的な手段としては、現在の経営システムに潜む暗黙の前提について語り、新しい考え方を伝えてもいい。別の動画でじっくり語るのでここでは深く立ち入りません。あるいは、実際に改革案を考えてもらってもいい。そして“私はみなさんの案を守り変革をサポートしていく” と伝えるのです。もちろん全部は守れないと伝えましょう。新たな道を進む際は限界にも行き当たります。簡単でないこともあります。だからこそ楽しい冒険なのです。リーダーはメンバーを守ると同時に、自分がいない時であっても、変革を実践するよう促しましょう。最初のフォロワーを得るもう1つの方法はグループが自発的に変革へ向けて組織化していく形です。そのグループに任せてリーダーは関わる頻度や方法を相談し、ファシリテーターや他の協力が必要か聞きましょう。自己組織化していく権限を与え、リーダーは参加もできますが基本的には任せるのです。その呼びかけはとても効果的です。自己組織化チームに参加した人は驚くのです。この組織に変革が必要だと感じているのは自分だけかと思っていたら、他にも同じ思いの人がいて真剣に話し合えるのは、とても大きなエネルギーになります。 次のことに気づいて力がみなぎるのです。これまで自分が密かに願っていたことや、自分では思いつきもしなかった面白そうなことが、実現可能なばかりか実現を推奨されており 組織の存在目的にも見合っている。 私からの提案です。大組織を率いるなら最初のフォロワー・グループをつくり変革の原動力にしましょう。 ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【3.5】 経営陣を巻き込む(Engaging the top team)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。(サイトにある日本語対訳に句読点等をつけ、読みやすいように、一部、接尾語や接続語などを足し、加工したものです) ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/35.html ■翻訳メモ 一般的な組織であれば、リーダーが組織についてのビジョンを語り、方向性を表明すると すぐに大きな波紋が広がります。リーダーに近い上層部の経営陣やリーダーたちが戸惑います。奇妙でバカげた案だと感じる人もいるからです。また、次のような反応が多いそうです。まず “CEOに何が起きた?”、そして、“すぐ飽きて撤回するのを願おう”と。そのためCEOは、早いうちに経営陣を引き込む必要があります。経営陣があなたと違う意見を組織に伝えだしたり、ビジョンに反する行動を取りだしたら組織に大きな混乱や損害をもたらします。しかし経営陣を引き込むのは簡単ではありません。とても懐疑的な人もいるでしょうし、あなたの決意が試されます。経営陣のなかにはあなたのビジョンを受け入れられない人もいます。少なくとも1つの組織では経営陣が全員去りました。ビジョンを語ったCEOだけ残りました。このときは仕方ない状況でした。誰もビジョンに共感しなかったのです。ここまで極端な例は少ないですが、自分のビジョンを語ることを通して周りを引き込むことが重要です。そのために必要となるのが外部の人間です。 ファシリテーターに場を作ってもらい、リーダーが正直に語り、会話が適切に進むよう手伝ってもらうのです。ここで言っている“正直に語る”とは、第1章の序盤の動画で取り上げたように、自分を変革へ突き動かす動機を語ることです。メンバーと同様経営陣を引き込むにも正直に語ると良いでしょう。自分にとっての重要性や変革の動機を語るのです。そしてファシリテーターと場を作り、経営陣となるべく深く対話する機会を持ち、それぞれの願いや不満を聞くのです。それはとても意義ある行動です。“全体性”の模範となるからです。これまでにない形の対話を持つことによって、そうした対話が橋渡しやキッカケとなりたちどころに経営陣の多くは対話を持つことで安心し、ビジョン実現を協力してくれます。 一方そのビジョンを奇妙に感じる人もいます。そういう人は退社を検討し、より自分の世界観に合った職場を探せます。そうした対話を何度か持ちつつ1対1での会話も多く用意しましょう。なぜならこの変革は、組織について初めて考える人には戸惑いも多いからです。 もうひとつのアドバイスは常に自分の動機を明確にしておくことです。自分には重要な変革であると伝え、戸惑いや抵抗を感じる人への理解を示し、いくらでも会話を持つ準備があり、急ぎもしないと伝え、その一方で矛盾した情報を流さないよう釘を刺し、変革の妨害を防ぎましょう。明確に伝えることが大切です。最後までやり切るつもりなので裏で違う意見を広めるのはやめてほしいと釘を刺しておきましょう。だから何か問題があると感じたら、周りに広める前に私と話し合おうと伝えるのです。そうするとやがて理解と意欲が十分に広がり、経営陣も大きな一歩を踏み出そうとします。私が覚えている組織では経営陣が集まってこう検討を始めました。“経営委員会の今後の役割は?”話し合いの末に決めたのは 役割を3つに絞ることでした。 1つ目は経営戦略について考えること。2つ目は財政の安定を図ること。そして新しい取り組みを守っていくことです。それ以外は経営陣の手を離れ、あらゆる日々の意思決定や 業務に関わる決定の形は変わりました。それは良いステップでしたし、おそらく最終的には他の組織と同じように、自主経営へと進む過程でやがては経営委員会も解散していくはずです。固定メンバーによる意思決定は、もはやナンセンスで、固定的なメンバーではなくその都度適した人たちが集まって意思決定を行うのです。逆に組織によっては多くの時間を 社員全般ではなく経営陣に割くこともありますが変革に乗り出した組織の大半は並行して働きかけます。CEOは経営陣のみならず賛同者や最初の支持者たちそして組織全体にも働きかけるのです。 詳しくは次の動画で語ります。考えれば当然です。経営陣にだけ働きかけても組織は何も変わりません。しかし最初に支持してくれた社員にも働きかけ、組織の可能性を広げるための権限を与えると、その変化を目指す突き上げが経営陣を揺るがします。それは良いことです。なぜなら経営陣が自問を始めるからです。今後の役割は?どう反応する?変革に賛成?反対?2つの階層へ同時に働きかけることが大切です。それからもちろん階層主義的な働きかけはやめましょう。“まずは経営陣からで他は後回しだ”と言うのは目的に反することです。 皆さんに幸運と楽しみが待っていることを祈ります。経営陣への働きかけは大変な時もあるでしょう。これは生涯にわたる長い冒険の始まりなのです。 ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【3.4】 ただの人間に戻る(Return to being a mortal)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。(サイトにある日本語対訳に句読点等をつけ、読みやすいように、一部、接尾語や接続語などを足し、加工したものです) ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/34.html ■翻訳メモ CEOやリーダーに関してひとつ確実に言えることがあります。リーダーは日々の業務のほとんどにおいて組織の大多数とは異なる役割を担っています。でも考えてみるとそれは変なことです。将来特権的な役割は非常識となるでしょう。会社の外の世界では許容されません。まるで昔のカースト制度のようです。王族や貴族にはそれぞれ決まった役割があり 商人や農民はまた別の役割を担う。それは西洋人からすればずいぶん過去の話です。その制度には批判的なのに組織には同様の制度が今なお普通に存在し慣習として多くの人が無批判に受け入れている。この変革の旅はそこから脱する機会であり、組織のカースト制度を廃止していく機会です。 それには大きな挑戦が必要になります。ただの人間へと戻る挑戦です。リーダーも周りと同じ身分になる。それは開放的でもあり難題でもあります。なぜなら自分の一部が周りと違う立場や扱いに慣れているからです。そこでエクササイズをお勧めします。今すぐにでも構いませんが心の準備が整ったら紙を用意してリストに書き出してみるのです。メンバーたちとは違う自分専用のルールは何でしょう?大小はさまざまあるはずです。大きいものだと リーダーは誰の承認も得ずに意思決定ができたりする。組織の大多数の意に沿わない決定だとしてもです。小さなものでいえば、リーダーだけ社用車があったり、専用の駐車スペースがあったり、自分だけ好きな時間に出社や退社ができたり、あるいは、自分のオフィスだけ好きな内装にしたり、自分のオフィスだけ広かったり、ぜひ細かなリストを作ってください。CEOだけの特別なルールは何か、あるいは経営陣だけのルールは何でしょう?役に立つ問いです。それが終わったら第2ステップはリストを見ながら自分はどのルールを廃止したいか考えましょう。廃止とはつまりリーダーが特権を手放すことです。たとえば自分専用の社用車を手放したり、逆にリーダーだけの特権を全員に開放するのです。たとえばリーダーが独断をやめ助言プロセスを導入したり、周りと同じルールで仕事に取り組むのです。そうやって1つずつリストを潰していきましょう。そうやって進めていくと、体験者の話からしても、あらゆる面で思わぬ効果が現れるでしょう。自分自身にも周りにも影響が現れます。自分自身には釘を刺す効果があります。“もう自分はただの人間なんだ”と、初めは慣れないでしょうが、そのうち開放的に感じられるでしょう。 ただの人に戻ると周りとの距離が前より縮まって、より深く充実した関係が築けるようになります。しかし歓迎する人ばかりではありません。愚かな行為だと戸惑う人もいるでしょう。効力が薄いと言う人もいます。そういう行為もありますが、組織内の権力格差の解体につながる行動もあります。 リーダーの体験談を聞くとこうした行動に関して確実に言えることがあります。実に不思議なことに、リーダーの影響力が弱まるどころか強まるのです。それはなぜでしょう?昔のシステムでは階層のトップは特別な役職で恐れられています。そのためフィルターがかかった情報が届きます。階層が多い大企業はなおさらです。組織の実情を知るのに苦労するのです。ただの人間に戻り助言プロセスを使えば、大勢のうちの1人となり、組織の現状を知るために届く情報の質が飛躍的に向上するでしょう。あるいは周りが正直に話しかけ疑問をぶつけてくれるので、リーダーの思考や決定の質が向上していきます。ただの人になることで周りにイエスマンが減っていきます。リーダーの影響力も増し周りも力を発揮できて 失うもののない誰もが得する関係です。失くすべき唯一のものは特別扱いを求めるエゴです。なので効力が薄いとは思いません。とても大きな意義があります。ぜひ検討してみてください。 ただの人間に戻ることをお勧めします。 ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【3.3】 良心に照らして考える(Your integrity is a flashlight)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。(サイトにある日本語対訳に句読点等をつけ、読みやすいように、一部、接尾語や接続語などを足し、加工したものです) ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/33.html ■翻訳メモ この動画では2-3の動画で言及した内容を掘り下げます。変革の旅を進めていると 大きな転換点があります。経営チームを解体したり、助言プロセスを導入したり、あるいは 新規採用者へのオンボーディング・プロセスを作ったりと。これらは気軽にはできません。 しっかり検討や計画をして実行に移すものです。それも旅の一部です。しかし同時に旅の大部分はふと機会が訪れて始まります。 組織の中では毎日毎月毎年何かが起きています。突然従来のやり方が嫌になって新しいやり方に移ろうと感じたりします。冷静に考えてみると、つまり良心に照らして考えると、もはや賛同できない習慣が多くあるかもしれません。良心については別の動画で話しましたが、いくつか例を挙げておきましょう。 たとえば年に1度のクリスマスパーティが堅苦しくて活気がなく感じられ一新したくなるかもしれない。周りから見えない密室で実施される会議もオープンな会議にしたいと思うかもしれない。意思決定は周りに任すべきだと感じたり、予算の編成に関しても、その数字に意味がないと誰もが思っているのに続けているかもしれない。ある会議にはタブーになっている話題がある。本当にそれでいい?自分の個室が周りより豪華で違和感を抱くかもしれない。周りを見下す経営幹部の良心に背くような発言を会議で耳にするかもしれない。 会議に席順があって納得できないと感じるかもしれません。だから考えてみると機会はどこにでも存在します。儀式的で古いやり方のものは数多く存在しています。そして新しいやり方に変えると別の場所で古いやり方に出会った時、新たな視点で眺めて思うでしょう。“もうこのやり方は良いと思わないな”と。私からの助言は、良心に照らして考えてみることです。すると見えてきます。これまで習慣として業務の一部だったものが、突然あなたも周りも新しい視点を獲得して必要性を検討しだす。そして選択するのです。新しいやり方に乗り出すか優先度が低く労力をかけられないので、これまでのやり方でもう一度進めてみるか。先送りにしても次の機会には準備が整うことが多いです。 このように変革は自然発生的に起こります。いくつかの大きな転換点においては、じっくり検討して準備し実行する必要があります。しかしその他は起こるべくして起こるある物事について、リーダーや周りの良心に照らして考えると、改善の必要性が明白となり変革へと向かうのです。 ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【3.2】 考えやメッセージをテストする(Test your perspective and message)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。(サイトにある日本語対訳に句読点等をつけ、読みやすいように、一部、接尾語や接続語などを足し、加工したものです) ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/32.html ■翻訳メモ 前回の動画で重要だと語ったのはリーダーと目標に対する信頼を獲得することです。信頼を築いてから組織の経営体制を大きく変えていくのです。つまり実際に取りかかる前の段階があるわけです。それは信頼を築いていく期間です。リーダー自身にも同じ作業が必要です。どれくらい自分のことを信頼しているかという変革のリーダーになる自分への信頼です。この変革に関してどれほど自分を信頼している?というのは、いい問いかけです。どれくらい自分は完璧な確信を持って準備ができた状態でメンバーを新しい世界に誘っている?どれくらい確信が足りていない?それらは心から正直に考えることが大切です。もしかしたら変革の動機は単にカッコいいとか新しいとか認められたいだけだったりなど、動機が強くないのかもしれないからです。初回の動画で語ったようにそれは動機として不十分で、動機は深く根ざす必要があります。深く根ざす動機があったとしても状況が厳しくなると昔のやり方に戻りそうなら確信が足りないのかもしれません。それは構いませんが自分の心は把握しましょう。 以前の動画でも言及したトスカーナという企業はフランスでコーチやファシリテーターとして変革に向かう組織の“同行者”を務めています。リーダーから変革の準備ができたと言われてもトスカーナはCEOにこう返すことが多いそうです。“もう少し話しましょう”、“まだ準備が足りていないようです”。それから深い対話を続けることで彼らが言う“トグルスイッチ”のようにリーダーの中の何かが切り替わって確信ある態度に変わります。そうなると変革の呼びかけも力強くなる。だからリーダーにも熟成期間が必要です。信頼してもらうだけでなく自分を信頼するための期間です。 その方法とは?もちろん方法のひとつは深い会話の場を作ってくれるコーチと取り組むことです。 もうひとつの方法としてはシンプルに新しい組織の考え方を伝えてみることです。メッセージをテストするのです。たとえば組織の上層にいる年長者が下の人を見下していたらそういう態度は許容できないと声を上げて伝えるのです。あるいはメンバーが助言をもらわずに意思決定を下していたら介入します。それは助言プロセスの導入前であってもです。リーダーに頼らず自主的な決断を促したりおかしいと感じることを伝えてもいいでしょう。“98パーセントの人は信頼できるのに”、“2パーセントのために規則を作るのはおかしい”。このように伝えてテストすることでメンバーたちの抵抗や考え方を肌で感じることができます。変革の難易度が分かるうえ、語ることで動機も深まります。動機がもっと深まっていく、なのでシンプルかつ効果的な助言だと思います。 考えやメッセージを共有し反応をテストしてみます。ある段階になると自信を持って大々的に呼びかけられるでしょう。そして変革を始めるのです。 3つ目のアドバイスとしては他の組織の経験をたくさん読むことです。見学もいいですが読むことも役に立ちます。良い本はたくさんあります。変革を経験した組織に関する本は『ティール組織』の参考文献で紹介しています。他の組織やリーダーの物語を数多く読むことによって、これからの体験を先取りし、素晴らしい成果を知れるので、自分にも自信が生まれてきます。ぜひ自分で点検してみましょう。自分を信頼している?準備はできている?100パーセントでなくてもそれに近い準備はできている?できてなければコーチと共に取り組んだり、考えやメッセージをテストして読書に励みましょう。ご覧の通りこの動画シリーズは課金制ではありません。ギフトエコノミーの活動でつくられているからです。仕組みはこうです。私は時間やエネルギーやアイデアを注いで動画を贈る。観た人は気持ちに応じた何かを贈り返す。どうかこの取り組みへの支援として贈りものをご一考ください。 ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【3.1】 旅の前に信頼を築く(Building trust before you start)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。(サイトにある日本語対訳に句読点等をつけ、読みやすいように、一部、接尾語や接続語などを足し、加工したものです) ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/31.html ■翻訳メモ “旅の前に信頼を築く”、短いですが重要な動画です。“メンバーの信頼を築いてから旅を始めよ”という、このアドバイスは多くの場所で耳にします。目的の実現や呼びかけはそれからです。 本でも言及しましたゾブリスト氏はFAVIの CEOに就任したあとおよそ1年をかけてから大きな変革に乗り出しました。それだけ時間をかけて自分や自分の目標を信頼してもらったのです。世界で30以上の発電所を買収したAESもそうでした。場所によっては運営にとても苦労しました。国によっては警戒心が強かったのです。AESは本社からリーダーを2〜3人買収した発電所に送ってトップを任せました。1〜2年ときにはそれ以上変革には乗り出しませんでした。十分な信頼が生まれて初めてモードを切り替えて呼びかけをおこない助言プロセスや自主経営を実践していくのです。とても的確な助言だと感じました。 “十分な信頼ができてから始める”理由は2つあります。従来型の組織においては長年多くの人が不信感を募らせてきた可能性があります。なので急に変革を呼びかけても次のように受け止められることでしょう。“どうせまたトップの気まぐれだからしばらく耐えよう”。そのため信頼が必要になります。“今回は違う、ぜひやろう”と感じてもらうのです。 2つ目の理由は基本的にこの変革の呼びかけは、ずいぶん従来と考え方が違うものなので、すぐには周りの理解を得られないかもしれません。え?自主経営?上司がいないの?全体性?この状況で? 深い対話をしろって?妻や夫や親友とも試したことないのに? つまりまったく未知のものへメンバーを誘うわけです。前向きになってもらうにはリーダーや目標への信頼が不可欠になります。どうすればメンバーたちは目標を信頼し不信感を取り払ってくれるでしょう?唯一にして最高の方法はFAVIのゾブリスト氏のように交流することです。現場に出て社員と会話し姿を見せて交流しひたすら耳を傾ける。そして信念を語って反応を見る。すると、やがて信頼が生まれます。より大きな組織では全社会議もいいでしょう。台本はなくどんな質問も受け付ける。誰もが参加できるビデオ会議だっていいと思います。リーダーが信頼を得るためのひとつの方法は構えずに接することです。弱さを晒し自分を偽らず何でも話に来てもらい、それをきちんと受け止める。そうした双方向のやり取りをすることが信頼形成には決定的に重要です。 もうひとつの利点は、こうして交流をするほどリーダーが従来の仕事に使う時間が減る点です。会議や意思決定にかける時間が減る。つまり交流の時間を作っていくために意思決定を人に任せてやることを減らす。そういう権限の分散は変革の旅を始めてから役立つことでしょう。 ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1