多様性の実現は不可能である-『正欲』感想文-
最も残酷であり希望のある作品 大学の頃、友人らと飯を食いに行った。その内のひとりが、酷くテンションが低かった。まあ、元々不健康そうな奴ではあったが、ワケを聞くととある本を読んだからだと言った。その本の名は『正欲』。彼はその本を読んで、酷く考え込んでしまったようだ。その時は笑ってからかったが、少しその本に興味を持った。
それから約2年後。本屋でこの本を見つけ、大学時代のことを思い出して、手にとってみた。「読む前の自分には戻れない」。そんな謳い文句を疑いながらも、この本を読み進