1-3.誰かの顔して
「小さなホールに200人の兵士がいた。」
『私はまだ16歳だったあなたぐらいの歳よ。
自分が何を望んでいるかなんて分かるわけない。』
「ママは父さんを選んだ…。」
『フランスを出たかった。それに子どもが欲しかった…。随分昔のことよフランキー。いつかあなたも気づくわ。過去の自分は消えてしまうって。』
ここには無い電話ボックス
マントもない 僕はヒーローになれない
ここには見えない 光が
誰もいない暗闇の中 立ち尽くす1人で…
【よく聞くんだ。我々は君に選んで欲しいんだ。お母さんかお父さんか。】
僕は突然校長先生に呼び出され車で裁判所に連れていかれた。そこには両親、そして裁判官が言った。
【養育権を巡る争いはとても高くつきますよ。】
誰も争ってないわ。ほらママを見てフランキー。誰も争ってなんかないの。
僕に選べと迫る
【我らが判断を下すより家族で答えを出した方がいいでしょう】
選べば僕の負けさ
(どちらかを選ぶんだ。それで全てが解決する)
何もかも消し去りたい
『フランキー、正しい道を選ぶの』
ここから抜け出したい
(すまない、俺には何も出来ないんだ…)
もう振り向かない 過去を捨てて始めよう
GAME 手に入れたい
壊れた家族にサヨナラ 生まれ変わる
誰かの顔して
「あっ!グランドセントラルまで1枚。」
〔往復は5ドル片道は3ドル。2ドルしかない!〕
僕は自分が何をしているか分かってなかった。ただ逃げ出したかった。だから瞳を見つめて喋り続けた。切符売りから2ドルを取り戻しそれをしまう。そしてニューヨークのおばあちゃんに会いに行くという作り話を長々とした。早くおつりをくれと言いながら貰うべきお釣りなんて本当はないのに。
〔お釣り!?〕
さらに僕は喋り続けた、お釣りを待ちながら。すると駅員は2ドルのお釣りをくれた。これで4ドル。マンハッタンへの片道切符が買える。
戻ってくるつもりはない。
「ありがとう、モートンさん」〔待ちなさい!〕
「!?なんです…?」〔切符!〕
「ありがとう。」
彼らは僕に選べと言った。
だから僕はニューヘイブン線を選んだ。
10:15 2番線発ニューヨーク行きを。
過去を脱ぎ捨て抜け出せ
嘘にまみれたあの見せかけの家
誰も答えを知らない だから選ぶ前に逃げ出そう
今を逃すな 学校なんて忘れて
今ここから抜けだそう(誰かの顔して)
誰かの人生を演じ続けるのさ
誰かの代わりに
Ladies and gentlemen!
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もしフランク・テイラーに飽きたら…
フランク・ウィリアムズ!フランク・コナーズ!フランク…をやめてウィリアム・テイラーにも!
ナイフ・インク・水のり それさえあれば
僕に不可能は無い!さぁ始めよう(ハイッ!)
(銀行のくだり)
最初の小切手帳がなくなった。小さな印刷機を買った。自分で小切手を刷ったんだ。
その頃FBIのハンラティ達は僕のしっぽを掴もうと躍起になっていた。
鮮やかに生きよう でもFBIはモノクロの世界