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越後妻有大地の芸術祭2024

失意のえちご・くびき野100kmマラソンを終え、次の日は、十日町に移動して、大地の芸術祭のバスツアーに参加。一昨年のえちご・くびき野の後も、大地の芸術祭に行ったので、ビエンナーレのような気がしていたが、実際はトリエンナーレ、本来は2021年開催予定だった回を1年順延していたので一昨年見られて、それから2年でまた大地の芸術祭に参加出来たのだった。
一昨年の記録 
清津峡渓谷トンネル
磯辺行久記念清津倉庫美術館[Soko]~たくさんの失われた窓のために~ポチョムキン
香港ハウス/越後妻有「上郷クローブ座」~奴奈川キャンパス
まつだい農舞台~鉢&田島征三絵本と木の実の美術館

一昨年は、越後湯沢発着のモモンガ滑空コースというツアーで回ったのだが(今年もエチゴツマリコースという名称で、似た地域を回るツアーを開催している)、今年は【十日町駅発着】B:十日町・川西コース、というコースで回る。十日町駅9:30出発。マラソン後泊まっていた上越市高田から直江津経由ほくほく線で1時間ちょっと。料金は一昨年と同じでバスツアー(昼食込み)が13000円で、別途パスポート4500円を購入する必要がある。連休最終日と言うこともあり、ツアー参加者の多くは前日前々日も芸術祭を見てきた模様。外国人客も数名。みんな芸術祭を愉しもうという気持ちが強く感じられ、落ち着いた雰囲気だった。ぎりぎりに申し込んだこともあり、バスの座席が窓側でなく、車中から写真を撮るのは難しかった。

道の混雑等はなかったが、スケジュールにやや無理があったようで、最初から、配布されたスケジュールよりやや後ろ倒し進行。十日町から時間の決まった電車に乗らなくてはいけない人がいて、けつかっちんだったので、やや焦った。

むりくり1本の投稿にまとめたので長いです、注意。

10:00前後 楢木野淑子「キューブ」
杉林の中に、陶製の大小のキューブが20メートルくらい離れた場所に置かれている。パステル調の色合いでレリーフになったモチーフはどの面も違った、幻想的な文様。何を語り掛けてくるのか、人によってきっと受け止め方が全然違う。そもそもこんなに大きなキューブをどうやって焼成したのだろう? 設置するときは、重機で吊り下げ、周辺の住民みんなで手で押さえ、どこかにぶつかったりしないように、そっとその場所に置いたらしい。

、小さい方でも一辺50センチ以上はあった。

10:30頃 飯山線土市駅前、ジミー・リャオという台湾の絵本作家による「Kiss&Goodbye」かまぼこ型倉庫の中には絵本「幸せのきっぷ Kiss&Goodbye」の原画や、アニメ作品や、主人公を再現した模型などが置かれ、外には、ジミー・リャオが内装をてがけた小屋型の小箱に色んな人の大切なものを入れた、インスタレーション作品。土市駅の展示だけ見に行ったが、越後水沢駅にもKiss&Goodbyeの展示があるとのこと。



小さい無人駅。木箱はこの駅を模しているのか。


11時頃 東弘一郎「人間エンジン」 雪かき機を模した、ヘッドや雪かき部分が、仕込まれた自転車のペダルをこぐことで動く。動力部分はこの日は乗れなかったが、やはり自転車が何台か仕込まれていた。シーズン中に何回か走行イベントあり。十日町市の七和という地区の地域振興を兼ねて、地元の人総動員でこの機械を動かすらしい。
東弘一郎作品は、一昨年まつだい地区で、自転車が円環になってグルグル回る作品を見ていた。

運転席でペダルをこぐと、角みたいな部分の向きが変わり、また前面の赤い輪の部分が回る。


11:30頃 景山健「HERE-UPON ここにおいて 依り代」巨大な杉玉に圧倒される。設置当初は、切りたての葉で緑色だったらしいが、今はすっかり黒ずんでいる。


2本の杉の木に刺さるように設置され、何本かの足場で固定もされている。
下に入ると御神体のような杉の苗木。
真下から上を見ると明るい。
不思議な存在感。


景山作品のすぐ上の、神社の社みたいな建物の下に、
アントニー・ゴームリー「MAN ROCK V」

石に刻まれた線をよく見ると寝転んで手足を上にあげている人の姿
反対側は頭部が見えないのでわかりにくい。
この2作品のすぐそばには笹山高靇神社という神社もあり、この展示は神域の中にあった。

12:00過ぎ 枯木又分校。
内田晴之、吉野央子を中心に、京都精華大学有志が取り組むアートプロジェクト。


屋根の上、吉野央子≪悠々自適≫
校舎前の水田が 内田晴之≪大地の記憶≫ ちょうど脱穀作業をしていた。
衣川泰典≪石化する風景≫ 石の表面に版画で花や風景がプリントされている。


金沢寿美≪新聞紙のドローイング≫ 新聞紙を鉛筆で塗りつぶし、恣意的なメッセージを浮き上がらせるようにしたものを何枚もつないである。
衣川泰典≪石化する風景≫


Liisa≪記憶のラビリンス≫
心をざわめかせる、教室に飛び散る黒いものたち


13:00過ぎ 妻有田中文男文庫


1階は、木造民家研究で知られる棟梁・田中文男の蔵書を並べ、その中に光る本が配置されている。不思議な美しさ。
どんどん色が変わっていくのだ。


2階は河口龍夫「農具の時間」

吊るしてある農具は触ったり持ち上げようとしてみたりできる。
シュールな空間。


腹ペコだ! 13:20頃から1時間くらい、「うぶすなの家」で昼食休憩。

窓の右わきに陶板の飾り
陶板の飾り。洗面所やお風呂も陶器製で美しい。
入り口入ったところの陶製の窯。
窯から上にのびる煙突。
2階には牛島智子「つキかガみ巡ル⽉」
お昼ご飯美味しかった!
食事を作ってくれた、地元のお母さんたちの歌と踊りも最後に見られました。

14:30過ぎ ジェームス・タレル「光の館」
第1回の芸術祭の際に設営されたという、宿泊可能施設「光の館」、谷崎潤一郎『陰影礼讃』にインスパイアされた、という、いかにもジェームス・タレルらしい、光と影のコントラストと眼の錯視をうまい具合に取り入れた、畳の間を2フロアにわたって設置した家。雨の降らない日に1日何回もスライドさせて天井から外が見えるようにしてくれる和室、20年もやっていて、擦り切れないか心配しちゃうよ。薄暗くしてある大浴場、入ると水につかっている部分が


和室の天井。木の部分は屋根の裏側。
スライドすると青空が見える!
他の部屋も間接照明の美学。
1階に風呂。
夜に水が光っているときに見たい! ガイドさんのアルバム見てワクワク。
1棟貸し。借りたら簡単な調理も出来るらしい。


15:20頃。力五山 「時の回廊 十日町高倉博物館」ここもまた、廃校になった小学校を利用した施設

昔の写真を大きく再現した絵画。
中に入った時は暗くて、何が置いてあるのかもよくわからなかった。周囲の住居から集めてきた、今はガラクタとなってしまったものたちの埃っぽいにおい。
そうした廃物を、音が出る装置に作り替えていた。
30分に1回、闇の中から音が鳴り出す不思議なパフォーマンスが行われる。
ここはなかなか言葉では説明の出来ない施設だったよ。


16:10過ぎ。久保寛子「三ツ山のスフィンクス」ナイロンロープを編んだみたいな、不思議なスフィンクス。舟越桂のスフィンクスとは随分イメージが違う。

背後に見える越後三山がピラミッドのかわり、らしい。
けっこう住宅地の中。

解散は十日町駅だったが、希望者は16:30頃に越後妻有里山現代美術館MonETで下車可能(美術館は18:00までなので入ることも出来る)。わたしもここで降りた。

水の張られた中庭をぐるっと一周してみる。
しかし時間切れで美術館には入らず外に出る。

歩いて5分くらいのところに、十日町市博物館。
国宝火焔式土器があるのだが、もう入館時刻は過ぎていて入れない。

博物館の入り口で、マンホールカードだけ貰って帰る。博物館から十日町駅までは徒歩10分弱。

ガイドさんは、十日町の松之山地区で生まれ育ち、大学を出て十日町の市役所の職員となり、子どもを産み育て、時に週末は実家に帰って農作業の手伝いをしたりして、今は大地の芸術祭ボランティアをやっているという方だった、地元に生きる理想的パターン? 外国人対応で英語のアナウンスなども入れ、頑張っていた。
エリア的に十日町駅を中心に山の中に入っては戻り、という繰り返しで、そんなに遠くに行った感じはないのだが、やはり、個人でこれだけの移動をして作品鑑賞するのは難しいよね、と思う距離感だった。
知らない作家の作品も多かったし、自分で選んでいたら見られなかったものばかり、なのにどれも面白い。
次の機会があったら、松之山地区など、行ったことのないエリアにも行ってみたい。

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