クローディアの秘密
昨年の今頃の感想文を発掘。引用やや長すぎですがそのまま。
何だか機会を逸して、これまで読んだことのなかった『クローディアの秘密』(E.L.カニグスバーグ作・松永ふみ子訳・岩波少年文庫)を、幾つかの偶然が重なったので、ようやく読むことが出来ました。面白かった! 家出して、メトロポリタン美術館に潜伏するクローディアとジェイミー姉弟の冒険と秘密の物語ですが、心を打ったのは、終わり近くのフランクワイラー夫人のせりふ。
「冒険はおわったのよ。なんにでもおわりがあるし、なんでもこれでじゅうぶんってものはないのよ。あんたがもって歩けるもののほかはね。休暇で旅行にいくのと同じことよ。休暇で出かけても、その間じゅう写真ばかりとっていて、うちに帰ったら、友だちに楽しかった証拠を見せようとする、そんな人たちもいるでしょう。立ちどまって、休暇をしみじみと心の中に感じて、それをおみやげにしようとしないのよ。」
現代のわたしたちこそ、肝に銘じるべきことを言われた感じ。
クローディア、ジェイミー、フランクワイラー夫人それぞれの個性が際立ち、秘密が、冒険が、その人の人生を彩り、自分を自分させしめていることを教えてくれる本でした。