迷走のリリザ
「うわっ! いきなり話しかけないでくれ、おしっこが足にひっかかったじゃないか!」
ともに旅をする予定の王子は見つからず……。途方に暮れていた。
町の人に声をかけたのはいいが「何をしているのか」見ずに話しかけてしまったのが悪かった。
話しかけた人は、なんと立ちションベンをしていた。彼は私が話しかけた事に驚き、ペニスの方向がずれ、必然的に放物線を描いていた黄色も方向をずらすことになってしまったのだ。
まだ外は寒く、くたびれた革靴に飛散した黄色から湯気が立ち昇っている。
「勘弁してくれよ、いきなり話しかけられたら、びっくりするだろうよ」
「すみません、靴は弁償します。何ゴールドでしょうか」
「いいよいいよ、水で流せば済むはなしさ。それより、もういきなり話しかけるのはやめてくれよな」
先程出していたばかりだというのに、男はまた、立ちションベンをはじめた。
この男にまた話しかけたら、また驚いて、また靴にひっかけてしまう。
そんな予感がした。