文豪ヘミングウェイに学ぶストーリーテリングの極意とは?
かつてヘミングウェイは、6つの単語で小説を書けるか、という賭けに勝った。
なぜ、ヘミングウェイはこんな芸当ができたのか?
それは物語の正体を知っていたからだ。
脳科学の視点で考えると、物語とは「想起」である。
あの6つの単語を読んだとき、ストーリーを語ったのは誰だろう?
ヘミングウェイ?
それとも…
そう、真にストーリーを語ったのは、あなた自身だ。
あなたは6つの単語を読み、「なぜ、母親は赤ちゃんの靴を未使用のまま売ったんだ?」と無意識のうちに考えたはず。
この疑問が浮かんだら、あなたはもうヘミングウェイの掌の上にいる。
あなたは「自動的に」問いに対するストーリーを想起したのだから。
ヘミングウェイは、あなた(の脳)の想起のスイッチを押したにすぎない。
彼は人間が自動的にストーリーを語る生き物だと知っていた。
人間のもつ本来の力を借りたのだ。
影響力のあるストーリーテラーは、個人が持つストーリーテリングの力を最大限に活用する。
自分が語るより、相手自身に語ってもらう方が強力だと知っているからだ。
これは成功しているブランドも、こっそり知っている真実だ。
僕らは成功しているブランドに触れたとき、自分自身にストーリーを語っている。
「Appleを使っている人間ってこんな人だよね」
「NIKEこそ真のアスリートにふさわしい」
成功しているブランドは、自らが語らなくても、顧客自身のストーリーテリングを信じているのだ。
顧客が自ら語り出すためのきっかけを与えるのがブランドの仕事である。
ヘミングウェイは言葉できっかけを作り、ブランドは商品できっかけを作る。
さて、あなたはどんな物語を想起させることができるだろうか?
その物語は、相手の中でどんどん育まれていく。
だから相手の内に、そっと物語の種を植えよう。