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(63) たけのこ すくすく

朝、かおると学校へ向かっていたとき、川口川ぞいの竹やぶのそばで、弓子は言いました。
「たけのこよ、ほら見て!」

やぶの中には、大きいのや小さいのが、いくつも顔を出しています。道ばたにも一本、にゅっと伸び出していました。

「これ、かおるちゃんの背とおなじ」
と、弓子に言われて、背の低いかおるは、ほんとだ、とおもしろがって、サインペンで、自分の名前を、そのたけのこに書きこみました。

その日の帰り道、たけのこの〈かおる〉に会いに行って、二人はびっくり!手のひら二つ分ほど、かおるより背が高くなっていて、弓子と同じ背たけになっていたのです。ほんの5~6時間ほどの間に・・。


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「たけのこって、こんなに早く伸びるんだね」と、かおるが言いました。
「あしたの朝までにどのくらい伸びるか、しらべてみようよ」
興奮して、弓子が言いました。

かおるくらいの背丈のたけのこの、てっぺんに印をつけて、次の朝を待ちました。

よく朝、弓子はパパに借りたメジャーを使って、〈かおる〉のたけのこを、はかってみました。
「わ、41センチ、伸びてる!」
「信じられなーい」

弓子が何度はかっても、同じでした。
「けさ、パパが教えてくれたけど、たけのこはおいしいから、動物や人間に食べられないように、大いそぎで伸びるんだって。土がやわらかいところだと、ひと晩で、1メートルくらい伸びるらしいって」

10日もすると、皮がはがれて〈かおる〉は、若竹に育っていました。

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