(117) パンカイ!
きゅっきゅっ。信くんは タオルで うでを こすります。はだかのむねも、あかくなるほど こすると、からだが あったかくなって きます。かっちゃんが しのびよって、信くんの わきの下を くすぐりました。
「こら、かっちゃんも やれば」
「やだ、ぼく かぜひかないもん。ハナも でないもん」
かっちゃんは、とんで にげていきました。
あさごはんの あと、ママは ジュースのグラスを 四つ ならべました。信くんには、リンゴジュースがいっぱいはいった グラス、ほかは はんぶんしか はいっていません。
「カンパイしましょ。信ちゃん、いっしゅうかん、つづけられて えらい!」
「ぼくも パンカーイ」
「なにも してないのに だめっ」と、信くん。
「かっちゃんは ハミガキを いっしゅうかん つづけたらね」と、ママ。
「やったぁ、パンカイだ。ぼく、やる、やる、やる!」
かっちゃんは とびはねました。
信くんと ママは、こっそり かおをみあわせました。
やれるかな。
どうかしらね。
かっちゃんは、かおあらいと ハミガキが だいきらいでしたから。