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シャツのしみ(長野日記4)
最終出勤日だった。だからと言って何が変わるわけでもなく、朝早くから働いて、昼寝をして、夜の勤務に出る。
お盆のピークはこえてもまだ百人以上の客が入ってくるので二人で回すホールは忙しない。それでも身体は自動的に動く。
「8月は長野のホテルで働いてくるよ。」
全てを一人で決め、採用まで決まってから両親にそう言った時、二人は心配そうな顔をした。そんなこと、なかくんに出来る?彼らの心配はもっともで、何より僕自身が一番、自分にはそんなこと出来るわけがないと思っていた。
それでも結局、なんとかなった。ひと夏での成長、という物語は美しいが、果たしてこれは自分が成長したのか、あるいは本当はもともと出来たのにやらなかっただけなのかもしれない。