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死と出会い 10話 後悔

雨宿りも兼ねて、私たち三人はマックに向かった。具合いが悪くなってしまった絵里の心配をする秀一。彼女を心配して言った言葉が裏目に出る。

#小説 #死と出会い #雨宿り #体調不良 #汚れた気持ち #後悔

 絵里のいる中学校に到着し、玄関より少しはなれたところで私たちは待つことにした。するとそこで、
「あ、雨降ってきた」
と、私は言った。
「ほんとだ。ここで待つのか? どしゃぶりにならなければいいけど」
秀一がそう言うので、私は少し不安になった。
「もうすぐ来ると思うから、来たらマックにでもいかない? 雨もしのげるし」
「そうだな、行くか」
「やったー」
私は彼が賛同してくれてうれしかった。

 それから約十五分後ーー
絵里はひとりで出て来た。そして、彼女は私たちの存在に気付くと走って来た。そして、息せき切って、
「愛理さん、約束通り秀一さんと来てくれたんですね! ありがとうございます!」
絵里は、秀一のほうに向きなおり、
「初めまして、秀一さん。あたし、愛理さんの後輩の、会沢絵里(あいざわ えり)って言います。よろしくお願いします」
いつものような無邪気さは見えなく、緊張している様子。
「僕も自己紹介するね! 外川秀一(とがわ しゅういち)っていうよ。愛理の親友。あと、亡くなった雄二の親友だよ! よろしくね!」

 「雨降ってきましたね。どこかで雨宿りしますか?」
絵里は楽しそうに話している。
「マックに行こうと話していたの」
私がそう言うと、
「だんだん、雨強くなってきたから早いとこマックに行こう」
と、秀一は言ってくれた。私は嬉しかった。最近、そこに行きたいと思っていたからなおさら。
「いいですね! マック! さっそく行きますか」

 絵里は意外とリーダーシップがあるんだなと私は思った。

 私たち三人は、雨が強くなってきたし、傘も持っていないので足早に移動した。

 約十五分後、私たちは濡れはしたもののなんとかマックに着いた。私は、秀一が風邪をひかないか心配になった。でも、
「私もだけど、二人とも風邪ひかないように、濡れた制服のブレザー脱いだ方がいいよ」
と、建て前を言った。
「そうだな、脱ぐか」
「なんか寒いです。あたしも脱ごうっと」
言いながら、私たちは店の中央付近の空いてる席に座った。

 私は、とりあえず、
「ブレーザーだけ置いてバッグだけ持って注文しに行こう?」
と、二人の顔を交互に見ながら言った。
「うん、わかった」
秀一は言い、絵里は、
「そうですね!」
と、言った。なんだか絵里の顔色が優れない。気のせいだろうか。
「絵里、なんか顔色悪いみたいだけど大丈夫?」
「……少し具合いが悪いです……」
「あら! 絵里ちゃん大丈夫? 雨でぬれたせいで風邪ひいた?」
秀一は心配そうに聞いている。私の心配はしてくれないのかな。
「そうかもしれません……。頭痛がしてきました……」
「あらら……! それは、やばい。ここにいて大丈夫かな?」
「……大丈夫だと思います。せっかく、秀一さんと会えたっていうのに……」
絵里は悔しそうに呟いた。秀一は黙って絵里を見つめている。
「でも、それは仕方ないよ。体調のことなんだから。絵里、無理しないほうがいいんじゃない」
秀一と絵里は同時にこちらを見た。
「うん?」
「愛理、確かに無理するのはよくないけど、そんな言い方ないんじゃないか?」
秀一にそう言われて、私は絵里を見た。しょぼんとしている。
「な! なによ! 私は絵里のことを心配して言っただけなのに……!」
私は、彼に反発してそう言ったものの、正直ショックだった。
「……喧嘩しないでください」
絵里はボソッと言った。なによ、この子ったら! 本当は仮病遣って秀一の気を引こうっていう魂胆なんじゃないの! 私はあまりのショックに汚れた気持ちになってしまった。それと同時に泣きたくなった。
「私、帰る! 二人で仲良くしてね! じゃあね!」
カッとなった私は思わず立ち上がり、感情を抑えることも忘れて店から飛び
出してしまった。

 外に飛び出した私は、外の涼しさと雨でほてった頭がすぐに冷えた。そして私は猛烈に後悔した。

 なんで、あんな感情的になって怒鳴ってしまったんだろう……。二人には本当申し訳ない……。今頃、二人はどうしているだろう。私の態度に困って帰ってしまったかな。それとも、私のことなんか忘れて楽しくおしゃべりでもしているのかな……。私は、悲しくなり嗚咽を漏らしながら、ヒックヒックと泣いてしまった。

 どうしよう……。とにかく謝らなくちゃ……。そう思い、私は二人に電話をした。




 

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