死と出会い 18話 気付き
僕は麗香先輩を変わらず好きだけれど、悩んでいる。でも、心に決めた。そのことを愛理にメールした。すると急に不機嫌になった。何故……。
今、僕は悩んでいる。女の子も好きな麗香先輩。
そういう彼女を僕は変わらない気持ちで好きだ。
だから、「付き合いたいです」と言おうと思っている。
麗香先輩の連絡先は知らないの訊いておけば良かったと今更ながらに後悔している。後悔先に立たずとはこのことか。
仕方がないのでこの高鳴る気持ちを抑えながら次の部活の日を待つことにした。
僕はこのことを愛理に伝えようと思いメールを打った。
[愛理、こんにちは! 僕、バスケ部の麗香先輩と付き合おうと思っているんだ。一応、言っておこうと思ってメールした]
忘れかけていた数時間後に返信メールがきた。
[何でそんなメール送ってくるの? ムカつくんだけど!]
どうして愛理は怒っているんだろう?
[え? どうして?]
やや間をおいてからメールはきた。
[秀一ってホント鈍感、呆れるくらいに]
[どういう意味?]
[それを訊く?]
電話の向こうの親友は何やら不満気な様子。
[いや、わからないからさ]
愛理は無言だ。
[まあ、幸せにやってよ]
[う、うん]
何だか様子がおかしい。どうしたんだろう。
それ以降メールは来なかった。
翌日は部活は休みだった。
麗香先輩に会えないのが寂しい。
そう思っていると学校の二階からお昼休みに彼女が僕のクラスにやって来た。
「あのー、外川秀一君っている?」
クラスの中の一人に声を掛けていた。
僕は彼女の存在に気付いたのですぐに駆け寄った。
「麗香先輩! どうしたんですか?」
声を掛けられたクラスメイトは驚いている様子だ。
「ちょっと来てもらえる?」
僕は促されるまま教室を出た。
彼女は小さめな声で、
「これ、うちの連絡先。いつでも連絡ちょうだい? 出れる時は出るからさ」
その紙には、木田麗香という名前と電話番号が書かれていた。
「え、良いんですか?」
「良いから持って来たんじゃない」
僕は思わず笑みがこぼれた。
「今日、帰ったら電話しますね。話したいこともあるし」
「うん。わかった。待ってるね」
これを機に僕には楽しみが出来た。嬉しい。
そこに愛理はやって来た。
「秀一。今の人誰?」
明らかに不機嫌に感じる。
「今のが麗香先輩だよ。どうして?」
「見たことない人来たなあと思っただけだよ。いちいち気にしないで」
口調がキツイ。何なんだ……。僕は心を言葉の刃で切り付けられたようだ。
愛理は何でそんな言い方してくるのだろう。謎だ。
そもそも、こういう態度を取るようになったのは僕が麗香先輩と付き合うことにしたと言ってからだ。
ということはもしかして愛理は……。
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