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モテる俺、でも本命との行く末は……?第11話 積極性と伝えたい事

#連載小説 #恋愛小説 #積極性 #伝えたい事

 今日は放課後、部活がある。相田楓に会えるかな? 会いたいなあ。メールを送って断られてから1週間が経つ。その間、バイトや男子のバスケの部活があった。

 僕は教室の掃除を終えた後、体育館に向かった。他の部員はまだ来ていない。俺は皆が来るまでシュート練習をしていた。

 そうこうしている内に、女子部員がやって来た。中には楓の姿があった。名前を呼ぶ訳にいかないから、黙ってシュート練習をしていた。その中で、俺と同じ2年生の部員が叫んだ。
「鮫島くーん! 頑張ってー!」
 意外な応援があって俺は躊躇った。
「う、うん! ありがとう!」
 と答えた。
 その同級生の氏名は原田灯はらだあかりという。最近、あらぬ噂がある。それは原田さんが俺の事を好きなのではないかという。正直、迷惑だ。でも、本人にそんな事言えないし、桑田にすら言えない。もし、桑田が口を滑らせてバレたら最悪だから。何故、そんな噂がたったかというのは詳しくは分からない。でも、憶測だとさっきのように皆の前で応援したりするからではないかと思う。

 恥ずかしくないのかな。こっちが恥ずかしい、皆がいる前で大声で応援されるのは。せめて、皆に聞こえないように言ってほしい。それなら言ってもいいか。帰宅したらメールをしておこう。

 男子部員の皆と顧問の先生がやって来た。先生は笑みを浮かべながら言った。
「鮫島、早いじゃないか! 偉いぞ!」
 俺も笑みを浮かべていた。

 ふと視線を感じた。その方角を見てみると原田さんが笑顔を見せながら俺を見ている。噂は本当なのかな、分からないけれど。でも、どうして俺なんかの事を。背は高いけれど、特別イケメンという訳でもないし。そんなに喋ったこともないし。それに俺には相田楓という好きな子がいるから尚更だ。

 俺はあえて目を逸らし楓の方を見た。楽しそうに仲間と喋っている。ロングヘア―が似合っていて可愛い。俺も原田さんみたいに積極的に楓に話しかけようかな。でも、周りの目が気になる。周囲の奴らはすぐに好きなんだろう、と言ってくるから話しかけずらい。また、メールするかな、帰宅したら。

 それと原田さんに帰り際、伝えたいことがあるから声を掛けよう。

 午後七時ーー。
 男子と女子の部活は終わった。原田さんを見付け、声をかけた。
「原田さん」
「あ、鮫島くん。お疲れ様」
「あの、伝えたい事があって声を掛けたんだ」
「うん、なに?」
「皆の前で大きな声で俺の事を応援したりするのは止めてほしい。勘違いする人もいると思うから」
「……わかった」
「ごめんな」
 そう言って俺はその場を去った。きつい言い方だったかな。でも、伝えないとこれ以上エスカレートされても困るから。

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