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【弁護士が解説!】フリーランスが受注する時に契約書って必要なの?

フリーランスとして仕事を受注した際、契約書は必要なのでしょうか?実際、書いてある言葉が難しいし、契約書がない方が楽と思っていませんか?

今回は、契約書は、契約書を作るメリット・作らないデメリットや、とはいえ契約書を作れない時にどうすれば良いかを解説します。

そもそも、受注に契約書は必ず必要か?

日本の法律では、特別な場合でなければ契約を締結する際に、「契約書」は不要です。

つまり、口頭で仕事は受注できてしまうのです。

しかし、次に述べるように、契約書を作らないことには色々なデメリットがある一方で、作ることのメリットが多いため、出来るだけ契約書を交わして受注することをお勧めします。

また、ここ数年で電子契約書ツールが普及したので、いちいち紙に印刷して捺印して送付する、という手間も不要になりました。


契約書を作らないデメリット

契約書を作らないデメリットは、証拠が残らないことと、抜け漏れがある可能性がある、ということが大きいです。

①口約束を守ってもらえない場合がある。
 仕事を受注する側は、お金をもらう側ですし、個人のフリーランスは立場が弱いことが多いです。

 もし、口約束通りの報酬がもらえなくても、証拠がなければ、それを主張することは難しいでしょう。
 だからこそ、口約束ではなく、証拠を残すことが重要です。

 実際に、統計でも、フリーランスが契約トラブルに合う場合には、契約書のない口約束の場合が45.5%ともっとも多いです。

②後になって条件が変わる可能性がある。
 納期は1ヶ月後と言われていたのに、後になって「やっぱり2週間後」と言われたら、対応するのが大変なこともあるでしょう。

 これも、契約書で納期を定めておき、契約締結後に納期を変更する場合についての取り決めがあれば、無理な条件変更をされそうになっても「契約条件通りにしてください」と言えます。

③本来決めるべき条件の抜け漏れの可能性がある。
 
イラストの作成依頼であれば、納品したイラストの著作権を譲渡するかどうかは、とても重要なポイントです。しかし、口約束や簡単なやりとりだけで契約する場合、著作権を譲渡するかどうか、その場合の対価の取り扱いを決め忘れる可能性があります。

 後になって、「著作権は譲渡したくない」といっても、立場が上のクライアントから、押し切られてしまうこともあるかもしれません。


契約書を作るメリット

契約書を作るメリットは、デメリットの裏返しである証拠になることや抜け漏れがなくなることだけでなく、色々とありますので、説明します。

①契約をしたこと、契約条件についての証拠になる
 契約書を作れば、契約をした日付とその内容がしっかりした証拠になります

 契約関係が本当に拗れてしまうと、裁判で解決するしかなくなりますが、その際も、「そもそも契約があったのか?」「どんな契約内容が当初の内容だったのか?」が前提となりますので、その際に契約書があるとないとでは、全然違います。

②当事者間のビジネスルールが明確になる
 トラブルを未然に防ぐため、という観点からも、契約書の作ることは大切です。

 仕事の内容を契約書としてしっかり定めておけば、条件の抜け漏れを防げるので、当事者がそれに沿って動くことが予定され、「聞いてない」「決まっていなかった」を原因とするトラブルを未然に防ぐことができます。

また、ちゃんと契約書を作っていること自体が信頼感にもつながります。

③想定外の損害を回避できる
 
契約書を作成しておき、その中で、トラブルが起こった際の対処方法を書いておけば、実際の場合に、想定外の損害を負うことを避けられます。
 そうしておかないと、例えば「納品したイラストが原因で訴えられたから、その損害を全て賠償しなさい」と言われた時に、どう切り返せば良いか、すぐにはわからず、交渉が長引いたり、いう通りにするしかなくなる可能性があります。

なお、契約書を作るデメリットとしては、受注の事務的な手続きに時間がかかる、というものがあります。しかしこれは、予め自分の雛形を作っておくことや、受けられる条件・受けられない条件を決めておくことで、短縮できますのでご安心ください!

契約書を作れない時にどうすれば良いか

契約書を作った方が良いと思っても、色々な理由から、契約書を作成することができない場合もあると思います。

そのような場合には、出来るだけ、仕事の条件をメールなど双方向のコミュニケーションで残しておきましょう。

ポイントは以下です。

①記載内容:仕事の条件(制作物の内容、代金、支払い時期等)をできるだけまとめた形で記載
②承諾を得る:「この理解でよろしいですか?」という内容に、クライアントから「良いです」という応答をもらう
③電子媒体:口頭や紙のメモではなく、メールなど証拠が残る形で残す
④証拠を残す:Slackなどは削除されてしまう可能性もあるので、メールでのやり取りをするか、チャットのスクリーンショットを残す

あまり長々とは書けないかもしれませんが、出来るだけ、決まった内容を記載し、相手にも確認の上了承をもらっておきましょう!

まとめ

特別な場合でない限り、契約書がなくても仕事の受注は可能です。

しかし、仕事の条件や契約自体を証拠として残すことは、弱い立場であることが多いフリーランスが、トラブルを防ぎながら仕事をするためには重要です。

今日は、契約書の必要性について、解説しました。次回から2回で、よく見る契約書についてポイントを解説します。

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