歌ふことしかありはしない
これも、いつか書いた中原中也についてのエッセイなので載せておきます。
二人は、八幡様の茶店でビールを飲んだ。夕闇の中で柳が煙つてゐた。ビールを一と口飲んでは、「あゝ、ボーヨー、ボーヨ―」と喚いた。「ボーヨーつて何だ」「前途茫洋さ、あゝ、ボーヨー、ボーヨー」と彼は眼を据え、悲し気な節を付けた。(小林秀雄「中原中也の思ひ出」)
明治40(1907)年に詩人中原中也は生まれた。
中原中也といえば、教科書に載る詩「サーカス」により、日本中の人が知っており、最近はマンガ『文豪スト