親が死んでからのこと
父親が亡くなった。
亡くなったって言うとオフィシャル感がつよすぎてどうも慣れない。
死んだ。
彼は死んだのだ。
さんざん死のうとしておいてよく言うよと思うが、わたしは死ぬとはなにかあまりよくわかっていなかった。これまで身近な人が死ぬというのは、一度しか経験していない。と思う。
高校生のころ、それなりに仲が良かったけれど疎遠になりつつあった友達が自殺した。
それも又聞きで、しかもわたしの耳に入ったのは1年後だった。
あの時はなんというか、ただぼーっとして、悲しむべきだと思ったし、泣いてみたりもしたけれど、それはなにか別の感情を反映させていただけのように思う。
もう会えないんだというのはなんとなくわかったけれど、それだけであり、正直なところ一番大きな感情というのは、「羨ましい」だった。
彼女の死以外にも、親族の死も何度か経験しているが、誰もわたしにとって近い存在ではなく、思い出と呼べるものは一つもなかった。
だから、彼らが死んだ時にわたしは泣かなかったし、なんで葬儀に参列しなければならないんだろうと少しの怒りさえ覚えた。
だから、わたしはこれまで他人の死というものに直面したことがなかった。死とはなにか散々考えたつもりであっても、それは実感を伴わないただの思考であった。
父親が急に死んでわかったことは、
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