【「嫌われることで安心する」話:解答編】野並絵梨奈の思想だって本当は解ってたのかもしれない
蓋を開けてみたら簡単なことだった。だって、自分を好いてくれている人間を×すなんて、あまりに残酷じゃないか。
嫌われているという観測が確定するなら、リセットボタンを押そうという踏ん切りもつく。どだいわたしは最底辺の人間だ。そうでもなければ、かつて好いてくれた人間を捨てることなんてできない。
残念なことに、わたしは持てるもののキャパシティがひどく少ない。せいぜい両手の指で数えられるほどだ。だから、欲しいものを持つためにどうしても、わたしには失いかけたものを綺麗なまま遺す為にどうしても、リセットをする勇気が必要だった。
友達を庭の土に埋める勇気が。
ああ、今なら君の気持ちがよく解るよ、野並絵梨奈。