誰か俺に水をくれ、そしたら俺も・・・
喉仏の表と裏が引っ付きそうな程に喉が渇いた。砂埃のついたコップを見ると、唾も通らない。
「誰か俺に水をくれ、くれたら何でもする」
でも誰もくれない。みな俺を哀れんだ目で見て去っていく。
すると樽一杯に水を持った男が現れた。見るからにお金持ち、高級な時計、ダンディーな髭、さらには余裕一杯の表情。
男は言った「水が欲しければ、人に水を与えなさい。そしたらあなたのコップは満たされる」
俺は心底思った「こいつはバカなのか」と。だから俺は言ってやった。
「俺は水がないから困ってる、もしお前みたいに樽一杯に水があれば、俺だってみなに分けてやる」
男はたった数滴、喉仏の引っ付きも治らない程度の水を俺のコップに入れ
「ニヤッ」と笑って去っていった。
俺は口の中の唾がなくなる程、大量の唾をのみこんだ。
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