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コムデギャルソンと西洋のモード史 哲学から読み取る

構造主義(バルト、フーコー構造主義4銃士に加え、フロイト、ソシュール)からジャックデリダのポスト構造主義

ファッション業界で言うならば川久保玲や山本耀司、日本を代表するデザイナーからマルジェラこの流れだろうか。

美術批評でいうならモダニズムからミニマリズム、グリンバーグ、フリード、クラウスまでに至るプロセスで用いられることが多い。

未来とは過去にあるもの

私たちは過去から現在のわたしという存在まで一直線上に発展した過程だと捉えていないだろか。今、ここ、私まで辿り着くまでには数多くの可能性を排除した結果と捉えることは出来ないだろうか。

簡単に説明していく、身近なもので言うならば苗字だ。私たちは両親のどちらかの名字を名乗る、しかしこの選択した過程には二つの選択肢があるはずがなぜか私たちは一つの名字だけを名乗ることになる、叔父叔母の代に遡れば四つの名字から一つの名字を選びとっていることになる。

国籍もそうではないだろうか、私たちは当たり前のように自身を純日本人だと思い込んでいるが何世代にも遡れば他の国籍、あるいはマイノリティーの血縁が混じっているかもしれない。しかし行く通りもある可能性の中から一つの事実に絞り上げるのだ。

そのように考えると逆に一直線に今、ここ、私に向かって進化の過程を歩んでいるのではなく、私たちはあらゆる可能性を排除しながら選択を繰り返し、やせ細った過程を歩んでいると考えることはできないだろうか。なので私たちが何かを作り上げるとき答えは未来ではなく過去、「もしあのときなになにだったらなぁ」フランス語で言う条件法過去の中にあるとわたしは考える。そしてコムデギャルソン、川久保玲さんもこの構造主義の理論を利用してモードという制度に叛逆したのではないだろうか、結果としてモードという制度の一つになってしまった皮肉もはらんでいるが!

コムデギャルソンとモード

西洋の服に対して衝撃を与えた彼らの仕事も道徳的に美しいという部位を隠蔽しながら強調するという手法、セクシャルの記号ゲームを隆盛させるという一直線のプロセスを歩みあらゆる可能性を排除してきた西洋のモード史の可能性をもう一度広げ、ファッションのあり方、一本道から再び枝分かれさせたのが日本の誇るデザイナーが残した偉業だと考えている。川久保玲さんは慶應大学文学部哲学科を出ているので時代的に考えてアカデミーで構造主義をことごとく学んで影響を受けた方なのではないかと予測している。

彼らの初期のコレクションを見ると現在パリでモードの規範を学んでいるからか目新しさまで感じてしまうほど衝撃を受ける、女性の美しさを強調してきた西洋の服作りのあり方に対して、現在でも浸透している美しいモデル像を逆手に取り女性のタブーというべき生理的な醜い部分を捉え具現化していたのだ。なんともアンバランスなシルエット、時間軸を加えたかのようなボロい服、手首を出すことのできない長い袖は機能という言葉を置き去りにしている。他にも否定的な言葉を永遠と羅列できそうだ。しかし服の持つ意味作用だけでは無い西洋史の理想的モデルの定義そのものを変容させてしまうようなほど影響力を持ったのだ。

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どちらかというとファッションとはイメージの補強を担う自己を肯定的な意味で満たすためのギブスのようなものだと考えているのだが、否定的な意味を孕ませるような服作りを当時からしていたのに本当に感嘆させられる。これは西洋のファッション史に造詣が深く無いと成し得ないことで、今では日本と特有の知見だとかよくメディアで見るのだが西洋あってこそ生まれた価値だと思う。

西洋のモードという制度に囚われないような速度で数々の意味を打ち出してきたわけだが、現在ではうんざりするほどに脱構築という言葉が飛び交っている。同じ方法を使用して繰り返すことはすでに既存の価値であって脱構築の理論とは言えないだろう。ただ響きがいいから使用しているのだろうか。

カタログ化され西洋ファッション史の制度に吸収されてしまった時点でもう一度脱構築の理論を再使用することはナンセンスのような気もしている。だから新しい価値を模索するためにここ10年間川久保玲氏はコンセプチュアルな服作りを続けてきたのでは無いか、2019SSの時にVOGUEか何かの取材でここ10年間やってきたコンセプチュアルな服作りは意味がなかったと言った川久保玲氏に安心させられた。わたし自身20代前半でありこの10年のアプローチの方を直に見てきた世代なので、ファッション初心者である私には到底理解の及ばないここ10年間コレクションだったからだ。

しかし2019SSからは感覚的な物言いしできないがとても良い。

川久保玲氏に影響を受け彼女の知見に還元という言葉を加えたのがマルタンマルジェラと自信で解釈している。ファッション史はマルジェラから新規の価値を見出せず繰り返しているように見える、コロナウィルスによって人間の生活の過渡期にある今、哲学、ファッション、アートあらゆるものに変革が起こるだろう。早く新たなる意味を獲得してほしいものだ!笑

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個人的にはラフシモンズにものすごく期待を寄せている筆者なのである。

今回は前回の内容からはそれ川久保玲氏についての記事となった、次回もしこの続きを書くのであればマルジェラ氏に焦点を当てて書きたいと思う。モチベーションに繋がるので是非いいねと、フォローを!




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