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自分の研究授業と見に行った研究発表会

 今週は、自分の研究授業と研究協議があり、そして、週末には他校の研究発表会に参加しました。両方のことから考えたことを書いていきます。

1.自分の研究授業

①授業ふり返り

 算数「三角形と角」の授業をしました。研究授業にはたくさんの先生が観に来たが、子どもたちは、算数を楽しんだ!この子どもたちの姿を見た先生方の反応はとてもよかった。協議会もおおむね、順調に進んだ。「提案性がある授業だった」と刺激を受けてくれたみたい。指導主事も「研究授業はこうでないと」と言っていた。課題もいただいた!すべては書けないけど、印象的なことをとにかく書いてみます。

②教わる→自分で作る

 「問題作りの時間」というものをやりました。「問題作りの時間」とは、単元の最後に、その単元に関連した問題と解説を自分で作り、友だちと出し合う時間である。「出された問題を受け身で解く」から「自分で作って出し合う」ことが「動機づけ」や学習内容のより深い理解につながると考えている。友だちが考えた問題をといたり、友だちに自分の考えた問題をといてもらったりすることはとても楽しい。大人の私でも楽しめてしまうほど。これが、算数きらいの子への動機づけに効果があると考えている。
 問題を作ることとなると、頭を悩ませる人がいる。与えられた問題を解くことはできるが、作ることは難しい。自由進度でどんどん進める子の中にも、問題が作れない子がいる。0→1を生み出すことが子どもにとっていかに難しいのかがわかる。「問題作りの時間」では、面白い問題を作ろうと説明している。ここでいう面白いの意味は、ただ楽しいだけではなく、算数的に面白いということだと説明している。(詳しくは省略)

 子どもたちは、今まで学んできたことを踏まえて、問題づくりに真剣に取り組んでいた。問題づくりは6回目、三角形の作図は得意になって、いつもは算数が苦手な子もコンパス使った作図に自信マンマンだ。作っているとき、いつもとちがって、静かに集中していた。いつもは、座席を動かし、しゃべりながらやるのに。ここは、私の持っていき方が悪かったか。いつも通りやればよかった。でも、子どもたちは、自分の問題をちゃんと作りたい!という気持ちが高まっていたので、今日は「友だちとやる楽しさ」よりも「集中!」の方にいったのかもしれないと思います。まぁでもこれはこれでよかった!

 問題作りが上手くいっていない子がいないか見て回った。かなり見て回るのがうまくいったと思う。(しかし、あとで見返してみると、やはり、この問題はどうなんだろう?)という子が3・4名いた。これは、しょうがないこととしていいのか。それとも教師がその1時間でしっかりと形成的評価をすべきなのか?ワークシートを集めて、次の時間までにフィードバックはもちろんする。

 問題を出し合う場面、子どもたちは、私からのアドバイスにより、いつもよりも「たくさんの友だちと」「いつもはちがうともだち」とも問題を出し合っていた。笑顔や笑い声が多かった。問題やかいせつを一緒に直している子もいた。しばらくすると、一緒に出し合う仲間がなかなか見つけられない子がいたので、子ども同士をつないだ。いい声掛けをし合っている子を価値づけした。感想を伝え合うことをうながした。子どもたちは頭と頭を付き合わせて、一生懸命問題を出し合い、ときあった。自分で作った問題には自信があるのか、いつもは算数が嫌いな子も動き回っていた。

 その日は図工もあったので、「今日は一日クリエイターだね。」って子どもに話をした。うん、そうだ、うちのクラスの子どもたちは、何かを自由に作り出すことが好きなんだと、改めて思った。

③フィードバックとふり返り

 今回の単元では、毎時間にしっかりとふり返る時間を確保した。ふり返りは「学習の内容について」と「学び方について」の両方の視点からのふり返りをします。それに対して、毎回教師からのコメントを書きました。気を付けたことは、そこに「問い」をおきました。授業の始めに、教師からのコメントを見て、「問い」がおかれていれば、少しでも考えてふり返りが繋がっていくと考えました。これが結構うまくいきました。

④没頭

 私が目指したい授業は、子どもたちが今やっていることに「没頭」する授業だ。「没頭」とは、ある物事に心を完全に集中させ、深く入り込む状態だ。算数の「問題づくり」と「問題の出し合い」では、それが起きていた。

⑤単元まるごと提案

 本時だけではなく、単元全体での学びを提案したい。一斉授業、自由進度学習、問題作りの時間など、様々な学びのスタイルで単元を構成している。それぞれの方法を試してきた結果、それぞれの学び方の良さがあることに改めて気付いてきたのでこのスタイルになった。最初と、後半に一・二回、一斉授業を入れる。一斉授業で扱いたい問題は、その単元の中で、みんなで一緒に考えることに価値がある問題を教師が選び、その問題(そのページ)は飛ばして自由進度学習をする。自由進度学習のペースが一番遅い子が、そこまでたどりついたタイミングで一斉授業をいれる。その後、「問題作りの時間」をする。

 研究授業の日だけ授業を公開するのではなく、その単元、すべてを公開した。何日の何時間目に、算数の三角形と角の〇時間目をしますという表を公開して、いつでもきてください、とした。かなりの先生が顔を出してくれたので、嬉しかった。

⑥それぞれの子どものストーリー

 ここには詳しく書けないが、協議の中で、それぞれの子どものストーリーが語られた。私が見取っていた姿とはちがう姿だったことも発見できた。

2.自分の授業の研究協議

⓪従来型の研究協議の課題

 「自評→グループ協議→シェア→閉会」という流れが、ごく一般的な研究協議会の流れだ。これを変えなくてはいけないと思っています。まず、研究協議会の目的が共通理解されていないことが多い。私が思うに、研究協議の目的は、以下の通り。

  • 授業の振り返りと分析

  • 教師の指導力向上(主に授業者、そして参観者)

  • 学校全体の授業改善

  • 児童の学びの充実(最終的にここにつながる)

  • 研究テーマの深化

 従来型の進め方だと、話し合ったという事実のみで終わってしまう。グループ協議の後に、自分で考えてアウトプットすることや、全体で何か一つまとめのような結論を作ることをしないといけないと次につながらないと考えます。

 本当はガラッと変えたいのですが、今回は控えめにちょっとだけ変えました。「自評→ペアトーク→授業者の想いを引き出すような質問をする→グループ協議→シェア→アウトプット&アンケート」という流れです。

①引き出す質問

 研究協議会で、この授業者への質問はとても大事だと考えます。わからないことをはっきりさせたり、意見を質問の形で授業者にとどけたりすることで、授業がそこで改めて言語化する。授業が言葉にすることで、自分の考えが明確にある。そこに価値があると思いました。
 今回も4・5人に質問をもらいました。
「先生にとっての『自分事』ってなんですか?」
「先生が作った面白い問題の定義が、難易度が高いに偏っていると思うのですが、どう考えますか?」
「先生がこういう単元づくりになった経緯について、詳しく教えてください。」
 これらの質問をしてもらったおかげで、自分の考えが明確になったし、自分の考えを少しアップデートできました。

②個人を追う参観方法

 私が研究授業をするときは、個人的にこの方法をやっています。参観者の先生方にそれをあらかじめお願いしています。特に、一斉一律型の授業ではない授業をする際に、先生方が研究授業の見方がわからないという声を聞いたからです。(近年、研究授業を打つ際は、一斉一律型の授業はしません。)児童観も人数分書いて、一人の児童を追ってください。と参観者に事前にお願いしています。先週研究授業をやったのですが、この方法をやった先生から「1時間あっというまに過ぎて、やることが多かったけど、すごく楽しかった。」と言ってもらえました。その先生は、とある二人の子どもストーリーを語ってくれて、とても自身の研究の参考になりました。

③アウトプット・アンケート

 研究協議では、授業者への「プレゼント」&参観者が持ち帰る「お土産」が大事だと考えています。
 参観者の先生方に、フォームで授業者へのただのお世辞ではない愛のあるメッセージを送ってくださいとお願いしました。何人かの先生からアンケートをもらいました。協議会の中でアンケートを書く時間を確保しなかったのが失敗でした。
 また、自分が教室に持ち帰ることをドキュメントにアウトプットすることを提案しました。こちらはあまりうまくいかなかったです。アウトプットする習慣がある先生を増やしていかないといけないなと思いました。

3.市内他校の研究発表

 金曜日に参加してきました。とてもいい研究だなと思いました。

①抽出児童を追う

 今回参観させていただいた体育の授業でも、「抽出児童を追う」スタイルで見取り、子どもの姿を語る協議スタイルでした。人数分の児童観が書かれてあり、どの子を見取るか事前に決める。見取った児童が近い先生方と協議をする。見取ったそれぞれの子どものストーリーから授業者の「次はこうしよう!」が生まれていました。
 改善策は、体育であれば、チームを抽出してもいいと思いました。同じチームではあれば、見取ることができます。(いつもはクラス30人見取っているのだから。)また、正直に言うと、抽出しなくても、色々な子の様子を見取り、子どもの事実をもとに協議できるようになることが、=授業力だと思いました。

②自分で選んだ教科を研究する

 教科ごとに部があり、自分で選んだ教科を研究していました。教師にとっても個別最適な学びで、自分で選べることの素晴らしさを感じました。
 まずは、自分で教科を選べること。なんでも「そろえたがる」学校文化。自分がやりたくないことをやらされてもあまり意味がないのは、子どもも教師も同じことです。研究教科を縛ることにはやっぱり反対です。研究主任の先生が「そろえたがり」の先生方をどうやって説得したかが気になりました。私も前任校で、教科を選ぶ校内研究をしました。そこで感じた課題は、「学年の先生とその教科のことを話さないので、クラス間のズレ、そして意外に孤独」(私はクラス間でずれていいと思っているのですが)日々の忙しさで、意外に気軽に集まれない問題です。ここらへんは、どうやって乗り越えたか知りたかったです。

③研究を日常に

 ここも首がもげそう(首もげ)になるほど頷き、共感しました。私も研究授業は、単元丸ごと公開しています。1時間勝負の研究授業は、ほとんど意味がないように思います。(持続可能じゃない、子どもの学びはその1時間だけじゃない)その1時間だけに力を入れるのではなく、日頃の授業を変えていくことが大事だと思います。それをお互いに日常的に見合えるようにしないと授業力は上がっていかないと思います。

④材をよさを徹底的にあらいだす

 これこそが教材研究だと思います!教科書カバーの授業では、これをしないのが問題だと思います。校内研究で、同じ教科を選んだ先生と一緒に材の良さを考えることはとても価値があることだと思います。材の良さを見つける経験を積んだ若い先生たちは、今後は、自分で材の良さを見つけることができる。教師自身が材の良さを感じているかどうかは、子どもたちにも伝わるし、感じていないと子どもに教えていくことができないと思いました。校内研究の要素して、この点は欠かすことができないなと強い思いました。

⑤ズレの顕在化

 子ども同士の考え方や理解のスピードにはもちろん個人差がある。これを教師のテクニックによって、顕在化させる。ズレがあることで、自然と学び合いが始まる。この状況を言語化して、学校内で共通言語にしていることに対して、嫉妬してしまうくらいに、いいな!と思いました。ずれて当たり前、ずれた方がいい、何事もそろえる文化の日本の学校で、ずれることに価値があることを職員全体で共通理解をしていることが素晴らしいと思いました。

⑥生まれた問い

  • 子どもたちの「〇〇たい!」はその授業、単元が終わったあとも続いていくか?続くにはどんな工夫が必要か?

  • 一斉一律型授業だけで構成された単元で、真の「〇〇たい!」は実現できるのか?

  • 子どもたちの「〇〇たい!」をどこまで尊重するか。どう評価していくの適切なのか?「研究を日常に」が、一部の教師だけではなく、職員室全体に広がるにはどうしたらよいのか?

  • 教師自身がどれくらい「〇〇たい!」と思っていて、どれくらい笑顔が100%になっているか?(笑顔100%で働いている?)なっているとしたら、どのようなことがそれを生んでいるのか。なっていないとしたら課題はどこにあるのか?

  • 「〇〇したい!」と同じくらい「〇〇したくない!」も尊重すべきかどうか?「笑顔100%じゃないときもある」をどう認めていくか。

  • 子どもの「〇〇したい!」を大事にする考えの反対にある「ちょっと無理しても辛いことをやることが大事だ」という昔ながらの根性論(勉強=苦行)をお持ちの方がいたとして、どのように歩み寄っていくか。

  • 教科書ベースやカバーだけで、子どもの「〇〇したい!」が実現できるのか。結局は、学びに子どもを合わせることになる? 

4.来年度こうしたい

  • 教師にとっても、自分らしい実践、自分で作り出すことが大事。それが一番子どもにとっての教育効果が高い。教科やテーマを自分で選べるようにすることが大事。自分で考える=もがくことをしないと教師は成長しない。

  • 研究協議会のあり方を見直す。研究協議の目的はどこにあるのかを考えたい。授業者へのフィードバックと、授業を見て、参加者が自分自身を見つめ直すこと。

  • 研究を日常にしたい。研究授業が終わったら、研究しなくなるのでは、学びがぶつ切りになる。

などなど考えました。

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