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運動会を終えて。子どもたちのアンケートからふり返る。

 異動して初めての運動会ということで、どこまでチャレンジした取り組みができるか心配でしたが、これからの運動会の在り方を考えながら、取り組むことができたと思います。主に「表現」についてふり返っていきます。

1.中学年ブロック(3・4年)の表現は<選ぶ!>

 まずは関連バックナンバーです。詳しくはこちらをご覧ください。
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 2クラスの学校なので、2学年(ブロック)で表現をします。私のこだわりで、何をするかは子どもたちと一緒に決めたいということで、夏休みに入る前に、子どもたちにアンケートをとりました。学校の伝統というか、縛りというか、慣習というか、よくわかりませんが、中学年ブロックは民舞をやることに決まっていました。ロックソーランは、高学年ブロックが隔年でやるので、避けてほしいという暗黙の了解もあったので、ロックソーラン以外の民舞から選ぶことになっていました。なので、いくつかの民舞の中から、花笠音頭とエイサーを選び、子どもたちにどちらがしたいかを選んでもらいました。すると結果は、エイサーがやや多いものの、両方選ぶ子がいました。ここで、教師が「じゃあ、エイサーにします!」と言うのは、なんだか違う気がしませんか?効率を追い求めるのなら、一つに決める方がいいですが、ここ最近の私は、「個別最適な学びマン」「好きなことをやってほしいマン」なので、ブロックの先生に、「両方やりませんか?」と提案しました。すると、先生方はノリがよく、とてもいい先生たち(子ども想いで、柔軟で、当たり前にとらわれない)なので、快諾してくれました。
 その結果、以下のようなプランになりました。ここは私の提案をもとに、教師で決めました。

①花笠音頭
②エイサー
③花笠音頭
④エイサー
⑤全く違うJPOP曲で両方の踊りが交わる

2.任せる

 私の近年のテーマは「渡す」です。とにかく「任せる」こと。失敗を前提に任せます。民舞の部分は、一切教師が教えることなく、子どもたちで教え合ってほしい。(本当にそうなりました。)ということで、夏休み前に、ダンスリーダーを決めて、動画と本番の音源をロイロノートにセットにして送っておき、練習してきてもらうことにしました。
 練習のうち、4時間はリーダーに任せる時間になりました。リーダーは、各クラス花笠4人・エイサー4人です。もちろん立候補制です。
 教師は、民舞をほとんど教えませんでした。リーダーが頑張りました。特に4年生のリーダーはすごかった!3年生は、教師に教わるよりも真剣に、(いつもぼーっとしている子も4年生に教わると、真剣にやる)やっていました。教師のやったことは、3曲目です。3曲目の中盤はダンスリーダーが作りました。序盤と終盤は教師が担当しました。

3.アンケート分析

 アンケートを取ったので、分析していきます。

①満足度

 満足度を5段階で選んでもらいました。多くの子が満足していますが、満足していない子も少数いることを、「まぁ、いいか。」「まぁ、しょうがない。」としたくありません。みんなが納得する表現ってどんな形なんだろうかと常に考えたい。多分、「やるかやらないかも選べる」のが答えなんではないか?

②前向きさ

「どれくらい前向きに取り組めたか」を5段階で評価してもらいました。いい結果ではありますが、中間の3が19人もいることに注目したい。この子たちは、「やらされた」と思っているのだろう。この層を、「作り手」側に巻き込んでいくには、あと一歩「何か」が足りなかったのだろう。その「何か」を考えたい。

③選ぶやり方

 自分でやりたい踊りを選べる方式は、大人からも好評でしたが、「ふつう」が13%もいる。原因は、「選べる範囲が狭い」「そもそも踊りたくない」などが考えられるだろうか。選択肢に、「踊らない(ちがう形で参加)」などがあれば、いいのかもしれない。

<先生・子ども>時間配分

 これは、結構嬉しい結果だ。子ども同士教える時間をたくさん確保できたのは、指導側の計画が上手くいった結果だと思う。

<先生・子ども>わかりやすさ

 この結果から考えることは、いくつかある。
①子ども同士は「教える側」が多いので、少人数指導になりやすい。
②子ども同士でしか、伝わらないニュアンスがある。
③先生が教えるとテクニックはあるが、圧がすごい?

 これは、ダンスに限らず、学習も同じだと思う。多少粗削りだが、子ども同士教え合うと、「自分で分かろう」という気持ちがわくのではないか。逆に先生が出てくると、「教えてもらおう」という受け身になってしまうということだ。

<先生・子ども>安心

 この「安心」について、最近とても強く思うことがある。
先生から教わる安心って、「甘え」に近い感じがする。「人任せ」に近い。こちらは何も動かなくても、教えてもらえる。待っていれば助けてもらえる。子どもが思考していない。ストレッチしていない。
 その反面、43%の子は「子ども同士教え合う方が安心」と答えた。子ども同士の絆、先生は圧があるなど感じているのだろうか。なにしろ、私は、先生から教えてもらえると安心と思う子がいると、ちょっと嬉しいが、ちょっと悲しい。

<先生・子ども>楽しさ

 この結果はすごい。楽しいのが運動会練習だし、学習だし、学校です。先生から教わっている間、90%の子が「つまらない」と思っているんですね。これは授業も同じ。一斉授業をしている子の表情と、自分学びをしている子の表情では、圧倒的に子ども同士、自分学びをしている子の表情の方が明るいです。勉強をつまらなくしているのは、教師なのかもしれません。

<先生・子ども>成長

 7人の子が「成長できなかった」と言いました。成長を感じられなかったことに対して、悔しい気持ちがあります。きっとその子も成長しているはずなのだが、成長に実感させることができなかったということで、そこはしっかり反省したい。

よかったことはなんですか?(自分・全体)<抜粋です>

  • 自分で楽しく運動会に取り組めることができた。全体で上手くダンスをおどれることができた。自分のチームが勝つことができた。

  • 全力で取り組めた

  • 踊りができるように進化した

  • 白組が勝ったこと

  • 徒競走で1位になったこと

  • 雷華明心をきれいに華やかに踊れたこと

  • ちゃんとおどれてよかった

  • エイサーがうまくできた

  • 赤組は負けちゃったけど楽しくできたから良かった

  • エイサーでばっちり踊れた

  • 自分が思った全力を出したおどりがこれなんだとわかって良かったです

  • おどりでしっぱいしなかったからよかったです。

  • はながさをちゃんとやってたからうまくできた。

  • みんなでやってきたから、いきがあったり楽しくやれた。

  • 子どもどうしでやると分かりやすいからいいとおもった。来年も、もっといい運動かいにしたいです!

  • 花笠音頭がかんたんでおもしろかった。

  • すこしでもうまくおどりができたことがよかったとおもいます。

  • 踊りが綺麗だった

  • 運動会で、みんな花がさ、エイサーをぜんぜんまちがってなくていいとおもった。

  • 子ども同士のほうが、気軽に教え合えるからいいと思った。あと練習しているとき楽しかった。

  • 面白く踊れた。「うまい」といわれたくらいうまくはなれたとは思う。

  • エイサーを頑張って本番終わったら褒めてくれた

  • みすったけどがんばってさいごまでおどれた

  • 太鼓や鈴の音がちゃんとなっていてよかったと思います。

  • しっかり踊ることができた

  • 4年生が3年生の花笠音頭を踊っている所を見て、アドバイスをするのが良かったと思った。

  • 反転するところがほぼぴったりでよかった。ウェーブ

  • ちゃんと話を聞いて練習できてた。

  • 楽しい・ 成功した

  • 先生やダンスリーダーがダンスを教えてくれて覚えやすかったです。自分もダンスがうまく踊れて父と母から「うまいね」「かっこよかったよ」と言われてこれも全部、先生やダンスリーダーのおかげだと思います。

  • みんなでやりきれた事

  • 最初は分かんないことしかなかったけど色んな人が教えてくれた

  • 4年生が3年生の花笠音頭を踊っている所を見て、アドバイスをするのが良かった。

  • 大体の人が休み時間に練習してくれたのでその成果もあって運動会にいい演技ができてよかったです。ウェーブが良かったと思います。

  • 運動会まで練習をしてきた成果が、運動会本番に発揮できて良かった。

  • どちらの表現が良いか選べたところがよかったとおもいます。

  • 3年生も4年生もみんな真面目にやっていてとても良いと思いました。

  • 3年生は最初あまりダンスができてなかったけど、最後は綺麗にできていたので凄く努力したんだなと思いました。

  • 自分は大きく動けたと思います

  • とにかくすごかった

  • 自分のは踊りをあまり間違えないで出来たことです。全体は本番にあまり

  • 花笠とエイサー人それぞれちがうおどりをするこがよかった。

  • 親から見られて難しいところがあったけどいがいどいけて安心した。

  • 最初っから最後までみんな本気でやったこと

  • みんなが前向きに踊っていて自分も頑張って前向きに踊ったこと

  • 少し自分は、間違えちゃったけど、全力で踊れた事がよくできたと思います。

  • その後、横で回す時練習でとぎれとぎれでしたけど、本番自分の心の中ではすごくできたと思います。皆さんすごく楽しそうにしていたので、自分も楽しくできました!

  • みんなで楽しく踊った運動会がよかった。

  • みんなで協力しておどりふりつけやおどりをおしえあえたこと

  • 自分はダンスリーダーとしてみんなに教えたり先生たちがダンスリーダーの中のリーダーを任せてもらって私が頑張って教えていることが先生に伝わったんだと思いこれからもこのように私が頑張って教えているんだ!ということが先生方に伝わるように頑張ろうという気持ちになりました私の中では精一杯頑張れました!全体はふざけてる人もいました
    だけど注意をしてくれる人がたくさんいてくれたので前向きの人のほうが多いんだという気持ちがすごくあって私の中では全体も良かったと思っています。最高の運動会でした!

  • 皆が先生や、リーダーさんの話をよく聞いていたので自分も練習がしやすかったです!

  • 表現を、子供同士で教えられたこと

もっとこうしたらいいということはありますか?

  • エイサーか花笠をランダムにしたほうが人数が均等になる

  • エイサーと花笠をランダムにして人数を均等にしてほしい

  • やっぱり先生で教える方より子ども同士で教え合うほうがいいと思う

  • 説明は(教えるの)先生の方がいい気がする

  • みんながもうすこし早いといいと思う

  • すばやくこうどうしたほうがよかった。

  • 少しウェーブが多かった。

  • もっとこしをさげたらいいとおもう(みんなが)

  • みんなからアンケートをとってその中から良さそうな物をえらんで聞いてみて「いいな」と思う物はそうだんして決めるというのがいいと思いました

  • もっと踊って覚えればよかった

  • もうちょっとリズムを合わせたほうがいいと思いました。

  • 細かいところをしっかりやりたい

  • 声をもっと大きく言ったらいいと思った

  • もっとしずかにして話をきけばよかった。

  • もっと振り付けを合わせて、左右左右がバラバラにならないようにしたいです。

  • 1部分ごとに練習する時間を増やしてほしかった。

  • ダンスリーダーの人数は、少なくしたほうがいいと思います。

  • もっと掛け声の時に声を大きく出せたら良かったと思います。(花笠)

  • 練習の時も本番みたいにしたい。

  • もうちょっと練習期間を多くしてほしいです・・・。

  • もっとダンスがキリッとしているほうがいいと思う。

記述アンケートを見て考えたこと

①勝ち負けの記述が多いこと

 赤白の勝ち負けって、大人からするとどうでもいいことですが、子どもにとってはとても大事なこと。ふり返りに、勝った・負けたしか書かない子が多い。もっと大事なところがあるのに、どうしてもそこに注目してしまう。がんばった過程がとても大事なのに、そういう語りを各担任が繰り返ししているのに、勝ち負けにどうしても勝ち負けに注目する子が多い。(揉める子も…。「競い合って勝ったり負けたりすることを楽しむ」ことも大事だが、そこにしか目がいかない子がここまで多いのであれば、得点や勝ち負けはなくしてもいいのではないか?

②大人→子ども < 子ども同士

 子ども同士教え合えたことに、喜びや自信を感じている子が多い。

③子どもも大人もそろえたい

 自分で選んだ踊りをやることに対しては、いい意見しかないが、「人数をそろえたい」「動きをそろえたい」という子が多い。これは、日本の学校が古くから大事にしてきた「そろえたい病」の影響が大きいと思う。そろえなくていい!をもっともっと子どもにも伝えていかなくてはいけないし、教師の考えた方も変えていかなくてはいけない。「表現」なんだから、それぞれ自分らしい表現があっていい。 

 以上、エンチャントでした!

 

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