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Snow Glove スノー・ドーム
いろいろなものを収集する癖のあるわたしだけど、これまでの人生でスノー・ドームだけは手に取ったことがなかった。もちろん観光地の土産物屋で安っぽいスノー・ドームを目にするたびに、喉から手がでるほど手に取りたい衝動にかられたりするけれど、ひとつ手にしたらきっと(イラストレーターの安西水丸さんがそうだったように)棚を埋め尽くしてしまうほどのスノー・ドームを集めたくなってしまうだろうから、そのたびにその衝動をそっと胸のうちにしまうことにしていたのだった。
そんな感じでアルコール中毒の患者がお酒を飲みたいのをじっと耐えるみたいにスノー・ドームを禁じてきたのだけれど、このライフル・ペーパーのグリーティング・カードを見たときどうしても抗うことができなくて、つい財布の紐をほどいてしまった。縦長のドームのかたちにダイカット加工されたカードはとてもかわいらしくて、わたしがずっと思い描いてきたスノー・ドームのかたちにもうそっくりといってもよかったから。もみの木に降り積もる雪の感じとか、立派な帽子をかぶったスノーマンとか、赤いコートと黒い長靴に身を包んだ女の子とか、薄いブルーの空の色彩とか、好きなところを挙げればきりがないくらい。それはまるでわたしのために用意されていたみたいに完璧だった。
わたしはカードを手に取ると、これを飾る方法を考えることにした。このまま本棚に立てかけて飾ってもいいかもしれないけれど、ちょっとした額装を施してみるのもいいんじゃないかと思った。せっかくのスノー・ドームのカードなのだ。そこで戸棚から少し前に手にいれたきりすっかり忘れていた薄いブルーのフレームを取り出して、カードと合わせてみて、ああちょうどいい感じになるじゃないかとひとり嬉しくなった。だってフレームの色がカードのなかのイラストのガラスの色と合わせたように同じ色合いだったから。それは思いもよらない偶然だった。それでこのフレームにアントル・トロワ・ヴェールの技法(ガラスまたはアクリル板を3枚挟む額装のテクニック)を使って、ガラスとアクリル板のあいだに雪に見立てたコットン・ボールをいれてみるといいかもしれないなと思って、そうしてみた。それだけだとちょっと寂しい感じがしたので、フェルトを使ってイラストの世界観を広げたバックグラウンドを作ってみたところわりといい感じがしたのでこの路線で作品の仕上げにかかった。こうしてわたしは山ほどのスノー・ドームを集めるかわりに世界にひとつしかないスノー・ドーム風の額装を手にいれることができたのです。
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Rifle Paper Co.のスノードーム(Snow Glove)のグリーティング・カード。スノードームのかたちにダイカットされたカードもかわいらしいし、付属の金色のエンベロープもすてきです。
カードのなかのイラストに合わせて、フェルトをカットして背景をつくることにしてみました。
アントル・トロワ・ヴェールのテクニックのあいだにコットンボールをいれて、雪っぽいイメージを演出することに。
背景のラフスケッチ。カードのなかのイラストを参照して、似た感じのイメージになるように描きます。
スケッチを元にカットしたフェルトをボンドで貼り付けます。これがあとで作品の背景になります。
アントル・トロワ・ヴェールのテクニックでコットンボールを挟んで、バックグラウンドにフェルトで作った台紙を貼ったら完成!