雨の効用?
注・先月某日雨の日に書いたものです。
☔☔☔
雨の日になると活動する。あれこれと事細やかに自分のことを書くつもりはないけれど。土砂降りの雨で、さてさてと職場の自分の部屋で窓外を眺めると、外に出たくなるので困ったさんです。社内電話で今日の予定を確認すると、2時間ほどは空き時間があり、それじゃあと、こそこそと部屋を出る。
傘をさして歩き回りたいだけで、仕事をサボるつもりもない、、ないのだけれど、小さな体を余計に小さくして、ひそひそと廊下をエレベーターに急ぐところを、
「あっ!! えなさん!! 雨、ひどいですよ!! お出掛けですか?!」
大きな声で!!、、この人、営業力は抜群で、営業センスも抜群だけれど、声が大き過ぎる、響き渡る。その上、身のこなしが素早く、いつの間にか私のそばにいて。
「ええ、ちょっと、あの、、コンビニまで、」
「ああ、そうですか、、丁度良かった、僕も一緒していいですか?」
どうして、声が大きいのだろう!?
まさか、イヤですとも言えない、コンビニに行くくらいのことで、イヤもクソもないはずだから。
私にすると見上げるほどにノッポさんの彼は、
「えなさん!朝お願いしました乾燥室の件ですけど、検討頂けましたか?」
内心は乾燥室ごときで、私に言うな!と思ってはいたけれど、
「5階に、現在は鍵をかけたままで使っていないスペースあるでしょう、ご存知よね、ずっと奥の、、ロッカーや、昔のキャビネットを突っ込んであるので、整理して使って下さい。古いものは処分して下さると助かります。」
ああ、良かった、みんな喜びますとか言いながら、
「えなさんて、雨降りが好きって噂ですけど、本当ですか?」
そんな噂があるのだろうか?小さな会社なので、つまらないこともすぐ知られてしまい、果ては噂になる。隠すようなことでもないので、
「カンカン照りの日より、雨、えーと、しとしと雨じゃなくてね、今日のような土砂降りの雨が好きです。」
彼はやっぱり、噂は本当だったんだとか言いながら、
「コンビニで何を買われるんですか?」
この人、ずかずかとさりげなく、人のプライベートな部分にささるなぁ、それが営業成績が良いことと繋がってるのだろうと思いながら。
結果、180以上あるノッポさんと、153センチのオチビさんの私が、傘をさして、街中を約1時間歩き回りました。
ノッポさんの黒い傘は大きくて、骨が沢山ある、頑丈な傘。
「えなさん、、雨音がすごいから、
話が見えません、僕の傘に一緒に入りませんか?」
「いえ、、それはよします。」
「僕、、変なことしませんよ、えなさんに小指の先ほどでも触れたら、僕の人生は終わりますから、、」
なんというイヤミな言い方をする人だろうかと、それでいて、本人はイヤミのつもりがないのか、平然としているから、
この人、かなり図々しいなぁ、さりげなく図々しいなぁと思いつつ、いつも立ち寄るチェーン店ではないカフェで。一緒に急ぎお茶して、帰社したのはちょうど予定の2時間後。
ノッポさんも雨降り好きで、彼のタブレットに記録してあるデータを見せてもらい、彼は雨降りの日に必ず、大きな契約を上げていることに気付き。
少なくとも、ノッポさんは図々しいところがあるやもしれないけれど、彼の営業力は、会社に多大な利益を与えてくれていて。
土砂降りの雨になると、自分では気付かない力を発揮する人が存在することに、少しばかり驚いてしまった。
雨に力をもらう。雨の日に精神が高揚する。逆に雨の日に、精神が研ぎ清まされる。
ノッポさんは高揚して、力を発揮するタイプ。私は、精神が落ち着き、または研ぎ清まされるタイプ。のようですが。
雨の力はあなどれません。