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バラ色の日々。
雨の朝。
強い雨の音を聞きながら、気付けば滞っていた4日分の日記を書き、本を読み、身体を伸ばす。
道路も田んぼも、一面水。
山の中腹には霧がかかり、景色はぼうっと霞んでいる。
近所に咲き始めたたくさんのニゲラ、近くで見るとトゲトゲ…と思うけれど、雨の中でも、そこだけふわふわとやさしい青い空気をまとっている。
この時期は、毎日の行き帰りに、どこかに出かける道中に、バラの花を愛でるのが楽しみ。
出勤時、予想以上に道は混んでいた。
いつもなら止まることのないような位置でしばらく停車、それがちょうどお気に入りのモーヴ色のバラのある中華料理店の前だった。
うれしい、こんなにじっくり見れる機会はそうないもの。
目立たない、でも知っている。
植物たちのカオスの中、静かに、でもワイルドかつエレガントに、今年も咲いていること。
庭でバラを育てている家って、こんなにたくさんあるんだなぁ、と驚く。
もちろん、庭のどの花にもそれぞれの意思と思い入れがあるのだろうけれど、なぜかバラは特に、その育て主の思いを感じ取ろうとしてしまう。
勝手に想像を巡らせてしまう。
華やかなアーチ、壁を覆うもの、塀から溢れ出るもの、鉢植え…
どれもそれぞれ、大切に育てられたんだろうなぁ。
でも、決して華やかに咲き乱れるものだけでなく、ひっそりとひとつふたつ、他の木々のあいだで咲いているものや…
空き家…?と思うような人気のない家の塀に沿って深紅のバラが咲いていたりすると、これはまた色気があって、目が釘付けになる。
色だって、そう。
つい儚げな淡いピンクに惹かれるけれど…バービー人形のようなピンクを見つけて、かわいい!と思わず声を上げてしまう。
この季節だけの楽しみ。
時に、考え事で心ここにあらず、になりそうなこともあるけれど。
もう少しのあいだ、バラ色の日々に目を向けていようと思います。