標識を立てる


読み返した時に、
「なに当たり前のこと書いてるんだよ~、自分ったら☆」
って思ってますように。そんな願いも込めて、期待を込めて。

去年の10月後半から、キャンパス近くのお家にステイホームしています。
学校の寮から追い出されてしまい、引っ越したシェアハウスでは金銭的な面で生活が苦しくなりそうでコーチに相談。そしてこのお家に来ました。そして来週からは学校とチームも再開し、私は元いたシェアハウスに戻ります。

今でも、引っ越し前日に挨拶をしに行った時の光景を鮮明に思い出せる。
10月も後半だというのに、赤いTシャツ(※半袖)を着て、庭の掃き掃除をしていたホストマザー(Jさん)。車から降りると駆け寄ってきた、愛犬L。
ひたすらペコペコして、”Nice to meet you.”と“Thank you so much.”を繰り返していた気がする。そして部屋の案内をしてもらって、コーチと私とご夫婦で現状とか、条件とか、今後の予定とか、リビングで話した。話を聞いている間、私の左手はずっとLを撫でていて、Lの頭は私の左足に寄りかかってた。事前にコーチから、超フレンドリーな犬がいるとは聞いていたけど、想像以上だった。マジ可愛い。

次の日、朝8時頃、いよいよ引っ越し。実は、前日はいろんな事を考えたり、寝坊するのが怖くて眠れなかったり、引っ越しの支度をしていたりして一睡もしていない。徹夜って意外とできちゃうものなのね。
お家についてから、荷物をひとまず部屋に全部持っていった後、Jさんが朝ごはんを振る舞ってくれた。
“You want some avocados?” “Do you have some pancakes?” “You like bacons? Oh, by the way, we love bacons so we eat every day haha.”


この時から一ミリも変わっていない。
心が少しずつ暖かくなっていく感覚。
幸せで満たされていく感覚。
一生ここにいたいという思い。
こんな贅沢な暮らしをしちゃっていいの?っていう焦り。


マズローの5段階欲求説がありますが、なんだかその通りだなと感じました。

画像1

(https://www.kaizen-base.com/contents/mgal-42356/より画像引用)
寮や、シェアハウスにいた頃は、常に貯金のことが頭にあって、生理的欲求を満たすことができていればいいやと思っていました。
しかし、このお家に移ってきてからは、生理的欲求を満たすためのお金の心配はいらなくなったし、安全の欲求に関しても十分満たされていました。さらには、ホストファミリーの支えのおかげで、社会的欲求も満たされました。幸せすぎました。そして、”You are the part of our family” ”Welcome to my family”と言ってくれたときには、承認欲求まで満たされ、私の幸せは頂点に達しました。本当に嬉しかった。ここまで優しさをくれる人達に、初めて出会った。
元のシェアハウスに戻らないかという話がコーチからあった時、私はすごく不安になったのを覚えています。でも、色々な理由を聞きながら、戻ることが最適な選択だと思いました。この時の具体的な感情については別の場所で表現するとして、この5段階説に則って考えると、承認欲求の段階から一気に生理的欲求の段階にまで落ちてしまう事を想像し、不安が押し寄せてきて、「嫌だ、この家を出たくない」と思ってしまったのだと考えます。


元々は、コロナの影響で寮を追い出されて、お金を節約したいからコーチに相談してこのお家に来たのに、このお家の人たちが素敵すぎて、ここでの生活が楽しくて充実しすぎてて、いつしかその理由を忘れちゃっていました。そして本当の家族のように思えて、ずっとここにいたいとも思ってしまいました。渡米前は想像もしていなかったこの出会いに、感謝の気持が絶えません。

そして、私を家族の一員として迎え入れてくれて、いつも楽しく、優しくサポートし続けてくれるこの家族と過ごすうちに、自分がなんでこの家に来たのか忘れてしまって、引っ越しの日が近づくにつれて、ここから離れたくないという想いが強くなりました。

さらに、ここに居続ける理由を探すようになっていた自分に気づきました。
そして、私はチームメイトを利用してしまった。前のシェアハウスで悩んでいた事を、戻りづらい理由としてホストファミリーに伝えてしまいました。本当に後悔している。嘘をついたわけじゃないけど、自分の悩みのほんの一部分に過ぎないことなのに、シェアハウスに戻りづらい理由にしてしまった。本当にごめんなさい。そして、また生活費を自分で建て直さないといけないことや、それでいて周りに気遣いしすぎてしまう生活が戻ってくると思うと、前向きになるのに時間がかかりました。私がアメリカに来たのは、サッカーで挑戦するためであって、Jさんと出会うためじゃなかったのに。根本の目的を果たすために目の前の小さな悩みすらも無視して、ここに少しでも長くいたいという想いが先行してしまいました。こんな状態でいるようでは、帰国後の自分が後悔するに決まっている。
不安や嫌なことから目をそむけてしまう自分は嫌いです。


“This is the challenge for you and your future.”
“This experience will make you more confidence and successful.”
“Even if you move to that house, we always support you and you can come here anytime you want.”
私よりも、私のことを思って、本当のお母さんのように言葉をかけてくれた彼女に、どれだけ感謝を言っても足りない。ここには書けないけど、彼女の親としての思いや、家族を思う気持ちもまっすぐに伝えてくれました。想像を遥かに上回る彼女の温かい人柄を、いつまでも忘れたくないです。

クリスマスプレゼントでネックレスをくれた時、
サンクスギビングにも私を迎え入れてくれたこと、
背中を押す言葉をたくさんかけ続けてくれたこと。
どれだけ彼女の前で泣いたことか…こんな経験がアメリカでできるなんて思ってもなかった。心の支えになる大切なつながり、家族がアメリカでもできるなんて思ってもなかった。アメリカに来てよかったことを上げるとしたら、この家族との出会いは絶対に伝えたい。
自分の弱さに気づかせてくれたこと、
理想の未来が少し描けるようになったこと。
どうやったらこの感謝を彼らに届けることができるかな。



いいなと思ったら応援しよう!