コーヒーが冷めないうちに。

2021年4月16日(金)

サッカー留学の大きな目的の一つである、NAIAのチャンピオンシップ(全国大会)の1回戦が昨日行われた。私のチームは、0-2で破れ、同時にシーズンを終了した。

8月末に渡米して、気づけば4月の半ば。このチャンピオンシップで優勝することを目標にしてきたけど、実際に自分が公式戦を戦えたのは5試合。なんとも一瞬だった。

悔しい。

この想いが冷めてしまわぬうちに、書き留めておきたい。

シーズンを終えて、私は何に悔しさを感じているのか。

それは、「気づいているのに、行動しなかった自分」に対しての悔しさ。
私は、勝つために必要な、組織のまとまりが、このチームに欠けている事に気づいていながら、何も行動を起こさなかった。


一人一人に能力のポテンシャルがあっても、チームでその強みを活かし合わなければ、たとえ個人の能力は劣っていても、全員の想いが一つにまとまっていて勢いのあるチームには勝てない。私のチームがそうだった。

チャンピオンシップ(全国大会)につながるプレイオフトーナメントの準決勝で、それは証明された。

年代別の代表経験者や、国の強豪クラブ出身の選手が世界各国から集まる私のチーム。
一人一人の能力にはポテンシャルしか無い。身体能力、ゴールへの執着心、1vs1の球際の激しさなど、「あ、これは敵わないな」と思う長所を、それぞれが持っている。

対する相手チームは、全員がアメリカ人。要注意選手は1人だけで、過去の勝敗も、私のチームが常に勝っている。そして、試合中はベンチに座っている選手は一人もいなく、試合に出ている仲間を鼓舞する。声を枯らして指示するのは、コーチではなくサブのキーパー選手。

結果は、0-1で敗戦。
個々の能力では絶対に劣らない相手に対し、終始攻め続けるも、0-1で敗戦。
彼女たちはその勢いのまま、決勝であたった、今年度リーグ戦のチャンピオンにも勝利し、優勝した。

Team work makes dream works

という言葉があるが、その通りで、個人の力量があっても、組織として機能しなければ、チームワークのある組織には勝てない。
この敗戦から、「チームが一つにならないと、この先(全国大会)では、絶対に勝てないな」と思った。

そして、私の後悔は、ここからの自分に対してである。
チームに必要な、まとまりが欠けている事に気づいていながらも、何も行動しなかった。

英語がうまく話せないから
まだ会って2ヶ月しか経ってないから
チームメイトを信用できないから
この組織に思い入れがないから
自分が先導してチームを引っ張るなんて、キャラじゃないから

理由をあげるとしたら、こんな感じ。
恥ずかしいくらいに嫌な奴。チームに一番いてほしくない、プライド高いだけのやつ。
それが、自分自身だった。

本心を打ち消したくて、「チームのために努力する」「このチームはもっと良くなる」と、無理にでも思い込み、コーチやホストファミリーに伝えていた。そして実際には、自分が試合に出て活躍することしか考えていなかった。

そして、全国大会が始まり、1回戦にて、監督の考えた戦術通りに動くも、仲間の特徴や性格を理解できていなかったために、試合終了が近づきチームに焦りが見え始めたところで、仲間からどなられ、決定機を逃し、チームは負けた。

試合が終わって思ったことは、
「やっぱりそうだよな」
なんて悲しい終わり方なんだろう。試合が始まる前から、負けを覚悟していたみたいに、むしろ半分諦めていたかのような感想。

そして帰りのバスで、監督が私にかけた言葉は、

Good job, Yuna.

だった。
Thank youとだけ伝え、すぐに窓の外を見た。涙が出てきたからだ。
監督がこれまで、どれだけチームのために働きかけ、勝利を望んでいたか、わかっていたのに、それに答えたい自分もいたのに、何も行動を起こさなかった。この留学の機会をくれた監督に、感謝を示すためにも、チャンピオンに成ることを決意して来たのに、自分自身でそれを無駄にした。

一言でもいいから、チームに対して想いを発信すればよかった
試合に出ていなくても、声掛けやサポートをするべきだった
監督に、自分がチームに良い影響をもたらせるプレーのアドバイスを聞けばよかった

タラレバばかり思い浮かんでしまう。


敗北とは、すべてを失う瞬間ではなく、
真剣に目標と向き合ったのかが問われる瞬間だ。



という言葉を、ある記事で見つけ、大切にしているが、この言葉の通り、

私は、大敗北した。


サッカーは、チームスポーツである以上、どれだけ個に能力があったとしても、勝てる範囲には限界がある。それに対し、個人の能力は相手に劣っていても、チームとしてのまとまりを持ち、全員が同じ方向を向いている時、個人の能力を超越して、強敵でも打ち勝つ事ができる。

きっと、サッカーに限らないと思う。
自分のためにしか行動しない人だらけの組織と、全員が同じ目標を描き、それに向かってお互いを高め合う組織。
私は、後者の環境に身を置きたいし、前者の環境ならそれを後者に変えられる力を持ちたい。

この記事を書く前に淹れたホットコーヒーは、もうとっくに冷めてしまった。電子レンジで温め直すことができるこのコーヒーとは違って、やり直したくてもやり直せない試合と、二度と同じ人が集まることはないこのチームを思い返しながら、やっぱりコーヒーはホットがいいな、なんて思う、深夜テンションの私。いたたたた。Bye.

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