〜サッカー編〜 その② 海外サッカーでしか得られないこと
前の記事では、日本のサッカーレベルは(私にとって)高いことを身をもって感じたという経験を投稿しました。が、今回は、実際にアメリカに行って海外の選手たちとサッカーしながら、“私の考える『サッカーうまい』はいつか通用しなくなるんじゃないか?”と、薄々と不安に思っていたことについての記事になります。
題して、
サッカー編 その②~海外サッカーでしか得られないこと~
です。
1.身体能力の海外
東京オリンピックを戦ったなでしこジャパン。予選リーグから試合を観戦していて、印象的だったことの1つとして、海外との「身体能力」の差があげられます。
これまで戦ったカナダやイギリス、チリ、スウェーデンの選手たちを見ていて、どの選手も、なでしこジャパンの選手より背が高かったり、縦へ速かったり。同じ人間なはずなのに、生まれた場所や食べるもの、血筋が違うだけで、体格に差が出ているという不思議さを感じます。
なでしこジャパンのように、「世界と戦う」ためには、その体格差や身体能力差と戦う、ということを意味しています。現在なでしこジャパンに選出されている選手は、海外の強豪チームでプレーしている方も数人いますが、なぜレベルの高い日本のリーグを飛び出して海外に移籍するのか、ということについて少し分かった気がしました。それは、この、「世界と戦う」という視座のもとでサッカーをしているからだと思います。日本のリーグには日本人がほとんどで、外国の選手が在籍しているチームは数少ないのも現状としてあります。
こういった事を言う背景には、今回のアメリカサッカーを通じた経験があります。
私は、日本の女子サッカー選手の中でも、ガタイは良い方の部類に入ると思っています。(※特に下半身←よく褒められ、いじられて来ました)しかし、アメリカで出会ったチームメイトは、もっとガタイのいい選手たちがいました。長身で足が長く、筋肉もしっかりついています。
そしてそのガタイの優位性を活かした彼女たちと対峙する際に、“1vs1ではまともにやったら勝てないな。”と感じました。
思いっきり体をぶつけてもびくともしない、岩のようなフィジカルの子や、長身で肉付きのいい子など、日本に居たときには出会ったことのないような選手たちがいて、初めは驚きました。本当にびくともしないんです。笑
一言で言うなら、“迫力”です。身体能力の差だけで、実際の能力差を判断する前に、迫力面で違いがみられました。(そういえば、私のいた大学(日本)も、他の大学の友だちからよく、ごついごついと言われて、怖いって言われたこともあったな~)
では、チームで試合に必要とされる選手として信用を得るためには、こういった、身体能力のディスアドバンテージを克服しなくてはいけません。そのため、私は“緩急を使った動きや、頭を使ったプレーを心がけよう”と意識していました。
相手が嫌がるようなポジショニングをして選択肢を制限したり
緩急をつけて相手をかわしたり
攻守両方の場面で数的優位の状況を作ろうとしたり
これが多分、“頭を使ったプレー”というのでしょう。
2.技術とIQの日本
相手(ライバル)との差を埋めるためにすることとして、2種類の対処法があると考えます。
①同じ分野で相手よりもまさる
②違う分野で相手の長所よりもまさる
今回の場合で言えば、
①フィジカルを鍛える(同じ分野)
②思考力・判断力・テクニックで対応する(違う分野)
わずか4ヶ月しかないアメリカの大学サッカーシーズンでは、その期間で①のフィジカルを、対戦相手と対等に渡り合えるまでに進化させることは、難しいなと考えた私は、②で対応していこうという方法をとりました。
海外に比べて、日本人選手は足元の技術(テクニック)が高いと言われる(よく聞く)のは、こういった身体能力の差に対抗するための武器として捉えられているからなのかなと思います。
さて、そんな方針をとった私は、実際にライバルをおさえて試合に出られたのか?
試合ではそのテクニックで相手を圧倒し、勝利に導くことができたのか?
答えは半分Yesで半分Noといったところでしょうか。
試合に出られる選手にはなれました!!(素直に嬉しい)
しかし、サッカーの思考力が乏しくIQも低い私は、長所であるテクニックを試合で活かす(適材適所で使いこなす)ことができたとは思えません。(これは悔しい)
チームメイトや監督からも、テクニックを評価してくださったり、自分自身でも、“お、これは通用するな”という感覚を持てていたりしましたが、これを活かし、チームの勝利に貢献できていたのか、、、、誠に疑問です。もし貢献できていたら、チームを勝たせ、全国大会ももっと上へ上り詰められたと思います。
サッカーは一人では成立しないスポーツです。チームに必要な力(今回はテクニックや思考)を持っている選手がいても、それをチームに発揮し、勝利に繋げないと、意味がない。
本当に本当に難しい。サッカーしていると、なんか終わりなき問いに常に向かい続けている感覚になる。その向かっている問さえも合っているか間違っているかわからない。そもそも正解とか存在するのかわからない。100点満点がある学校のペーパーテストと違って、サッカーの世界では100点満点も、完璧も、とてもとても曖昧で、人によって見方も評価も多様だからです。
あ~難し。
3.アメリカで感じた恐怖
「よし、テクニックなら通用する」
「身体能力で勝てなくても、技術がある日本のサッカーレベルは高い!」
そう思う反面、
「え。。。でも、この子たち(アメリカで出会ったチームメイト)が技術(テクニック)や思考力(サッカーIQ的な)つけたら、本当に太刀打ちできなくなるじゃん。。。」
と思っていました。
恐ろしいです。当時は、たまたま私の方がテクニックあっただけで、彼女達がもしそれ以上にテクニックと思考力を持っていたら、、、と考えると、これまでの練習の積み重ねに助けられたな~と思っていました。
技術や思考って、きっとトレーニングを積めば積むだけ高まっていきます。
しかし、身長や足の長さ(アドバンテージ)は、トレーニングではどうしても追いつけない部分が存在します。
日本は世界に比べてもともと身長が低く体重も軽い。だから高い技術や思考力で戦っていくイメージが強いです。それに比べてヨーロッパに代表される世界のプレーヤー達は、個人の身体能力面でアドバンテージを持っています。そんな選手たちが、サッカーというチームスポーツで更にテクニックやサッカーIQを高めていったら、、、、
女子サッカーの大きな発展ですね。
以上、第二弾でした。
4.番外編~オリンピック~
日本vsカナダの試合を見ていて思ったこと
「え、カナダめっちゃうまいじゃん、、、」
日本vsスウェーデンの試合を見ていて思っていたこと
「え、、、スウェーデン高いし早いしうまいし強いじゃん、、、」
2011年の女子ワールドカップで、日本が世界一になった時から、私の女子サッカーに対する見方がアップデートされていなかった事を痛感したのが、今回の東京オリンピックです。
アメリカにいた時のチームメイトから、
「ねえ由奈、日本ってサッカー強いの?」
と聞かれたことがありました。
私は、
「え、なんでそんなこと聞くの?日本は世界一になったんだよ?年代別でも優勝してきてて、なでしこジャパンの選手たち本当に上手い選手ばかりなのに、なんで知らないの?」
と内心では思いながら、
「Japan is really good team, I’m excited Olympics to see their (our) win」
と答えていました。
しかし、今回オリンピックの試合を見て、2011年のワールドカップのときに感じた「日本最強」のイメージは、変わりました。色んな人が、今のなでしこジャパンに対する考察をSNSで投稿しているのを目にしますが、あまりポジティブなものは見受けられませんでした。悲しいです。私自身も、世界がどんどん進化していることに気づかずに、10年もの時間を過ごしていたんだな~と、驚いています。