過去からは誰も逃れられない 『Red Dead Redemption1』 エンマのゆるふわ評論 第5回
────────
隔週土日開催 エンマのゆるふわ評論
エンマのゆるふわ評論とは...
隔週土日曜日に行う評論、批評記事。
対象は小説、映画、漫画、ゲーム、音楽...etc
自身が見て聞いて読んで、思ったことを内省し思いを吐き出すコーナーです。めちゃくちゃ作品を専門的に詰めるよりは、ゆるふわに楽しくやっていくつもりです。平日書いているエッセイよりも文字数は多め。
今回はゲーム
『Red Dead Redemption1』!!!
よろしくお願いします。
────────
はじめに
この『Red Dead Redemption1』(以後rdr)は、ストーリ的に後継作である『Red Dead Redemption2』(以後rdr2)の物語の続きにあたる。
発売されたのはrdr→rdr2であるが、時系列はrdr2→rdrになる。rdr2後のストーリーの続きがどうしても気になり、購入した。
rdr2は人類史に残るレベルの神ゲーだったため、かなり高いハードルであったが、この作品は見事そのハードルを超えてくれた。rdr2の終盤の展開はかなり劇的で、俺は泣いてしまったが、もちろんrdrの終盤もボロ泣き。
素晴らしいの一言に尽きる作品だった。この記事では、rdrのその素晴らしい部分、主にストーリーを短くだが語っていきたい。
個人的に魅力的だった部分を、4つに分け、話していく。
Let's Go!!!(馬を走らせる)
注意!!!
これより先、『Red Dead Redemption1,2』の
ネタバレあり!!
1.ジョン、カッコ良すぎない?
ジョン、rdr2と比べてカッコ良すぎないか?もちろん、rdr2のジョンも好きなんだけど、rdrは大人の渋みみたいなのがあって良い。
rdr時点で38歳、rdr2と比べてもだいぶ歳を食った顔立ちになっていた。
迷いがないというか、家族のために突っ走っていく姿がかっこいい。マジで"漢"の顔になっている。rdr2の時のヘタレジョンはいったいどこに….
戦闘面でもかなり強くなっており、ムービーでは思わず声を上げてしまったところが何個かあった。特にメキシコ編(アブラハム率いる民兵の反乱が各地で起こっているため、殺伐としていて良い)は、ジョンのかっこいい銃撃戦が見れた。
メキシコ人に絡まれて、帽子取られて、ブーツ見せろって言われたときのジョンめっちゃ好き。最初は温厚に済まそうとしつつも、殺すときはなんのためらいもなく殺すのが、冷酷なガンマンと家族を持った父親の両方の性質を表していたように思える。
どこかのストーリー上で、「娘が生まれてすぐに亡くした」って言ってたし、rdrのジョンはどこか悲しみを背負ってる感じもある。それがまた、渋さを演出していて良い。
2.「Hello old friend」
ジョンがあの農場から急にまたガンマンに戻ったのは、元ギャング仲間であるダッチ、ビル、ハビアを始末するためらしい。そして、ジョンは家族は人質に取られており、その任を行わざるを得ない。渋い設定だ...
俺はrdr2のシナリオも好きだが、それと同じくらいキャラクターも好きだ。rdrでまたあいつらと会えるのかと思うと本当に楽しみだった。
だがこの期待は持たない方が良かった。時間というのは残酷で人を変えてしまう。
それはジョンもそうだし、他のギャングメンバーもそうだった。だからこそ、容赦のないこのrdrも2同様神ゲーだと思った。
ビルはアメリカのフォート・マーサーに居たが逃げてメキシコへ。初めて(至近距離で)会う旧友はハビアだった。
ハビアも変わったな。余裕がないと言うか、自分が生きるのに精一杯みたいな感じ。2では色々と助け合っていたはずだが、もうあの時の絆はないらしい。
久しぶりに旧友と会って遊んだ時、「あれ、あんま楽しくなくね?」ってなった時の気持ちに近かった。「あ、もうあの楽しかった時って過去のことなんだ....」って感じだ。
ジョンとハビアは仲良かった分、ハビアを捕まえる時は辛いものがあった。
ハビアを政府に渡した後、アブラハムとアジェンテの邸宅を襲撃する。その際、ビルとも会うことになる。
ビルはフォート・マーサーにいた時、馬鹿にされることを嫌って、自分がボスであることを誇示していた。
rdr2の時から、馬鹿ではあったがボスを気取るほど愚かではないなかった。だが、ギャングの解散とダッチの不在で御してくれる人がいなくなり、愚かなボスになってしまった。
頭が悪いから身の振り方が下手で、メキシコに逃げたところで結局アジェンテに売られ、ジョンに殺された。
まぁ予想できる終わり方だったなって感じだ。実にビルらしい。
ビルを始末し、ハビアを政府に送ったところで、ダッチの居場所が判明する。そして政府は、最後の仕事をジョンに振ってきた。
ダッチもダッチでなかなか暴れまくっているらしい。銀行での一幕で、もう俺はあの時のダッチはいないことを悟った。
民間人を人質にし、簡単に殺し、犯罪を行うアウトロー。rdr2の終盤で分かってはいたけど、義侠だったダッチはrdrでもいなかった。落ちぶれていた。
だが、ダッチとコチネイの奥の崖で対面したあの数分は、あの頃のダッチと話している感じがした。
「計画があるんだジョン」、「こいつは良い計画だぞ」、「誰も重力には逆らえないんだ」と言ったrdr2でも聞いたセリフたち。
そして、最後の最後に発した「俺たちの時代は終わったんだジョン」は心にくるものがあった。それに気づいていたのになんで....って、まぁダッチの言う通り「何よりも自分には逆らえない」んだろう。
そうして、3人を始末したジョンはようやく自由の身になって、家族と会うことができるようになった。
3.最後に滅ぼされるべき敵
家に帰るとアビゲイルとジャックに会えた。あぁ、あとおじさんもいた笑。なんか口周りが汚かった笑。
メインクエストもビーチャーズ・ホープに帰ってきてから平和なのもばかり。まぁ、たまにジャックが変なことしちゃうくらい。
「この平和のために俺は頑張ってきたんだよなぁ...」と思えるくらいにはこの農場でのクエストは心に染みていた。
だからこそ、ラストクエストである「最後に滅ぼされるべき敵」はくるものがあった。
もちろんおじさんの死もキツかったが、なによりも一番心にきたのは、納屋でアビゲイルとジャックを先に行かせた後のジョンの表情。
ps3のゲームでこれの表現すんのすげぇなマジで。ぜひリメイクを作って欲しい。
そしてその後、扉を少し開けると納屋に外に大勢の兵士がいることをわかった。分かっていながら、一息をつき、扉をあけ、敵に囲まれる。
そうして入ったのはデッドアイ。リボルバーだから6発しか撃てない。敵はもっと大勢いる。わかってる、死ぬのはわかってる、それでもいいからってコントローラーを握った。
このデッドアイの演出で俺はもう涙が溢れてしまった。ジョンの気持ちが、俺に伝わってきた。
そうして、何人か道連れにしつつも、体を蜂の巣されたジョンは、家族を助けるためにその命を犠牲にした。
4.過去からは誰も逃れられない
ここで終わりなのかと思ったら、主役がジャックに交代した。これ熱すぎた。rdr2ではアーサー→ジョン、rdrではジョン→ジャックとなった。アーサーからジョン、ジョンからジャックへと意思が受け継がれているように感じる。
ジャックのクエストは1つだけ、父親を裏切ったエドガー・ロスへの復讐。これも父親と同じだ。マイカに復讐したように、エピローグでジャックはロスに復讐する。
なんて似てるんだこの親子は....泣
ブラックウォーターでの聞き込みや、その他親類からの聞き込みでようやく、ロスの居場所を突き止めたジャックは国境の河岸でロスを見つけ、決闘の末、復讐を果たす。
そうして、振り返ったジャックの顔がアップされ、赤い背景と共に『Red Dead Redemption』とタイトルが出てエンドロールへ。
めちゃくちゃオシャレな終わり方だ。ここでエドガー・ロスもジョン同様に過去からは逃れられなかったのだとわかる。
おわりに
物語の中で、さまざまなキャラクターが「過去こそが本当だ」であったり、「過去からは逃れられない、何者も赦されない」などの発言があり、過去や贖罪がテーマになっていることがわかった。
確かに、ハビア、ビル、ダッチ、ジョンなどの旧ギャングメンバーに加え、ロスやジャックなどのキャラクターも過去の因縁により翻弄されている。
rdr2では、「時代の変革から逃れられないギャングたち」を上手く描いていた。今回は「過去の因縁に翻弄される人たち」が前面に描かれ、rdr2をプレイした後でも、飽きずに楽しめた。
脇役もキャラクターが立っていて、めちゃめちゃ好きだし、サブクエもなかなか面白かった。好きなサブクエはメキシコの中国人のやつ。あれの終わった後の空虚感がいい。
本当にめちゃくちゃ面白かった。一番使った武器はやっぱりソードオフショットガン。カーバーアートかっこいいもんね。
以上!!
前回のゆるふわ評論
次回のゆるふわ評論
小説
『血と暴力の国(ノーカントリーフォーオールドメン)』 コーマック・マッカーシー著
を予定