アメリカはなぜ成功しているのか?
エニアグラム的に言えば、イノベーションに一番向いているのはタイプ5であり、それは、国民性として見るとイギリスとなります。
ではなぜアメリカが成功しているのかと言えば、成功を求めるタイプ3の国民性と、そこから来る目的志向や他者へのアウトソーシング、そして「仕組み」作りがうまく機能しているからだと見ることができます。
タイプ3アメリカでは、「成功をささえる、仕組み」ができあがっています。
資金の獲得方法とか、起業のサポートとか、成功と賞賛を効率よく求める人と、それに応える人が存在しています。
自国民でダメなら、移民でも何でも持ってきて、とにかく成功を求めます。
効率良くショートカットで手っ取り早く。そのためなら、あとの条件はなんだっていいのです。
タイプ3は、能力があれば、誰かを踏み台にして成功を求めます。能力が無ければ、もしくは、まだその段階で無ければ、自分が踏み台になることで貢献をして、成功へのチャンスをつかもうとします。
IBMがパソコンを作ろうとしたときに、そのOSをマイクロソフトに頼んだ話がこれにあたります。当時、一般的には無名だったマイクロソフトはこれをきっかけにして、大企業となりました。
他にアメリカが成功している理由をあげるなら、「人を選ばない、仕組み」です。
タイプ3は成功が好きですが、同時に苦労は嫌いです。そこで手っ取り早く成功を目指して、悪くすると何者かのコピーになることで手っ取り早く成功しようとします。
コンピテンシーモデル(=模範とする活躍者)もこれに近いものです。
タイプ3アメリカは、この応用で、従業員などを、手っ取り早く、優秀な人、もしくは模範的な人のコピーにして働かそうとします。そして、それが劣化コピーであったとしても、一定の成果が出るようにしてしまいます。アメリカは、こういった「誰がやっても一定の成果があがる」そんな仕組みを作るのが上手です。タイプ3は、人を道具(もしくは踏み台)として使うのに長けています。マクドナルド的というか、働く人を選ばない仕組みを作りだします。
ここで海兵隊の話を引用します。
『最低の“ポンコツ”を寄せ集めたアメリカ軍は、なぜ世界最強なのか?(2017/01/18 島地勝彦×伊藤祐靖 現代ビジネス)』より
伊藤 あの海兵隊がいちばんそうなんです。シマジさんもお会いになったらわかると思いますが、いままでみたこともないようなやつらですよ。
アメリカ軍だけでなく、残念ながら日本でもその傾向はあるんですが、ああいう組織に入ってくるのは、ほとんどが、その国の最低のやつらです。身体能力はない、頭は悪い、根性もない、すぐ泣く、痛がり、すぐお腹がすく、そういうパターンが多いというのは、残念ながらありますね。
各国とも似たり寄ったりですが、なかでも“米兵”は大したことない。だけど、“米軍”となると話は別で、やっぱり世界最強だと思います。そんな彼らを、集団としてシステマテックに動かせるところが素晴らしいんです。
シマジ それはつまり、上に立つ指導者が優れているということですか?
伊藤 そう思います。そういうシステムを作り上げる能力に長けています。軍隊だけでなくアメリカの会社組織、政治、国の仕組みにしても、システムがよく出来ているとわたしは思います。移民国家として誕生して、たかだか230年しか経っていないのに、世界の中でこれだけの地位にいるというのは、ガラクタを集めてきて、それなりの力を発揮するシステム作りが上手いんだと確信しています。
それに比べると、非常に残念なのが日本です。日本人は個々の能力は信じられないくらい高いんですが、その個体の能力をシステマテックに動かすのが決定的に下手なんです。国民性とか日本人の性質というのもあるんでしょうが、すぐにひがんだり、出る杭は打たれるような環境になってしまうんですね。
アメリカは、手っ取り早く成功するための「仕組み」作りに長けているのです。
PDCAサイクルだって、外部取締役だって、弁護士の活用だって、手っ取り早く成功するための仕組みです。道具です。
そして、常に「さらに効率の良い」道具を探しています。国全体、国民全体がそういう動きをしています。
ベンチャー企業への投資だって、投資家からすれば、お金儲けの仕組みです。
日米交渉だって、アメリカに簡単にお金が入ってくる「仕組み」を作ろうとしているわけです。ISD条項だとか。
「仕組み」を作ってしまえば楽勝です。
だから、成功のために、アメリカは、「交渉して」「勝ち取る」のですよ。
お金持ちは、働いてお金を稼ぐより、税制を変えてお金を取られないほうが、手っ取り早いのです。
さらには、海外にお金を逃がしたほうが、手っ取り早いのです。
汗水垂らして真面目に頑張るのでは無く、「仕組み」を使って効率良く結果を求めます。
こういった取り組みが今のところ上手くいっているので、アメリカは、今、成功しているのです。
参考
『エニアグラムの本に書かれているタイプ3国家アメリカ』
『日本人の交渉ベタ 他国から見て「おいしい」日本』
『親しくなりたいときのタイプ3の行動』
文章を書いた後の感想など・・
アメリカは、「ガラクタを集めてきて、それなりの力を発揮するシステム作りが上手い」とのことですが、
寄せ集めで、最短で成功を目指すタイプ3アメリカと、
吟味された安心できる人々がいる均一な集団の中で、何も考えず、枠を超えず、安心して暮らしたいタイプ6日本と、
そういった「目標志向」と「安全志向」の違いが、
変化の激しい、答えの無い、これまでの常識が通じ無い「今」という時代との相性を見たときに、
アメリカその他の変化していく国が元気が良くて、
安全重視で変化やアドリブに弱い日本に元気が無い、
こういった結果を生むのだろうなあ、と感想を持ったのでした。