WELQ(ウェルク)問題と創業者DeNA南場智子氏、個人的感想
エニアグラムに関することだけ書いているので、今回は、創業者の南場智子氏をとりあげます。
その前に、WELQ問題のおさらいしておきます。
WELQ(ウェルク)問題おさらい
WELQとは
DeNAが運営する医療系情報サイトWELQは、2015年10月から2016年11月29日まで運営されていました。今は問題を受けて休止されています。医療系情報といっても、いわゆる「まとめ系サイト(キュレーションサイト)」であって医師の監修は無いサイトだったそうです。
WELQが何の略か調べてみたところ、どうやら「wellness question」の略のようです(はっきりとは分かりませんでした)。
そして、このWELQは、グーグル検索のトップに出てくるサイトだったそうです。
問題な医療サイト
始めに問題にされたのは、検索結果上位に出てくるWELQのページが不適切であった件、これがWELQの心証を悪くして、その後に影響したように思えます。
内容はこうです。「死にたい」で検索したときに出てくるのが、WELQの「人生に疲れたな、と思ったとき。自分の深層心理と7つの対処法」だったそうで、以下、ツイッターからの引用です。
辻正浩 | Masahiro Tsuji @tsuj · 10月22日[死にたい]検索1位のDeNAのWelq。色々ダメな所だけどこれは最悪だ。「死にたいと思う人は承認欲求が強い」→「自己承認力を高めるには自己分析が有効」→オススメしたいのが転職サイトなどで無料で使える「キャリア診断テスト」→アフィリンク!死のうとしてる人から搾り取るなよ……
リライト問題
その後、バズフィードの11月28日の記事で、著作権やコピペ、剽窃、リライトの問題が出てきて、DeNA守安社長が問題を認識します。現在は、DeNAが運営する全キュレーションサイト(10サイト)が休止となっているそうです。ちなみに、10サイトを徐々に休止して、一気に休止しなかった対応も批判されています。
『【お知らせ】WELQの全記事の非公開化について(11月29日)』ではこう書かれています。
「WELQ(ウェルク)」におきまして、医療情報に関する記事の信憑性について多数のご意見が寄せられたことを受け、検証および精査した結果、本日11月29日(火)21時をもって全ての記事を非公開といたしました。また同時に、現在WELQで取り扱いのある全ての広告商品の販売を停止いたしました。
これがWELQ(ウェルク)問題です。
広がる問題
WELQ問題は途中から、問題が広がり始めます。
質の悪い記事が大量に書かれていた問題に始まり、1日あたり100もの記事を書いていたその9割がクラウドワーキングサービスを通じての外部ライターだったことから、安値で請け負うライター(1円ライター)の問題。記事の文字数が8000文字前後だったのは検索上位に来るためのグーグル対策であったことから、グーグルの検索精度への疑問(なぜ質の悪い記事にグーグルがだまされたのかという問題)。問題のあるサイトは、WELQだけかという問題。事業責任者なのに姿を見せない村田マリ氏に関する問題(本人の学歴から学生時代の態度、夫にいたるまで、現時点で本当かどうか確認できない情報まで出てきて・・・)と広がりが出ています。
そもそも始まりは?
DeNAは、ゲーム事業の業績が下がる中で、無料通話アプリ「Comm」、音楽配信アプリ「Groovy」などに挑戦しては失敗をしていたそうです。そういった中で、キュレーションメディアに目を付け、インテリア関連の「iemo」と月間4億PVと言われる女性ファッション関連の「MERY」を運営していた2社を50億円で買収して、「DeNAパレット」として大きく展開しようとしていたようです。
事業責任者の村田マリ氏は元は「iemo」を設立した人で、「iemo」売却後、iemo代表取締役CEO 兼 DeNA執行役員となり、女性ファッション関連の「MERY」以外のサイトは、村田マリ氏が牽引していたようです。
南場氏はWELQを見ていたか?
関連した話として、今月(12月)はじめに、闘病の末に夫を亡くしたばかりの南場氏は、WELQの情報提供については全く認識していなかったそうです。医療に関する情報収集は、基本的には論文と専門家からのレクチャーが中心だったそうです。
良質なサイトを持っていたが・・・
DeNAは、Medエッジ(メドエッジ)というサイトを以前持っており、これは、難しい学術論文を、一般の患者家族や健康に関心あるひとに、わかりやすく届けることを目標にしていて、医療ライターや医療関連の編集者が関わっていたそうです。大学病院の医者も読むようなサイトであったそうですが、課金読者の数が伸びず、2014年8月8日から1年半ほどで閉鎖され、最終的にWELQに記事が移されたようです。
エニアグラムを通して
南場氏はタイプ7
南場智子氏は昔映像で見て、タイプ7と見ています。本当は著書も見て判断する必要があるので、かなりいい加減な判別ではあります。ただ可能性として、南場氏のように時間が無い人なら、その著作だって、ライターに力を借りるかもしれず、そうなると著書からの判別は混乱を極めるでしょう。ですから言い訳込みで(ホントに言い訳です)、今回は映像だけの判断で話を進めます。
タイプ7は、『起案者』です。「あれしたいな」「これはどう?」「それいいね」とばかり、次々新しいことにひかれていきます。フットワークも軽く動きまわります。中には台風のような人もいて、風を起こし、周りを巻き込みます。それでいて本人自身は台風の目のように無風地帯となっていたりします。
DeNAはそんな創業者のタイプ7的な面が企業文化となっていると見ています。
とにかく、何かできそうなら、おもしろそうならやってみる。走りながら考える。走りながら対応する。
今回はそれが裏目に出たのではないでしょうか?
気になること
これを書いていて、ひとつ気になることが別に出てきました。
タイプ7は、どちらかと言えば変化が好きな人たちです。それと、押し付けられるのを嫌う人たちです。
それで思ったのですが、DeNAがプロ野球球団を所有し続けることについて…、これは、精神的に少しつらいのものではないのだろうか?ということです。横浜DeNAベイスターズは、球団社長であった池田純氏が、横浜球場オリジナルビールなどを手掛け、24億円の赤字を5年で黒字にしたそうです。始めのころは、「試合に満足がいかなかったらチケット代を返金します」などを行い、試行錯誤しながら、変えていったそうです。それらは、変化を求めるDeNAの「走りながら考える。走りながら対応する。」とも合っていたのだと思います。でも、これ以上、変化できなくなって、維持管理だけになった場合に、DeNAの社風を通して採用された人たちにとっては、つらい仕事になってしまうのではないだろうか?と考えています。
タイプ7の『統合の方向』はタイプ5です。ひとつのことにとどまり、深く入り込んで追及していき、最後には『専門家』になるのが、タイプ5の特性です。
これは『万能選手』というあだ名もあるタイプ7にとって、目指すのがとても難しい目標です。
今の逆風を台風DeNAが、どう乗り越えるか見てみたいと思います。
参照
『【エニアグラム用語】統合と分裂』
『DeNA守安社長、独自インタビューで胸中明かす』
『DeNA南場氏「医療情報、ネットは役に立たず」-記者会見での主なやりとり-』
『南場DeNA会長「ネットの情報は役に立たない」 ガン闘病情報で実感していたが...-記者会見での主なやりとり-』
『DeNaのウェルク(welq)のSEO対策を調べ。どうしてグーグル先生は騙されたか?』
『1円ライターから見た、キュレーションサイト「炎上」の現場』
『DeNAの「WELQ」はどうやって問題記事を大量生産したか 現役社員、ライターが組織的関与を証言(バズフィードの11月28日の記事)』
『ベイスターズを黒字化した男』
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?