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音楽から想起する世界の果て|ドラゴンクエスト ユアストーリー

8月にとっくに観てましたが、まだアップしてなかったシリーズ。
いろんな意味で夏は大盛り上がりでしたね。少し思い出しつつ。

びにょーーー〜〜〜ん。

私が一番ハマったのはこれ。すらりん最高。
これが観れたから全体としては満足。満足です。2回書いとく。

その上で、

各地でいろいろ言われてたのはコレか。。!
という思い。えーとうーんと、...私は頭を抱えた方です。
それらしい伏線や片鱗は確かに劇中ちょいちょいと出てきてたけども、
(なんか妙に"現代っ子"ぽい主人公の振る舞いとか)
あくまでDQ世界の中でのことと思っていたんです。
すごい(悪い方に)ヤラレタ。
その方向で行くならもっと徹底させなきゃ。。_no

根底には音楽のチカラ

あれだけ大炎上した要因として一番よく見かけた言及は、監督自身の作品愛の程度が知れてるというあたりでしょうか。とにかくやっつけ仕事っぽい。

私の見方は別です。というか、まあそれもあるかと思いますが、何よりあのモヤモヤをより増長した要因は、ドラクエには不可欠の、既存のドラクエサントラ音楽に頼りすぎたことじゃないかなぁ...。

界隈では有名だけど、一連のドラクエ作品の作曲家であるすぎやま氏は、
著作権とか作品のオリジナリティには大変厳しい(明確な信念を持っていらっしゃる)方です。

上記のほか、なんかの記事かインタビューで、
音楽自体がゲーム本体を表現するために作られた「完成品」だから、
第三者
(例えばアマチュア演奏家とか)は余計なこと(アレンジ)
してくれるな
、という旨のことも言っておられたかと。
言葉尻はうろ覚えなので、厳密にこういう言い方はしてないかも知れませんが、一般論でも著作権の本質を語るときには必ずこの手の言及があります。

で、本作は、ゲームに元来含まれていない要素が取り入れられています。ということは、映画のための編曲書き下ろしを、すぎやま氏あるいはすぎやま氏も納得するDQワールドを表現できる編曲者にやってもらわないといけなかったはずなんです。

一例として、ドラクエ派生作品として、過去に制作された二つのテレビアニメを紹介します。

ドラゴンクエスト〜勇者アベル伝説〜 (1989) 

音楽 - すぎやまこういち、ミッキー吉野
   → ミッキー吉野 → ミッキー吉野、KAZZ TOYAMA
                  [Wikipedia, 2019.10.29閲覧 → Link]

ドラゴンクエスト ダイの大冒険 (1991)

音楽 - すぎやまこういち
編曲 - 松尾早人、武内基朗
音楽制作 - スギヤマ工房       [Wikipedia, 2019.10.29閲覧 → Link]

どちらも、ベースはゲーム内容から来ています。当然、洞窟とかモンスターとの戦いとかのシーンではゲームでの音楽が使われます。特に初期エピソードは顕著ですね。でも、決定的に違っているのは、直接鳴っているのが、ゲームオリジナルのファミコンサウンドでもなく、ゲームオリジナルサントラとしてのオーケストラ版でもないということです。クレジットにも明記されているように、ご本人ないし第三者が、ゲーム用ドラクエ音楽をアニメ用にそれぞれ改めて編曲をし、その上で追加作曲(または提供)をしています

これにより、ゲームが元ではあるけれど、アニメだけの設定やシナリオが加わっても、視聴者は独立したアニメ作品として冷静に評価を判断することができるんです。

ユアストーリーはどうでしょう。

すぎやま氏以外に作編曲に関する名前は出てきません。
では、ご本人が映画用に新規トラックを作ったんでしょうか?
→覚えている限り、オープニングからエンディングの最後の最後まで、既存のCDサントラ以上の編曲・新曲が聴こえた箇所はありませんでした。

作曲者ですからクレジットが出るの自体は当然ですが、すぎやま氏がこの映画制作自体に直接関わったことはおそらくないのでは...と予想します。
。。本当かなぁ?すぎやま氏のスタンスを思うとなんか信じ難いんですが、でもそうとしか。

「完成された」音楽を切り貼りするだけでは元作品を超えることはできないという好例ということで、いずれ何かの講義のネタにしようかな。

BD/DVDが出たら映画本編のエンドクレジットも1回見なきゃダメか...

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筆者が音楽情報科学の研究者なので、音楽・サウンド周りの表現・演出の視点で書くことが多いです。まずは継続執筆を目指しているので、当面はほぼ全文が無料エリアですが、音楽・サウンド表現についての話を読みたい方はぜひ購読の上、ご自身の参考になさってください。

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