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何をするかより、何を問うのか-広石コラムVol.6

世の中が大きく変化をしている中で、新しいビジネスを始めている方たちがたくさんいらっしゃいますね。これからの社会への対応を考えながら、新しく何かを始めるのは、大変なことも多いかと思いますが、逆にチャンスでもあるのではないかなと思います。そういった状況で、悩んでいる方にぜひ読んでもらいたいコラムです!(事務局新村)

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起業でも、地域づくりでも、先行事例を学ぶことが大切です。先行事例には、自分一人では思い浮かばないアイデア、効果的な進め方のヒントがたくさんあります。先行事例を学ぶ際、その人が「何をした」のか、に注目してしまいがちです。

例えば、高齢者が葉っぱビジネスに取組んだ徳島県上勝町には、多数の視察者が訪れました「何をしたいのか?」に注目すると、「アイデアがよい」「うちの町でも葉っぱを」「うちの町は何を売るか?」となります。

しかし、この事業が生んだ横石さんが、ずっと考えていたのは、「地域の高齢女性の力を、地域活性化に活かす方法はないか?」「地域で、自分達で工夫して付加価値を生み出せることは何か?」という問いでした。

その問いを抱えていたからこそ、出張で訪れた大阪の寿司屋で、「紅葉がきれい」という声を聞いた時に、山でおばあさんたちが紅葉や葉っぱを集め、それが出荷され、大阪の店でお客さんが喜んでいるというイメージが頭に沸いたそうです。

始めると困難が多かった葉っぱ事業を、苦労を乗り越え成功させたのはビジョンが見えていたからでしょう。そして、そのビジョンに自信が持てたのは、自分の中の強い「問い」に対する答だったからでしょう。

先行事例を学ぶ際、注意しないといけないのは、いくら優れた事例でも、それは「過去に起きたこと」だということです。その事例が成功したのは、その時、その場だったからこそ、ということも多くあります。起きたこと、したことは、過去のストーリーとしていいのですが、「次の事業」をつくるのに直接は役立たないでしょう。

実は、先行事例で学ぶべきことは、鍵となるしたことを生み出した「問い」を学ぶことです。困難な状況で打開策を生み出したのは、現状に縛られずに「問うていた」からでしょう。そこを学ぶことができると、現状の困難にどう向き合えばいいか、学べます。それが今、次を考えるための大きなヒントになるのです。

今、サステナビリティやSDGsを考える際に気を付けないといけないのは、「問い」の変化です。

例えば、ハイブリッドカーのプリウスは、「環境にいい車は? 燃費をよくするには?」という問いから生まれました。石油燃料を使うことを前提に、低炭素を問うていました。

一方で、テスラのEVが生まれた問いは、「脱炭素へのエネルギーシフトを起こすために、何が変わればいいか?」でした。石油文明の象徴である自動車が変われば、そこを中心にエネルギーシフトが起きるだろう。それにはまず、燃費の悪い高級車がステータスと思っている富裕層が、競って買いたくなるようなEVが必要だ。

先行事例を「何をしたか」に注目しすぎ、「問い」を見落としていないか?新しく起きていることを、「古い問い」で見ていないか?今、自分は何を問うといいのか?ぜひ共に考えていきましょう。
                      エンパブリック代表 広石
                        (2016年4月22日記)

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「成功事例は過去に起きたこと」そうだ、そうでした!といった感じですよね。。成功事例って魅力的で、ついそこを意識してしまいがち。。
日頃から気になっていたり、思っていることを問い続けるって大切だなと思いました。問い続けていて、自分のアンテナをはっていると、コラムの事例のように物事が繋がっていくのだなと改めて考えているところです。(新村)

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