組織のコミュニケーションは「技術」で身につく
「人間関係」というのは、誰にとってもやっかいな課題でしょう。
人との関係が良好だととても嬉しいのですが、人と人は小さなすれ違いをきっかけに対立したり、傷つけあったりしてしまいます。
良かれと思ってしたことが相手には迷惑だったり、誤解を生んだりもします。
“行き違い”は多くの人にとってストレスとなり、イラつきや怒りを生む、もしくは「もうこの人とは無理・・・」という諦めにつながります。
このような人との「関わり」やそこで起きる「感情」は論理的なものでなく、「どうしようもないもの」「生まれ持っての人柄」と考えられがちです。
ただ、仕事や社会活動は人と人が行うものであり、そこで起きる「関わり」や「感情」はビジネスにも大きな影響を与えうるものです。
そこで、1990年代にダニエル・ゴールマン著『EQ:こころの知能指数』が世界的にヒットしたこともあり、Emotional Intelligence(感情知性)への関心が高まりました。
感情は自然発生的なものですが、それを理解し、対処する術を自覚し、管理できる“知性”があり、それは社会で成功する資質として不可欠だという考え方です。
さらに、脳科学の知見も加わり、感情知性の中でも人間関係に関わる部分をSocial Intelligence(社会的知性)と呼ぶようになりました。
ここで大切なのは感情や関係性を扱う際に、
「今、何が起きているのか」「今、何を感じているのか」
という観察と自己理解をしっかり行うことです。
例えば、自分の発言に強い反対意見が出たとします。
大切な発言の時ほど怒りも起きるでしょう。
ただその時に、(ちょっと嫌でも)相手の発言内容をしっかり聞いてみる。
すると、相手は何に反対しているのか、内容なのか、決め方なのか、そもそも自分が主導権を握れていないことに対してなのか、もしくは別のストレスをここでぶつけているのか、わかってくる。
そうすると自分の対処の仕方もわかってくる可能性が高まります。
ただ、「そうやって聞けるのが特殊だ」と感じるかもしれません。
しかし、これは「技術=修得可能なもの」だ
というのがSocial Intelligenceの考え方です。
ボール投げをきちんと練習したことがない人は、
ボールを上手に投げることはできません。
それと同様に「反対意見が出た時に、相手の主張を聞いて、意図を理解する」ということも練習し、経験知を積んでいなければ上手にはできないでしょう。
ボール投げも、反対意見への対処も“スキル”という意味では共通しているのです。
このような考え方から欧米では学校教育においてSocial & Emotional Learning(SEL)を通して「対人能力」「共感力」「自己理解」「感情制御力」などを磨くことが大切という認識が広がっています。
今、社会の複雑さが増し、価値観の違いも大きくなっているがゆえに、
ちょっとしたトラブルの対立が激しくなったり、断絶が深くなったりしがちです。
ネット上では(無自覚に)感情的な発言が飛び交い、
人を傷つける場面も増えています。
「対話する」「違いや多様性を活かす」というかけ声だけでは、
状況の打開は難しいでしょう。そこに必要なのは、
関係性や感情を扱う“具体的な技術”であり、
そのスキルの習得を多くの人に広げることでしょう。
対話やコミュニティに取り組んできたempublicだからこそ、その限界を強く感じています。
その突破のために何ができるのか。そのための技術をどう広げるのか?
それをempublic Studioを始め、様々な場で、みなさんと考え、トライしていきたいと考えています。
〇 empublic Studioでは「孤独を“つながり”から考える」対話シリーズを開催しています。また、10/17の講座(下記2)を皮切りに「ソーシャルスキルの広げ方を考える会」を開催していきます。
empublic Studioメンバーに登録すると参加できます。
→ 参加登録はこちら https://empublic-studio.jp/entry
〇価値観の変化が起きる中、同じ言葉を使っても認識の違いによって対立も生じます。
よく使う言葉、新しい言葉を課題解決につなげるヒントをラジオ型コンテンツで提供しています。
→ 「empublicの一語一歩」(無料。毎週木曜16時更新)
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