「ずかんミュージアム銀座」で気づく、パンダのスター性
週末に「ずかんミュージアム銀座」に行った。東京の有楽町にある、この施設。映像を使って、疑似的な森や海が作られており、そのなかで動物を発見する体験ができる。制作には小学館の図鑑NEOが関わっている。
描かれる光景は、まさに「動く動物図鑑」という感じだ。動物園とも違い、自然のなかに動物がたたずむ様を、茂みに隠れて垣間見ているような感覚がある。動物が常に映っているのではなく、「ときおり画面外から現れる」という状況設定にしてあるからだろう。
この施設で改めて気づくのは、パンダという生き物の違和感だ。
普段は、キャラクターアイコンとして目に触れる頻度が高すぎるせいで忘れているが、改めて自然界の動物の一種として出会うと、その独特のビジュアルが際立つ。緑茂る山中に唐突に表れる、Diorのパンプスみたいなカラーリングの、巨大な熊。実在の生き物とは思えない。
もし、パンダが未知の存在で、偶然に竹林に入ったときに出会っていたら、どれだけ驚いたことだろう。芸能界のスターは、学校のクラスに混ざっていたときも、一人だけ輝きが違っていて目立っていた‥という逸話を聞くが、パンダも、そんな存在だったかもしれない。
パンダは高山に住み、体格もじゅうぶん大きいため、天敵がいない。自然界に身を潜めて、なじませる必要もなかったのだろう。
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パンダは草食動物にしては、かなり噛む力が強いそうだ。以前、動物骨格の専門家から聞いたのだが、動物が奥歯で嚙む力は、頭骨格からおおよそ推定できるらしい。噛む力は、あごの筋肉がついている位置と、あごの長さで決まるそうだ。(奥歯は、てこの構造をなしている。くるみ割りやペンチを想像してもらうと近い)
ただ、パンダはその才能を、肉を食べるのに使わず、ただ堅い笹をばりばり食べるだけで済ませている。笹を食べる動物は他にいないので、食べ物には困らない。我が道を行く、その行動様式も、発掘前夜のスターの原石のような風格を感じる。