宇宙ミュージアム「TeNQ」へ行ってきた
東京の水道橋にある宇宙ミュージアム「TeNQ」へ、週末に行ってきた。当館は2023年3月末で閉館を予定している。おそらくこれが、足を運ぶ最後の機会だろう。
この施設は、導入に少しずつサプライズを与えて、観客の心理を徐々に世界へ没入させていく仕掛けが巧みだ。冒頭、円形の大型シアターを床下に置き、観客を環状に配置して、天体の映像をダイナミックに見せるスタイルには心が躍る。
元来なら、ビジュアルで訴えにくい宇宙科学の先端研究だが、それを見せ方の妙で体験に昇華させ、うまく知的興味を促している。教養と娯楽性のバランスもとてもよく、大人も子供も楽しめるようにうまく配置してある。現代的な博物館のお手本だと思う。これだけよくできた施設が失われてしまうと思うと残念だ。
この施設の制作は、研究者からすると「アウトリーチ活動」にあたる。
運営期間は、およそ8年半。聞こえてくる累計来場者数から察するに、経営はおそらく順風満帆なものではなかったのだろう。僭越ながら、ギフトショップの商品設計を見ても、マネタイズに対しては控えめな印象を感じる。
どうか今後も、科学のアウトリーチ活動に携わる人々は、迷うことなく、一般観客からの売上を増やす方法を考えてほしいと思う。あざとく見えても構わない。それが、施設維持に寄与し、科学の成果がたくさんの人に届くことにつながるなら、それは科学の発展の観点で見ても、意義のある行為だ。
そして、8年半、制作や運営に携わった方々には拍手を送りたい。少なくとも、120万人以上には届いたのだ。きっとこの施設がきっかけで宇宙に興味が沸き、将来、天文学者や宇宙飛行士になる人も現れるに違いない。
<参考文献>
TeNQ制作秘話
https://layout.net/community/tenq-report/
アウトリーチ活動
https://rnavi.org/3380/
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