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★エンジニアの仕事【レーシングチーム】第1弾

本業が忙しく更新が滞っておりましたが、久しぶりに投稿します。

今回は、Twitterで記事の内容に関して、3択のアンケートを取って最も票の多かった『エンジニアの仕事内容』に関して記事にしていこうと思います。

一口にエンジニアと言っても、車両を開発するメーカーのエンジニアもいれば、エンジンやエレクトロニクス等の制御担当のエンジニアもいます。

今回は私が所属するような車両を走らせるチームのエンジニアにはどのような種類があるのか、また私の役割であるトラックエンジニアとはどんな仕事をしているのかを書いていきたいと思います。
これはあくまで一例ではありますが、将来仕事にしたい人の参考になれば嬉しいです。

1.レーシングチームエンジニアの種類について

まず、レーシングチームのエンジニアでも幾つか種類がありますので、そちらを紹介していきます。日本のレーシングチームに所属しているエンジニアの種類は大体6種類くらいです。※チームによって異なります。

●テクニカルディレクター
●トラックエンジニア
●パフォーマンスエンジニア
●データエンジニア
●タイヤエンジニア
●ストラテジスト

このエンジニア達がどのような構造でチームとして動いているのかというと次の図のような体制で表すことが出来ます。

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では簡単に各エンジニアの役割を紹介してきます。
まず、テクニカルディレクターはエンジニアリング組織のTOPであり、全体を統括するのが仕事です。言うまでもなく、最も重要なポジションで、この人の元で働く人の考え方が変わり、結果も変わります。
トラックエンジニアについてはこの後詳しく説明するので省きますが、1台に1人おり、車両に対する責任者になります。各号車ごとにいることから、チーフエンジニアと言われたりもします。

パフォーマンスエンジニアやデータエンジニアは車両が走行した際に記録した荷重や車高等のデータを分析する担当ですが、パフォーマンスエンジニアは車両の性能に関する部分を分析するエンジニアで、データエンジニアは車両に故障が無いかを確認するエンジニアとなります。
具体的な例を挙げると、パフォーマンスエンジニアは、ドライバーが高速コーナーでアンダーステアと言っている場合、ダウンフォースの前後バランスを確認し、もう少し曲がりやすいように調整できないかを確認します。
データエンジニアであれば、水温や油温が許容範囲に入っているかを見て異常が起こらないようにしています。

タイヤエンジニアとストラテジストはその名の通りタイヤと戦略の選任エンジニアです。F1ではエアロ専門のエンジニアもいると思いますが、日本ではその部分はパフォーマンスエンジニアが兼任していることが多く、場合によってはタイヤエンジニアとストラテジストもパフォーマンスエンジニアやデータエンジニアが兼任していたりもします。

では、各エンジニアの役割がわかったかと思いますので、私の仕事内容に触れていきたいと思います。
※よく考えると、この説明は自己紹介の際に書いた内容と被ってますね...トホホ

2.トラックエンジニアの仕事について【工場編】

私は現在SUPER GTとSUPER FORMULAでトラックエンジニアをしていますが、サーキットでレースのある日以外は、レーシングカーのある工場に勤務しており、そこのエンジニアルームで仕事をします。
普段工場でどんなことをしているかというと、大まかにこのように纏められます。

1.データ分析(タイムや走行データ)
2.レポートの作成(考えをチームで共有するため)
3.新規アイテムの開発
4.セットアップ検討
5.走行計画の立案
Etc.パーツチェック(ダンパー・etc)

基本的にサーキットでの走行が終わった後は何かしらの課題が見つかることが多いです。そのため、工場での仕事はPDCAサイクルでいうところのC(評価)A(改善)工程から始まり、P(計画)までがメインになります。
まず、サーキットで得られたラップタイムや走行データを分析してどこが速くてどこが遅いのかということを評価します。またその走行データを詳細に分析して何が悪くてそのような結果になったのかを調べていきます。分析の仕方に関しては極秘なのでお伝え出来ないので割愛します。

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上の画像は参考としてシミュレーターで走った際のロガーデータ2つを比較したものです。車速を比較すると画面中央部のコーナー2つと最後の2つのコーナーで特に差があるように見えますが、この原因をロガーデータから探していきます。
この比較データ、実はセットアップが一緒で私の運転にバラつきがあっただけとは口が裂けても言えません…(笑)

その後、分析内容をレポートとして可視化することで、自分以外のエンジニアにも共有し、次戦に向けた準備の方向性を確認します。
次に、この分析結果を元にして次に必要なアイテムの開発に移ります。これは車両に搭載するパーツは勿論、車両周辺の機材や、エンジニアが使うソフトウェア等、多岐に渡りますのでエンジニアだけでなく、メカニックと日程も含めて相談し、少しでも早く投入できる様に調整します。
アイテム開発に関して話せる内容として、今年のSUPER GT担当チームで特に力を入れていたのが、タイヤ交換を早くするためのツール開発です。具体的なことは言えませんが、とある部品を作り替えることで1輪当たり1秒以上早くタイヤ交換を出来るようになってたり!?

そして、分析の結果を元に次のレースに向けたセットアップを決め、タイヤの使い方や燃料搭載量、周回数を決める走行計画を組み立てていきます。
また、毎回ではありませんが、パーツのチェックというところでダンパーやスプリングに故障が無いかのチェック作業も行ったりします。
これらの仕事の割合はこんな感じでしょうか。

仕事割合

グラフで見た通りですが、分析と開発が全体の75%を占めております。レースは月に2回以上のペースでやってきますので、レポートやチェック等の単純作業は可能な限り効率的にこなして、車両を速くするための業務に時間を割く。これが重要です。どんな仕事でも同じかもしれませんが…

3.まとめ

以上がトラックエンジニアが工場で行う仕事です。本当はサーキット編まで書こうと思いましたが内容が多くて長くなりそうなので、そちらは第2弾でお届けしようと思います。

不明な点やご質問等ありましたら、コメント欄にお願いします。お応えできる範囲で返信させていただきます。


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